Interview
インタビュー

ミュージカル『スクールオブロック』に出演する西川貴教さんが語る、好きなことを仕事にするために必要なこととは。《西川貴教の仕事論》夢を叶える秘訣は「引き下がれなかっただけ」

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ミュージカル『スクールオブロック』に出演する西川貴教さんが語る、好きなことを仕事にするために必要なこととは。

プロフィール

アーティスト西川貴教

(にしかわ・たかのり)1970年滋賀県生まれ。96年5月にソロプロジェクト「T.M.Revolution」としてシングル「独裁 -monopolize-」でデビュー。2008年に任命された「滋賀ふるさと観光大使」での功績を認められ、20年に「滋賀県文化功労賞」を受賞した。俳優として舞台、ドラマ、映画などにも出演。幅広く活動している。地域創生」を掲げ地方が抱えている課題解決に向けて取り組むテレビ番組「西川貴教のバーチャル知事」(毎週土曜午後10時から、BS Japanext)にレギュラー出演中。

T.M.Revolutionとしてデビュー後、アーティストとしてはもちろん、役者としても大活躍。地元・滋賀県の「ふるさと観光大使」としての顔も持つ。琵琶湖近くの会場で09年から続けている主宰フェスは今年15回目。様々な分野で活躍する西川貴教さんに、好きを仕事にし続けるために大切にしていることなどを伺いました。

周りがひいても「音楽で生きていく」と決めた

小学校高学年ごろに、ラジオでヴァン・ヘイレンなどの洋楽を聴き、音楽に目覚めました。「何だこれは!」と自分の全てを持って行かれ、中学進学後に友だちと初めてバンドを結成しました。でも僕が生まれた滋賀県の野洲は、ライブハウスも楽器店もない小さな町。東京にいればスカウトされたり、オーディションを受けるとか、芸能界に入ることができるかもしれないけど、田舎にはそんなチャンスはなくて。その中で「音楽で生きて行く!」と決めていた僕に対して、周囲も親もひいていました。

10代後半、大阪に出たことをきっかけにデビューが決まって、20歳で上京。バンドはすぐにダメになってしまい、デモテープを作っては周囲に配っていた時代はしんどくて不安でした。それでも何の保証も無いなかでも、動くことで少しずつ状況が変わっていった。僕の人生、不思議で仕方ない。大きな事務所に入ったこともなければ、業界にツテもなくて。「同じ人生をもう1回やって」と言われたら、ちょっと考えちゃいますね。

いかに自分をぶちまけられるかが大事

アーティストとして歌を届ける。役者として演技をさせていただく。ライブ、ミュージカルなど表現方法に差違いはあっても、いかに自分をぶちまけられるかが大事だと思っています。そのためには自分が空っぽではダメ。観客のみなさんには、そこを観られていると感じながら、歌も演技も立つと決めたからには、いかに自分をアピールできるかが勝負。アーティストとしては、作・演出・主演も自分ですが、役者は作品の一部になることが求められますよね。そこに違いはありますが、ステージに立つまでの間には役者なら長台詞を覚えるなどの努力を重ねているので、観て下さった方には何か1つでも持ち帰ってもらえるものがあればいいなと思います。

自分で体験してみて初めてわかることもある

ありがたいことにたくさんの方が顔と名前を憶えて下さったり、声をかけていただく機会も増えました。順風満帆に来たと思われることが多いですが、そんなことはなくて。迷いと葛藤の連続でした。役者のお仕事をいただけるようになってからは、全てが初めての連続で、滋賀で暮らしていたころは、演劇やミュージカルを観る機会なんてなかったので、演じる側になって少しずつ学んでいきました。全員で取り組み1つの作品を作り上げて行くところに喜びがあります。観るじゃなく、やってみて魅力が分かったというのかな。「ミュージカルって面白いの?」って思っている人は、チャンスがあったら出演してみてほしい。やってみて味わえる素晴らしさに気付いてもらえるはずです。

自分にとって一番大切なものを明確に

「活動の幅が広がったね」と言っていただくことが増え、とてもうれしいのですが大事にしたいのは「音楽」。無理をしてまで不得意なことをやることはないと思っています。でも行かないと見られないものがあって、やらないと感じられないことはある。インターネット上にはたくさんの情報が溢れていて、行かなくてもすぐに様子を知ることができる。でもそれって、本当に知ったことになるのかな? 自分で経験したからこそ分かることがあるということを知っているので、そこで体験した空気や感じたにおいなどを、自分の表現にいかしていきたいです。

夢が叶ったのは引き下がれないところに身を置いたから

「音楽が好きだ」という自分の思いを貫こうと、親の反対を押し切って大阪に飛び出した。「夢を叶えた秘けつは?」と問われて浮かんだのは、「引き下がれなかっただけ」という思いでした。デビューしたバンドで大成できず、上京後も何も成し遂げてないのに、滋賀には帰れないって。その気持ちが自分を奮い立たせてくれました。「滋賀ふるさと観光大使」として地元でフェスを主宰し、今年で15回目を迎えます。地元の人たちが「おかえり」と迎えてくれるとうれしいです。これからも大好きなエンタテインメントを通じて、滋賀の魅力を伝えていきたいです。

ミュージカル「スクールオブロック」に出演する俳優ら(写真1列目中央がW主演を務める)柿澤勇人、西川貴教(撮影:田中亜紀)

この記事を書いた人

翡翠
翡翠執筆・写真
音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。

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