“手に職をつける”にはどうしたらいい? 自由に生きるための仕事の見つけ方
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“手に職をつける”にはどうしたらいい? 自由に生きるための仕事の見つけ方
“手に職をつける”とは、職業に就いたり資格を取得したりすることです。働き方が多様化する近年は「好きなことで手に職をつけたい」という人も多いでしょう。
今回は、介護福祉士や保育士などの資格を取得した後、Webライターとして手に職をつけてきた筆者が、手に職をつけるための具体的な方法について紹介します。
手に職をつけるメリットやおすすめの職業もぜひ参考にしてください。
目次
「手に職をつける」とはどのような仕事のことなのか
「手に職をつける」は、さまざまなニュアンスを持つ言葉です。仕事につながるスキルの習得を意味することもあれば、生計を立てるための仕事そのものを指すこともあります。
好きなこと、得意なことを仕事にすることも「手に職をつける」のひとつといえます。
まずは、手に職をつけるの意味や具体的な職種についてみていきましょう。
手に職をつけるの意味
手に職をつけるという言葉は、主に以下の3つの意味を有しています。
- 職業または職能を自分のものとすること
- 生計を立てるための仕事
- 仕事に就くための技能や資格を、獲得すること
手に職をつけるの「手」には、人体の一部としてだけでなく、労力や能力といった意味合いがあります。
また、「職」は生計を立てるための労働やそのための技術を指す言葉です。
それぞれの言葉が複数の意味を持つ「手に職をつける」は、さまざまなシチュエーションで用いられます。
就職を指し「自立するために手に職をつけたい」ということもあれば、専門知識の習得や資格取得を指し「手に職をつけ、仕事に活かしたい」と表すこともあるでしょう。
手に職をつける仕事とは
手に職をつける仕事には、さまざまな職種、業界があります。専門的な職種をイメージすることが多いかもしれませんが、必ずしも資格が必要な仕事ばかりではありません。
例えば、WEBデザイナーやプログラマー、エンジニアなどのIT系の仕事は、実際の仕事を通してスキルや経験を身につけられます。イラストレーターのように、自身の能力次第で仕事の幅が広がる業種もあるでしょう。
一方で、美容師や調理師などの仕事は、法律で資格取得が義務付けられています。
福祉職のひとつである介護福祉士は、資格取得のために実務経験が必要な仕事です。なかには、未経験からはじめ、働きながら取得できる資格もあります。
手に職をつけるメリットは?
「この分野は誰にも負けない」「専門的な知識や経験がある」など、手に職がある人ならではの強みは働き方の幅を広げてくれます。より良い条件を求め、転職や独立する道もあるでしょう。
求人情報を眺めて「自分を選んでくれそうなところ」を探すのではなく、自分がしたいこと、好きな環境を求めて働く場を検討できます。
独立開業したい方にとっても、手に職をつけることはメリットのある手段です。顧客から求められる高いスキルを身に付ければ、働き方はもちろん、収入アップの可能性もより大きく広がります。
手に職をつけるための3つの方法・注意点
手に職をつけるためには、以下の3つの方法や注意点があります。
- いきなりはじめるのではなく、副業としてはじめてみる
- 規模が小さなことでも良いので実務経験を積む
- 将来性・ニーズのある仕事かどうか見極める
「手に職を」と思っても、一定のスキルを得るためには経験や時間が必要なもの。いきなりはじめるのではなく、副業から実務経験を積むのもひとつの方法です。
また、資格を取得する際は、将来性やニーズを見極める必要があります。ここでは、筆者の経験も踏まえつつ、それぞれの方法や注意点について紹介します。
1.いきなりはじめるのではなく、副業としてはじめてみる
手に職をつけたいときは、好きな仕事を副業としてはじめてみるのがおすすめです。
職の幅が広がるだけでなく、副収入も得られます。筆者もライティング業は副業からのスタートでした。
特に、独立開業を迷うときは、副業からのスタートを検討してみてください。手に職がある仕事も、すべてが高収入とは限らないからです。フリーランスの場合、収入が変動する可能性もあります。
まずは副業で“好き”や“得意”を収入へ変え、独立に向けての課題や可能性について探るのもひとつの方法です。
次で紹介するように、実務経験を積むうちに収入アップするケースもあります。
2.規模が小さなことでも良いので実務経験を積む
手に職をつけるためには、報酬、仕事のスケールに関わらず小さなことでも良いので実務経験を積みましょう。特別な資格がなくても、経験が自身の価値を高めてくれます。
特に、デザイナーやプログラミング、ライターなど特別な資格を要しない職種は、実務経験を重ねるのがおすすめです。実績をまとめたポートフォリオを作れば、自分のスキルをアピールできます。
筆者自身も、実務経験を重ねることで仕事のジャンルが広がっていきました。
当初は介護福祉士や保育士の資格を活かした医療福祉記事がライティングの中心でしたが、好きなお酒の記事をきっかけに、“好き”を強みにしようと新たに唎酒師(ききさけし)の資格を取得。実際に蔵や店舗に足を運び、インタビュー記事も作成するようになりました。
こちらから取材依頼することもあれば、記事を見た企業から取材依頼をいただくこともあります。
また、お酒とは関係ない他業種の編集者からお声がけいただくことも増え、現在はファッションや旅にまつわる記事も作成するようになりました。
実務経験のなかでスキルを積み上げれば収入アップも見込めます。そのジャンルが好き、得意という気持ちが仕事を後押ししてくれるでしょう。
3.将来性・ニーズのある仕事かどうか見極める
「手に職をつけたいけど仕事のジャンルに迷う」。そんなときは、将来性やニーズを軸に仕事を見極めましょう。自分のスキルを活かしながら長く働き続けることができます。
将来性のある仕事として挙げられるのがIT業界です。IT業界と言ってもジャンルは広く、Webサイトの製作から通信サービスの提供、パソコンやスマホ本体の開発まで仕事内容は多岐に渡ります。パソコンなどを動かすソフトウェア開発もそのひとつです。
IT業界に関わらず、手に職をつけたいときまず気になるのがハードルの高さなのではないでしょうか。なかには未経験者OKの求人もありますが、人員不足で長時間勤務を強いられたり、確かなフォローが得られなかったりするケースもあるため注意が必要です。
なんとなくIT業界で働きたいのではなく、将来性も踏まえてIT業界で手に職をつけたいのであれば、自分が好きなジャンルを見極め、ITスクールなどで専門性を身に付けることをおすすめします。
ITスクールには、サイト構築について学ぶプログラミングスクールや、Webデザイナーを目指すWebデザインスクールなどさまざまな種類があります。手に職を付けIT業界で第一歩を踏み出したい方にとって、受講中に仕事が受注できるスクールがあることもメリットのひとつです。実績を積み重ねれば、ポートフォリオを作成し転職や就職時に実力をアピールできます。
また、超高齢化が進む現代社会では、医療や福祉分野の人材も求められています。筆者自身が介護福祉士と保育士の資格を取得したのも、将来的なニーズが見込まれたことが理由のひとつでした。
ただし、医療福祉分野は資格が必要な仕事が多く、資格取得には一定の時間や要件を要します。例えば、介護福祉士の資格試験を受験するためには、指定養成施設を卒業するほか、3年以上の実務経験が必要です。
保育士資格は国が指定する学校を卒業することで取得できますが、指定校以外を卒業している場合は、保育士試験に合格しなくてはいけません。また、高卒の場合は、受験のために2年以上の実務経験が求められます。
医療現場を支える看護師も同様です。看護大学や短期大学などでの3~4年の学びを経て、看護師試験に合格することではじめて看護師として「手に職」が付けられます。
将来性やニーズがある仕事も、スキルを活かして長く働くためには、続けられるだけの思いが必要です。
これから手に職をつけるのであれば、自分の好きなことと将来性を照らし合わせながら新たな道を検討してみてください。
今からの時代におすすめ「手に職をつけられる」仕事13選
ここからは、以下の4つのジャンルごとに「手に職をつけられる」おすすめの仕事を紹介します。
- Web・クリエイティブ系
- 福祉・医療系
- 料理・お酒系
- 美容・健康系
好きなジャンル、得意なジャンルは人により異なるもの。自分の強みや好きという気持ちを活かせば、働くスタイルも自由に変化します。それぞれの仕事に向いているタイプや事例もぜひ参考にしてください。
Web・クリエイティブ系
Webデザイナー、WebライターをはじめとするWeb系の仕事は、高いスキルを身に付けることで働き方の可能性が広がる仕事です。
また、技術と共に創造性が求められるクリエイティブな仕事は、自分の個性や強みを活かして働くことができます。
Webデザイナー
Webデザイナーは、企業のコーポレートサイトや個人のお店のサイトなどWebサイトのデザインをする仕事です。分業しているケースもありますが、UI設計、レイアウトの考案や、デザイン作成、コーディングを担当します。
Webデザイナーの仕事も特別な資格は必要ありません。スクールや専門学校などで基礎的な知識を学び、就職や独立開業するのが一般的です。
Web制作・マーケティング全般をおこなう中村さゆきさんもそのひとり。Webデザインの専門スクール『デジタルハリウッド』の受講時から仕事を受注し、その後も受注が絶えないWebデザイナーとして活躍しています。
未経験でも受注が絶えない秘訣は、相手の期待値を超える結果を心がける仕事内容と、相手に手間をかけさせないコミュニケーション力。信頼できるクライアントや仲間との仕事を中心に、持続可能な働き方を追求しているWebデザイナーです。
ITエンジニア
ITエンジニアは、情報通信やコンピュータ関連の技術職です。代表的な仕事には、システムエンジニアが挙げられます。その他、サーバー設計やインフラ面を担当するサーバーエンジニアや、Webアプリを開発するWebエンジニアなど仕事内容は多彩です。
ITエンジニアになるために必要な資格はありませんが、仕事に直結させるにはプログラミングスクールに通うのがおすすめです。IT業界は人出が足りないこともあり、情報技術に興味がある方に向いているジャンルといえるでしょう。
動画クリエイター
動画クリエイターは、動画制作に携わる仕事です。ディレクションから撮影まで、仕事内容は多岐に渡ります。そのため、企業では以下のように仕事が細分化されているのが一般的です。
- プロデューサー
- ディレクター
- カメラマン
- エディター
- カラリスト
- CGデザイナー
責任者であるプロデューサーになるには、一定の経験やスキルが必要です。動画制作会社で手に職をつけたいと思う場合は、CGデザインを希望するのか、映像撮影を希望するのかによって仕事内容は異なります。仕事に必要なスキルを身に付けるため、専門学校やスクールに通うケースも多いでしょう。
また、近年はフリーランスとして活躍するビデオグラファーも増えています。ビデオグラファーは、企画から撮影、編集仕上げまですべてを単独でこなす映像作家です。カメラマンとしてのスキルはもちろん、ターゲットにあわせた動画を作るセンスの良さも求められます。
習得は簡単ではないものの、Adobe Premiere Pro、Final Cut Proなどの編集スキルを身に付ければ、動画編集の仕事に携われます。企業のCM・プロモーションのほか、ミュージックビデオの制作など、活躍の場が広がっていくでしょう。
動画クリエイターに向いているのは、映像で思いを伝えたい人や、新しいことへのチャレンジを惜しまない人です。仕事を受注する場合は、クライアントの意図を映像で伝えるための理解力も求められます。
動画制作で自分のアイデアが形になることへの喜びを感じられる人。新たな領域に足を踏み入れたいという気持ちの強い人ほど、好きな気持ちが手に職をつけることへとつながるでしょう。
Webライター
Webライターは、Web上で文章を綴る仕事です。医療や法律、教育といった専門分野から、恋愛や趣味のような身近な分野までテーマはさまざまにわかれます。そのぶん、好きな分野に着目しやすい仕事といえるでしょう。
うつわ好きライターのきょうこさんも、好きを仕事にしたライターのひとり。陶芸家へのインタビューを重ねるなかで、「うつわの魅力、陶芸家さんの想いを友達にすすめるような感覚で伝えたい」と感じたきょうこさんは、ライターゼミに参加しライティングについて学び始めます。
そこで多くのライターに出会い刺激を受け、自身の肩書を「ライター」に変えてから仕事量が増加。現在は奈良でのうつわ屋のオープンを目標とするなど、好きから始めたライティング業をきっかけに、新たな道を切り拓いています。
福祉・医療系
福祉・医療系の仕事には、一定の資格を要するものが多くみられます。そのぶん需要が高く、収入が安定しているのが特徴です。
社会福祉士・介護福祉士
高齢化が進む現代社会において、福祉・介護は将来的な需要が見込まれます。社会福祉士は、福祉や医療の現場で相談援助をおこなう仕事です。
社会福祉士になるには、社会福祉士国家試験に合格しなくてはいけません。また、国家試験を受けるためのルートは学歴に応じて12種類あります。
もっとも早く資格試験を受験できるのは、福祉系の4年制大学で指定科目を履修するルートです。3年生、2年生の大学や短大の場合は、相談援助の実務経験が必要になります。
一般の4年制大学を卒業している場合は、一般養成施設に1年間通ってから国家試験受験を目指します。通信制の施設を選べば働きながら資格取得できますが、スクーリングや実習があるため、仕事と両立できるようなスケジューリングが重要です。
一般養成施設の通信科の費用は50万円前後ですが、講座によっては国の給付金制度を利用できます。
また、介護福祉士は介護を必要とする人の生活を支援する仕事です。社会福祉士と同様に国家資格であり、老人福祉施設で働くほか、利用者宅へ訪問するなど働き方は多岐に渡ります。
介護福祉士資格は、実務経験を重ねながら取得を目指すことができます。実際に、筆者も介護の現場で3年の実務経験を重ねた後、国家試験を受験し介護福祉士資格を取得しました。専門学校に通う時間や費用に余裕がない人、働きながら福祉の職を手につけたい人におすすめの仕事です。
保育士・ベビーシッター
保育士は、子どもを保育するとともに保護者を支援する仕事です。国家資格を要する専門性の高い職種であることから、平成25年以降、ひとりあたり月額約44,000円の給与改善がおこなわれています。
厚生労働省の発表によると、令和4年4月の保育士の有効求人倍率は1.98倍。全職種の平均が1.17倍のなか、依然高い水準で推移しています。
多くの保育士が求められている理由のひとつが、共働き世帯の増加です。厚生労働省の資料によると、平成21年に995世帯だった共働き世帯は、平成31年には1,245世帯まで増加。「出産後早く仕事に復帰したい」という保護者も多く、今後も保育士のニーズは高いといえます。
近年は効率保育園以外にも、認定こども園や企業内保育園、ベビーシッターなど保育士の活躍の場が広がっています。病院内の夜間保育など、保護者の働き方が多様化しているぶん、保育士の勤務スタイルもさまざまに変化しているのが特徴です。また、各業界でAIの活躍が進む一方で、コミュニケーションスキルが求められていく保育士の仕事は、AIには代替できないと考えられます。
保育士資格を取得する方法は、2つあります。ひとつは、厚生労働大臣が指定する大学や短期大学、専門学校を卒業する方法。もうひとつは、保育士試験を受験し合格する方法です。筆者も働きながら参考書などを使い学習し、保育士試験にチャレンジし資格を取得しました。
子どもが好きという人にとって、保育士は社会人になってからも手に職がつけられる仕事です。一度職を離れても再就職しやすく、正社員やパートなどライフスタイルに応じた働き方を検討できます。
医療事務
医療事務は、医療機関での受付や会計、診療報酬請求業務をおこなう仕事です。医療機関で必要不可欠な人材である一方、AIやロボットの普及で、医療事務の仕事は自動化が進んでいくと考えられています。実際に、自動受付機や自動精算機を設ける医療機関も少なくありません。
しかし、レセプト業務の最終確認や判断には確かなスキルを持つ人の目が必要です。また、窓口での柔軟な対応は相手の意思をくみ取れる人間だからこそ成り立ちます。そのため、今後の医療事務の仕事では、高いコミュニケーション能力や専門スキル、資格が求められると考えられます。
医療事務の資格はすべて民間資格で、代表として「メディカルクラーク(R)」が挙げられます。医療事務資格のスタンダードであり、一定の能力と知識を示すことができる資格です。毎月開催され、受験のための特別な要件もなく、働きながら手に職を付けたい人が挑戦しやすい資格です。
これまでサービス業で培った接遇スキルを活かし手に職を付けたい人、医療機関で新たに活躍したい人にとっておすすめの職種といえるでしょう。
料理・お酒系
料理が好き、お酒が好きという人には、飲食のジャンルを極めた仕事がおすすめです。飲食店で勤務するほか、独立開業の道も拓けるでしょう。
和食職人・シェフ
和食職人やシェフは、食に関する自分の知識や能力を活かせる仕事です。手に職がつくレベルに達するまでは、下積み時代を重ねるなど一定の時間が必要といわれています。
一方で、近年は飲食店のビジネスモデルも多様化しています。店舗の空き時間を利用した「間借り飲食店」もそのひとつです。
借りる側は利用時間に応じた料金を支払うだけで、店舗を持つための初期費用や設備投資の負担を軽減できます。間借りからスタートし、一定のファン層を得たうえで独立開業するというケースもあるでしょう。
パティシエ
パティシエは、お菓子作りを専門とする職人です。確かな技術はもちろん、時代に沿ったセンスも求められます。いきなり独立開業するのではなく、専門学校を卒業したり、現場で下積みを重ねたりしながら手に職をつけていくケースが多いでしょう。
一方で、味が評価されるだけに、いくつになってもチャレンジできる仕事ともいえます。「季節のお菓子 Miel」店主の正伯(まさき)和美さんは、主婦歴30年を経て55歳で洋菓子店をオープン。現在はお菓子教室と洋菓子販売をおこなう人物です。
小さい頃からお菓子作りが好きだった正伯さんは、かつては地元の公民館でお菓子づくりの講座のアシスタントをしていました。やがて、正伯さんは都内の有名な製菓教室へ通いながら研鑽を重ね、パート勤めの合間にお菓子の製造販売をスタートします。
現在、正伯さんのお菓子教室には、ブログやホームページの情報をもとに遠方から生徒が足を運んでいます。着実に重ねてきた経験とスキルが実を結ぶことを教えてくれる事例です。
唎酒師・ソムリエ
唎酒師やソムリエは、お酒に関する民間資格です。唎酒師資格は、日本酒に関する知識やサービス、セールスプロモーション能力などを身に付けられます。筆者が取得した資格も、この唎酒師です。季節や料理、シーンにあわせた日本酒の種類や飲み方を提案できるようになります。
ソムリエは、ワインに関するエキスパートです。受験には、日本ソムリエ協会の2年以上の会員歴のほか、一定の実務経験が必要になります。
唎酒師、ソムリエともに、専門スキルが身に付く意味で「手に職がつく」資格です。また、知識に基づいたサービスを提供することで、活躍の場が広げられる資格といえるでしょう。
美容・健康系
美容や健康に関するジャンルに興味がある人には、エステティシャンや整体師などもおすすめです。美と健康をサポートするプロとして手に職がつけられます。
エステティシャン
エステティシャンは、エステティック業をおこなう技術者です。代表的なものとして、フェイシャルケアやボディケア、脱毛などが挙げられます。
美容師や理容師は国家資格ですが、エステティシャンには特別な資格は必要ありません。施術力を身に付けるには、美容専門学校やエステティックスクールに通うほか、エステティックサロンで働きながら学ぶ道があります。
美容専門学校は、美容に関する幅広い知識が得られる一方で、約2年間の通学期間と200万円前後の費用が必要です。エステティックスクールは通学のほか通信講座があり、働きながらエステの技術が身に付けられます。
現場で経験を積みたいときは、働きながら学ぶのもひとつの方法です。ただし、未経験可の求人は、受付や事務などが主のケースも多いため事前に内容をよく確認しておいてください。また、就職後は自分でコツコツと技術を磨く必要があります。
エステティシャンとしての経験を積み重ねれば、独立開業の道も開けます。開業スタイルにより異なるものの、自宅を利用した個人サロンであれば、開業費用の大幅なコストダウンが可能です。あくまでも目安ではあるものの、テナントでは440万円の費用がかかる一方、自宅であれば約70万円の費用で開業を実現できます。
エステティシャンの仕事は、施術とカウンセリングがメインです。そのため、施術スキルだけでなく顧客とのコミュニケーション能力が求められます。独立開業した場合も、新規顧客の獲得に加え、リピートにつなげるサービス内容が重要となっていくでしょう。
整体師
整体師は、身体の歪みを手や足で矯正する施術者です。接骨院や整骨院で働く国家資格取得者「柔道整復師」と違い、整体師は医療行為をおこなうことはできません。民間療法をおこなう資格で、以下のような民間資格を総称し「整体師」と呼ぶこともあります。
- カイロプラクター
- リフレクソロジスト
カイロプラクターは、カイロプラクティックと呼ばれる専門医療をおこなう専門家です。また、リフレクソロジストは、足裏のツボを刺激し身体の疲れを癒す技術職を指します。
民間資格の整体師資格は、働きながら取得を目指すことができます。受講内容や期間、費用は資格によりさまざまです。自分が興味を持つ分野で人を癒したい、健康に導きたいという人に向いている仕事といえます。
ヨガ講師・ピラティスインストラクター
ヨガは、呼吸や姿勢、瞑想などを組み合わせた健康法です。国家試験などはなく、資格がなくても講師として活動できます。初心者や未経験者からスポーツクラブに就職し、社内研修を受けながら手に職をつけていくケースもあるでしょう。
また、近年は姿勢や身体機能の改善ができるピラティスも注目を集めています。ピラティストレーナー・山本さんは、シンガポールに駐在妻として移住後、富裕層向けのオリジナルメソッドのピラティス教室をオープンさせた人物です。
1人の生徒からはじまった教室は、今では多くの生徒が通うほど話題に。「成功の定義は人それぞれ。自分のコアはお金ではなく、ピラティスを自由に教えたいという思い」と山本さんは語ります。
近年は、ヨガやピラティスのリモートレッスンも増えています。自分が大切にするものを重視しながら、さまざまな働き方を検討できる仕事といえるでしょう。
手に職をつけた人たちの事例紹介
ここからは、手に職をつけた人たちの2つの事例を紹介します。
- 料理指導経験ゼロから人気No.1料理講師に
- 食品メーカー勤務から独学でイラストレーターに
料理指導経験ゼロから人気No.1料理講師になった糸原さんは、約10,000人以上の受講者を抱える人物です。また、イラストレーター・えんぴつ座さんの事例からは、学歴や場所に縛られない働き方が見えてきます。
料理指導経験ゼロから人気No.1料理講師に
時短料理講師の糸原さんは、ストアカで「1時間5品の野菜たっぷり時短料理」という講座を開設。わずか1年で人気No.1講師となった人物です。
誰もが簡単に講師デビューできる時代。糸原さんが集客力のある講師になった背景には、学生時代に家事代行サービスで積み上げた経験がありました。
糸原さんが大学院時代に登録していたのが、「タスカジ」という個人の時間を30分単位で売買できるサービス。糸原さんは、英語を教えたり、心理カウンセリングをおこなったりするなかで、自分のスキルを活かして働きたいと考えるようになったといいます。
学生時代からシェアワークのキャリアがあり、家事代行だけでなく、民泊の管理人や心理カウンセラー、料理の先生と、仕事をしていく土台を積み重ねてきた糸原さん。経験だけでなく、シェアリングエコノミー協会で仕事をし、生活しているだけの収入があったこともシェアワークが成功した理由のひとつと語ります。
「お金を稼ぐことに目標が行くと、結果的にお客様のニーズを無視することになりかねない」と語る糸原さん。今の仕事にプラスし、フレキシブルに働けるのもシェアワークの魅力のひとつだそう。
講座の開催日時、内容も顧客のリクエストを重視し決定するなど、顧客との信頼関係を重視し、ニーズに沿ったサービスを展開しています。
食品メーカー勤務から独学でイラストレーターに
イラストレーター・えんぴつ座さんは、新卒から約10年間、食品メーカーでの分析業務に従事してきました。イラストレーターを目指したのは、自身の出産がきっかけだったそう。「人生にはいろいろな選択肢があることを子どもに知ってもらいたい」という思いから、子どもからの夢だったイラストレーターに挑戦したといいます。
イラストレーターとしての初めての仕事は、地元のマルシェでの似顔絵描き。その後、スキルアップのためにとインハウスデザイナーとして働き始めます。
求職当時は、ポートフォリオを握りしめ直談判したというえんぴつ座さん。企業を退社した現在は、SNSやホームページを駆使しフリーランスとして活躍の場を広げています。
《まとめ》手に職をつける方法
“手に職をつける”には、資格を取得する、仕事を得るなどさまざまな意味合いがあります。自分の得意分野を活かすという意味では、好きなことを重視した働き方ともいえるでしょう。
ほかにはない強みを活かせば、仕事の可能性は大きく広がります。IT業界や医療など多くのジャンルから、ぜひ自分に合った職、“好き”や“得意”を見つけてみてください。
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