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インタビュー

ニッチでも、”好き”で”熱意が持てる”ジャンルが最強!YouTube では「腹をくくる」ことが大事! 再生回数より大事なものとは?〈文学 YouTuber ベル/第 1 話〉

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YouTuberになりたいひと必読! 好きなことをYouTubeで発信し、フリーランスとして独立したいなら。小説の書評を中心に「読書の楽しさ」を魅力たっぷりに伝え続けている、文学YouTuberベルさん。彼女はいかにしてYouTuberになったのか?

プロフィール

文学YouTuber文学YouTuberベル

YouTube で、読書の魅力を発信する動画クリエイター。登録者 17 万人超。「気軽に読書を楽しめる仲間を増やしたい」という思いで、日々の活動を行う。人気のジャンルは、書評動画。作家対談や本にまつわるあれこれの解説も行う。

YouTuber になりたい人必読! 好きなことを YouTube で発信し、フリーランスとして独立したいなら。小説の書評を中心に「読書の楽しさ」を魅力たっぷりに伝え続けている、文学 YouTuber ベルさん。

彼女はいかにして YouTuber になったのか? 成功の秘訣は? 育児をしながらチャレンジする準備・心構えは? など、YouTuber になるためのノウハウを伺ってきました。

全 2 話。今回の第 1 話では、ベルさんが YouTuber になるまでの道のりと、チャンネルを上手く運営をするためのコツをお伝えします!
第 2 話はこちらからどうぞ。

YouTube 成功のノウハウ、最初のステップはジャンル選び!

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文学 YouTuber として、ベルさんは読書好きの方から愛され、大人気ですね!YouTube を始めるときジャンル選びで悩む方は多いと思います。ベルさんは初めから本をテーマにして活動されていたんでしょうか?

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はじめは特に何も考えずに、Vlog(ビデオブログ)のような、そのときに気になったことを動画にしていました。ごはんを食べるとか、ピアノを弾いてみるとか、本を紹介するとか。
私が YouTube を始めた 2015 年当時、自分のジャンルを明確に決めているYouTuber さんって、ほとんどいなかったんですよ。大半がバラエティーチャンネルで、いろいろなことをされていて。

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バラエティーチャンネルだったところから、本に絞って「文学 YouTuber としてやっていくぞ!」と、決意したきっかけは?

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元々読書は趣味のひとつでしたので、自分の備忘録的に動画で本の紹介をしていました。そしたらある時、「本を紹介しているときって、めっちゃ熱ありますよね」みたいなコメントをいただいたんです。たしかに、本に関しては割とこだわっているし、情熱を注いでいるなと気づきました。そこで、自分の”好き”な気持ちに気がついて、「本に特化してやりたいな」と考えるようになったのです。
でも、いかんせん本は伸びないんですよね。他のジャンルに比べて。

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なるほど、視聴者さんからのコメントにハッとさせられたのですね。本は伸びないというのは、なぜなのですか?。

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その頃は、娯楽的な楽しさや面白さを求めて YouTube を見ているユーザーが多い印象でしたので、活字である本についての情報を YouTube という動画媒体で得ようという発想にはなりにくいのかなと。
だから「本だけで行くぞ」とはなかなか決めきれなかったんです。

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当時、前例として同ジャンルで成功している人はいなかったのですか。

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そうですね。前例の方はいませんし、上手くいくビジョンも無く……。チャンネル開設から2 年が経った頃、Google が主催する『YouTube Nextup 2017(*1)』っていう合宿の選抜に選ばれたんですよ(全 12 組)。それまでは見よう見まねでコンテンツを作っていたのですが、合宿では映像制作のプロから撮影や編集などを教えてもらえました。
それに加えて、本気で YouTube をやりたいと思っている人たちが集まっていたので、すごく刺激をもらえたんです。そこで経験したことによって「これ、本気でやったらいけるかも」みたいな、根拠のない自信みたいなものができました。
*1. YouTube Nextup とは、Google が主催する次世代の YouTube クリエイターを発掘、支援することを目的にしたクリエイター育成プログラム。

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おぉ、いよいよ文学 YouTuber ベルさんの誕生ですね!

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謎の自信が湧いてきて、そこで「私自身の熱意を重視して、本に決めよう」と、腹をくくりました。2017 年の夏だったかな。

直木賞作品や話題作を動画にすると伸びる?

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YouTube のジャンルを、本に絞ったときの再生数はいががでしたか。

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全然でした。それで食べて行くなんてどうかしているってくらい。伸びていないジャンルを選んだのだから、覚悟はしていたんですけどね。

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そこから伸びていったタイミングって、何かあったのですか。

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特には無いですね。続けていると、本をレビューする力や構成力が上がってきて。徐々に増えていったという感じですね。ただ、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』(文藝春秋)の書評動画を出したときは、この本自体がかなり注目されていたので、多くの方に見てもらえました。このとき「やりようによっては、良いのかな?」みたいな感触はありましたね。

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賞を取った本や話題の本を扱うと、再生数が伸びるのですか。

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そうですね。「伸びることもある」みたいな感じです。私の場合、劇的に再生数が増えるような転換期はなく、コツコツとやっていたら「本を紹介している YouTuber がいるみたいだぞ」って知っていただけるようになりました。
ユーチューバー・ドリームみたいなところとは遠いジャンルだったのかな、とは思いますね。

YouTube は継続が命! 年単位で新しい企画を計画する

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とにかく、継続することが大事なのですね!

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うん、確かに継続は一番大事。とにかく長く続けていく。あと、長期的に見ていくのも重要です。たとえば「1 ヶ月間で何万人増やすぞ」みたいな短期目標を立ててしまうと、伸びる企画ばかりやって、ひとつの動画で一喜一憂してしまうんですね。もし伸びなかったら、「あぁ終わった……」みたいになっちゃう。そうすると自分のオリジナリティが失われてしまう。
見てくださっている方からしても、自分としても、私がやる意味を見失いがちになるのかなって。

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数字は大切だけど、追いすぎないようにするのもポイントなのですね。

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そうですね。いつもの型だけではなく、「伸びるかどうか分からないけど、新しいスタイルでやってみよう」って、新しい企画で当てていくのも必要です。そのスパンは 1 日とか 1 週間とかじゃなく、年単位で見て行きます。

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結構長いスパンですね。同じプラットフォーム中にいると、他の YouTuber さんと比較して焦ってしまいませんか

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もちろんあります。でもそれは、ジャンルも違うし、年齢も違うし、やり方も違うから、同じ YouTuber というくくりでみるのはナンセンス。自分がやっている仕事とは異業種だと思った方がいいですね。

成功の秘訣はデータの分析と改善!

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いろいろな発信方法がある中で、YouTube チャンネル成功の秘訣を伺いたいです!まずトーク力はどのように磨いているのですか。

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私の場合は YouTube を始めて 7 年目と長いので、これだけやっていたら何とか一応カタチにはなるかな……みたいには思いますね。逆にいうと、短期間で上手くなろうと思わず、長い目で見る必要もあると思います。
あと、コメント欄に フィードバックをいただけるので、「この話のときは良かったんだな」とわかるし、YouTube アナリティクス(*3)も見ます。ユーザーさんが視聴を離脱するポイントがわかるので、次からの動画で構成や言い方を変えるなど、いろいろなパターンを試していきます。
*3. YouTube アナリティクスとは、Google が提供するアクセス解析。ユーザーが公開した動画が、どのように見られているかを知ることができます。

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なるほど、経験値とデータ解析ですね。

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はい、それと改善です

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発声練習はしないのですか。お話がとても聞きやすいので。

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あぁ、それは無いですね。「滑舌いいですね」と言われることもあるのですが、それはきっと生まれつきですね。

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顔出しするのが不安な方も多いと思うのですが、顔出しについては、どうしようか悩みませんでしたか。

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先に会社をやめてフリーランスとして独立したので、状況的に捨てるものが無く、「もう、なんでもやってやれ」というマインドでしたね。もし会社員のままで「お小遣い稼ぎができたらいいな」くらいの気持ちで始めていたら、今のようにはなっていなかったと思います。
ある意味、何も無い状態でできたのは逆によかったですね。

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動画編集は外注されていますか?それともご自身で?

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最初のカット編集、いわゆる粗編は外注スタッフにお願いし、BGM、サムネイル、補足のテロップなどは自分で編集作業しています。

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外注スタッフさんに「ここを使って」「ここは不要」などは、どう伝えているのですか?

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台本があるので、その通りに切ってもらっています。

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なるほど! 先に台本を作っているから、完成のイメージが用意されているのですね。ちなみにアプリは?

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Adobe Premiere Pro ですね。

今の YouTube ならキャラを作らず自然体の方がいい?

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文学をテーマにしてから、視聴者からの反応はどうでしたか?

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「ベルさんのおかげで、読書が好きになりました」っていう声は、本当に嬉しいです。あとは「小説を読むのをちょっとお休みしてたんだけど、再開しました」とか、「ベルさんが紹介していた本を読んだら本当に面白かったです」とか、すごく嬉しい。つながれているっていうか。ある意味、ちょっと人生変えちゃった!? みたいな。

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ベルさんに影響を受けたユーザーさんは大勢いらっしゃるでしょう。

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やっぱり嬉しいですね。純粋に。

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苦労したことは?

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撮影データが消えたとか、音声が録れていなかったとか。

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なんだか虚しくなりそうですね。

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「あぁ、やってしまった……」って(笑)

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Youtube を始めた当初から、お名前はベルさんでしたよね?

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そのときは「ベルりんの壁」という奇特なチャンネル名をつけちゃってて(笑)
それだと伝わらないので、「文学 YouTuber ベル」という名前に変更しました。

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ベルは、ノベルのベルですか。

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映画『美女と野獣』のベルが好きで、そこからって感じです。

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そうだったのですね。ところで、初期の頃から「ごきげんよう、ベルです」という、素敵な挨拶をされていましたよね。キャラクター作りへのこだわりを教えてください。

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今の Youtube ならむしろ自然体の方がいいと思うんですよ。でも、私が始めた頃は「ブンブン、ハローユーチューブ」とか、「やぁどうも、東海オンエアのてつやだ」とか、「ピースの角度は 30 度」とか、まずは挨拶する方が多かったんです。私も覚えてもらうためには、挨拶やポーズは必須だと思っていました。

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なるほど、そこで「ごきげんよう、ベルです」の決め台詞とポーズが。

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私は貴族に憧れているので、そんな雰囲気で(笑)

休職を経てフリーランスの道へ。手探りしてたどり着いたのが YouTube だった。

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他の仕事をしながら YouTuber になりたいと思う方は多いと思います。ベルさんはYouTube を始める前は会社員として働いていたんですか?

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私は、一度会社員経験を挟んでから、フリーランスとして独立しました。計画を立てて独立したわけではなく、休職している期間があり、そこで「会社に戻るか? それとも自分で何かを始めてみるか?」を考え、フリーランスの道を選択したんです。

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フリーランスになった頃は、どんなお仕事をされてきたのですか?

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キュレーションサイトが流行っていたのでライターとして記事を書いたり、あとは自分でブログ運営をしたりしました。
ただ、ライターの原稿料だけでは生活は厳しいですし、ブログは匿名だったので、このままではレピュテーション(評価)がたまらない。そこで、「この人だから」という部分を作っていかないといけないと感じました。

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なるほど、YouTuber になるまでの経緯でもあるわけですね。

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ちょうどその頃、「YouTuber という人達がいるぞ!」と盛り上がっていて、面白そうだと私もはじめました(*2)。当時はとにかく、フリーランスとして自分一人でできることをいろいろと手探りでやっていて、その中にあったのが YouTube ってことですね。
*2. Google は、2014 年に「好きなことで、生きていく」プロモーションを大々的に展開。

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YouTube で好きを仕事にする、ということですね。ベルさんの YouTube チャンネルを拝見していると、本に限らず芸術全般が好きなのかなと感じます。

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そうですね。子どもの頃は、ピアノが好きでしたね。5 歳から中学 3 年生まで 10 年間ほど習っていたんです。特に上を目指すわけではなく、趣味程度って感じでしたけど。今でも家に電子ピアノがあって、たまに弾いています。

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初期の頃はピアノを弾く動画がありましたし、割と最近も美術館などを紹介するコンテンツがありましたね。

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母親の影響ですね。クラシックのコンサート、オペラ、美術館などへは、母親が好きでよく連れて行ってもらいました。友人からは「そんなところへ行くのはハードルが高いね」と言われたこともあるけど、そこは結構ふつうに行っていましたね。子ども向けの歌舞伎も楽しくて、特に物語性のあるものが好きでした。

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なるほど、物語性。

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学校の教科でも世界史が好きだったんですけど、そこにもストーリーがあるじゃないですか。絵画にも、そこに潜んでいるストーリーや人間味などがあったりするので、そこに想いを馳せるのが好きなんです。

第 2 話はこちらからどうぞ。
取材/I am 編集部、北野啓太郎
文/北野啓太郎
写真/田尻陽子

この記事を書いた人

北野 啓太郎
北野 啓太郎ライター
文章、写真、動画を駆使したWebコンテンツ制作が得意なフリーランサー。会社員時代に始めたブログがきっかけでヘッドハンティング。レゲエ専門メディアの編集長を経て、独立しました。強み:初対面の方と何時間でも話せる。インタビューも好き。弱み:打たれ弱い。

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