わずか3か月でストアカ人気№1講師! 無名でもオンライン料理教室でつながれた。糸原絵里香インタビュー第1話
ストアカで「1時間5品の野菜たっぷり時短料理」という講座を開設、わずか1年で人気NO.1講師となった糸原絵里香さん。なぜ定番ど真ん中のテーマでNO.1になれたのか。
プロフィール
時短料理講師/シェアワーカー糸原絵里香
“スキルシェア”などのプラットフォームを使えば誰しも簡単に講師デビューできる時代。集客力のある講師とそうでない講師との差は一体何なのか。
ストアカで「1時間5品の野菜たっぷり時短料理」という講座を開設、わずか1年で人気NO.1講師となった糸原絵里香さん。なぜ定番ど真ん中のテーマでNO.1になれたのか。それはユーザーの声をつぶさに聞いて、自分の当たり前が他人の当たり前でないという気づきから得たものだという。
全2話、後編は4/10配信予定。
目次
「狭いフィールド」で1番を狙う
「時短料理」でストアカ1位はすごいですね。どうやってレッドオーシャンでトップになれたんですか?
私がオンラインで時短料理講座をはじめた20年の5月は、コロナ禍によって自宅でご飯を食べる人が増え、これまで料理をしなかった人や得意ではない人も料理をしなくてはならなくなりました。
時短料理に関する情報は溢れていましたが、生配信で一緒に作りながら教えている人がいなかったので、「その場でわからないことが聞ける」「誰かと一緒に作れる」ということが人々のニーズにマッチしたんだと思います。
生配信にしただけでお客さんが集まったんですか?
そうです。実は、その前に一度、対面でのお料理教室をはじめてみたんです。このときも『ストアカ』で告知しました。でも、全然ヒットしませんでした。「時短でなおかつ生配信で教える」という分野に、必要とされるタイミングで最初に入っていけたのがよかったんだと思います。
なるほど、今でいうオンラインで繋がりながら一緒に勉強したり仕事したりする方がいますが、その料理版的な位置づけですね。 生配信なのに、YouTubeではなく『ストアカ』を使ったのには何か理由がありますか?
YouTubeのように料理動画が飽和している場所では勝てないと思いました。有名YouTuberさんに勝てるわけもない。だから、勝負するフィールドのサイズを意識して、自分が1番になれる可能性のある場所を探したんです。
そのフィールドは太平洋のように大きくなくていい。井戸の中でも、まだ誰もやっていないことをやって、1番になることが大切。1番になれば目立つし、メディアからも取材が来るようになります。
去年、始めたばかりですよね? うまくいく自信はあったのですか?
ニュースや時代の動きを見て、「あ、今は皆外に出られないから、家で美味しいご飯を食べたいんじゃないかな」と、仮説を立てるんです。レシピや流行りはコンビニが最先端なのでヒントをもらっています。そこからは、実際受講される方からニーズを教えてもらうことでしょうか。
他講座との差別化に意味はない
お客様のニーズに応えるというと、常にアンテナを立てて努力をしていくのが大事なのかなという気がしますが、大変ではないですか?
そうですね。努力をするというと必死に頑張り続けることをイメージされるかもしれませんが、誰かのためになるちょっとした工夫を重ねるっていうのは楽しいことでもあります。私の場合は、(受講者さんが)数人だったころから、その日参加してくださった方々の困りごとが解消することを意識していました。
徹底したユーザー目線ですね。そこがご自身の強みですか?
はい。よく「差別化」という言葉を聞きますが、自分が売れるため、同業者に埋もれないための差別化を目指しても意味がないと思いました。それよりもお客さんのためになることをとことん追求しようと思いました。
私は学生時代から家事代行のアルバイトをしていましたが、そこで、たくさんの人が毎日のご飯づくりに困っているのを目の当たりにして、「作り置きが大変なら簡単にできる方法を教えますよ」「1時間で5品作る方法がありますよ」と、掘り下げていく。
コロナ禍だったから、自宅でその日のご飯を作りながら覚えられる時短料理の講座が人気になりましたが、人が外に出るようになれば今度はまた必要とされることが変わってくる。「今、何に困ってますか?」「あ、じゃあこういうのどうですか?」というお尋ねと提案の繰り返しです。
1フォロワーより1レビューの価値が高い
失礼ですが…(汗)、糸原さんのSNSフォロワーはそんなに多くないと思います。それでも集客できるんですか?
もちろん、自分の講座や言葉を発信したり、集客するためにSNSの存在は大切だと思っています。ただ、SNSでの1フォロワーよりも、1レビューのほうが重要だと思っています。
不特定多数の人からの「いいね」よりも、実際に講座に参加してくださった方々1人ひとりの満足度を上げていくことが、自分にとっては大切だったんです。
結果的にリピート率も増えていきました。
自分の当たり前は他人にとっての当たり前ではない
どうやったらお客様の満足度を上げられるんですか?
例えば、開催の曜日や時間。自分の感覚で土日に設定していたら、土日が休みじゃない方がいたり、お子様のいる家庭では土日は参加しづらかったり、平日の子どもが学校に出かけた後すぐがいいとか。自分の生活感覚ではわからなかったことに気づいて平日開催の枠をつくったりしました。
なるほどー!答えはお客さんのリクエストの中にある。
はい。実際参加された方からのリクエストや質問がそのまま次の講座に生かされることも多かったです。講座を開催してみると意外と皆さん、用意した食材の余りをどう活用したらいいのかに迷っていらっしゃることもわかってきて。
具体的にどうやってユーザーのリクエストに応えたらいいのでしょうか?
人って、自分ができることっていつしか、誰もができる当たり前のことだと思いがちです。でも、自分にとっての当たり前は、実は全然当たり前じゃない。だから、まずは、講座の質問やレビューからリクエストを拾っていくんです。
私の場合は、たとえば、カブを使ったら「葉っぱはどうしたらいいですか?」とか、「今日この調味料用意するのを忘れたのですがどうしたらいいですか?」というような質問がきます。家事代行である材料で何をつくるか、ある調味料でどう味付けするか、を考えるくせがついている私にとっては、それが新鮮だったんです。料理に慣れている人というのは、冷蔵庫にある食材を見て、「あ、じゃあアレ作ろうかな」と自然に思えると思うのですが、それがすごく苦手な人、苦痛に感じる人もいるんですよね。
次にカブを使った料理をつくるときには葉っぱの使い方を別の動画に撮っておいて出したり。その悩みを解消できたらなって……だから、講座を重ねていくことで、次の講座が見えてきて、それは尽きることはないですね。
完璧でないキッチンで料理するような感覚でやる
リピーターがずば抜けて多いと伺いましたが、その理由とは何でしょうか?
私自身が想定していなかった意外なニーズにフィットしていたことでしょうか。
一般的に料理教室って、使う道具も、食材も全部揃えてあって、数人でひとつの料理を分担して作っていくことが多い。でも、皆、家に帰ったら自分の家で一人で作るわけですよね。そのときに「あれ?あのときどうしてたか、自分でやってないからわからないや」となってしまう。それなら、ふだんのキッチンでいつもの道具で、初めから自分で作るほうが、そのまま日々の生活に生かせる。そこに必要性を感じてくれた人が多かったんです。
確かに一般家庭では調味料も全部そろわないときもあります。
そうですよね(笑)。私自身、家事代行の仕事をしているときは、そのおうちにある道具で作っていく。「あの道具がないと無理」となったら工夫をするわけです。その経験は私の講座にも活きていて、講座中に毎回何人かの方が、「あ、あの食材がない」「この調味料がない」と言われるのですが、「あ、じゃあこれでもいいよ」とか「こういう味付けにしてみて」とかフレキシブルに対応しています。家庭料理って本来そういうものだって思うから。
生配信だからこそのナイスフォローがウケた?
そうだと思います。これもまた、家事代行の経験からなのですが、お子様のいる家庭で求められていることやお困りごともたくさん見てきました。子どもが食べやすいこと、偏食をなくせることなどもメニューを考える一助になっています。一般家庭の予算に合わせて食材は5品でも2000~3000円程度で、家族の人数に合わせて簡単に量を変えられる構成にしています。受講料も1回1000円をベースにしているので、続けやすいと思ってもらえているのかもしれません。
かゆいところに手が届く講座ですね!
そうですね!今後も、どんどんそうなっていくことを目指しています。開催する曜日を決めているのですが、開催時間は、夕食に間に合うように設定していますから、「今日作るご飯を、動画で参加者と一緒に作れる」っていう、楽しさもあるみたいです。
とにかく無理しない、でも休まない
そのほかにも、何か気をつけていることはありますか?
これは本当に基本的なことなのですが、講座を自己都合で絶対に休まないようにしています。今までプライベートの予定で1度もお休みしたことがありません。
1回も休んだことないんですか???
はい。楽しみにしてくださっている方の信頼を失いたくないなっていう思いが一番にあります。毎週続けていたのに急に来週お休みしますって言われたら困りますよね。そのためにも、始めたからには続けることが大切だし責任があると思っているんです。
信頼関係も「継続は力なり」なんですね
信頼関係は絶対的に大事だと思っています。これもまたまた家事代行のときに学んだことでもあるのですが、得意を仕事にしていく上で大切なことは、信頼関係を築くことだと思うんです。
『ストアカ』や『タスカジ』などに登録してお仕事をしていますが、お客様は最終的に、私個人に仕事を頼んでくださっている。だから、常にベストコンディションでやりたいし、私に向けられている信頼を、私の持てる120%の力を注いで返していきたい。それがシェアワーカーとして働くためには重要なことだと思っています。
取材/I am編集部
文/MARU
写真/田尻陽子
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この記事を書いた人
- 猫を愛する物書き。独立して20年。文章で大事にしているのはリズム感。人生の選択の基準は、楽しいか、面白いかどうか。強み:ノンジャンルで媒体を問わずに書けること、編集もできること。弱み:大雑把で細かい作業が苦手。
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