詐欺メイクYouTuberすうれろのゆる~いビジネス入門年齢、スキル、知識、資金は必要なかった!―ママから「瞬読」創設・山中恵美子さんに聞く(後編)
何不自由のない専業主婦の生活がリーマンショックで一転。明日の食費にそろばんをはじく経済状況に。そんな中、子供の勉強のために始めた塾が口コミで広がり……。人生に遅すぎることはない?
プロフィール
株式会社瞬読 代表取締役社長山中恵美子
ビジネスの世界は、少しでも、誰よりも、早くスタートさせるのが成功への近道。
しかし一方で、「何かをするのに遅すぎることはない」とも。自分の仕事に出会うのに年齢は関係ない。
十数年前のリーマンショックで安定した生活を失った専業主婦が、子供の塾代を節約するために自分で始めた塾が大成功。
自分の困りごとの解決が多くのお客様の解決につながった。
目次
知識もスキルもなく本を真似るところから
開校資金はない、ビジネスの知識もない、これといったスキルもない、という素人の私に知恵を授けてくれたのも“本”でした。塾を開校するのに一番大切なのは、生徒を集めること。当時はまだインターネットが普及していなかったので、一番お金をかけるべきは新聞折り込みのチラシだということ、手にとってもらえるチラシのデザインの仕方なども、すべてマーケティングの本から学びました。今から考えたらちょっと無謀ですが、でもそんなことさえ分からなかったのです。本当に何も知らなかったんですね。
ただ、何も知らないから、自分流にアレンジせず、書いてある通りに真似できたとも言えます。料理でもそうですが、包丁を握ったことがない人は、分量や火加減など、レシピ通りに作りますよね。そうすることで、早く上達するし、失敗も少ないと思うのです。当時の私もそれと同じように何も分からなかったから、ただがむしゃらに本の書いてあるとおりに真似をして、開校準備を進めました。
集客にお金をかけた分、設備は簡素化しました。机と椅子は会議室の古いものを安く譲ってもらったので、サイズもデザインもバラバラ。そんなみすぼらしい、素人の始めた塾が、“○○高校進学ナンバーワン”みたいな塾が乱立する中でどうやって戦うかと考えたとき、コンセプトが必要だと思ったんですね、「これだけは絶対に負けない」という。
勝負ポイントは資金力ではなくコンセプト
そこでふと、私が母親であるということもあって、生徒に何でも話してもらえるような関係性はどうだろうと思い付きました。親は子どものことを何でも知りたいけれど、中学生ぐらいになると親との関係がちょっと微妙になる。そんな難しい年代の子が親に話しにくいようなことでも安心して話ができて、ひとりひとりの将来の夢に寄り添ったアドバイスができる、母親のような存在になることであれば、どの塾にも負けないと。そんなコンセプトを打ち出して、翌年の3月になんとか開校することになるのです。
時代に合わせた読書を考えたら瞬読になった
塾を始めてからは受験制度の変化にも敏感になりました。去年まで行われていたセンター試験はどちらかといえば暗記型で、丸暗記していればある程度点数が取れると言われていました。そのセンター試験が廃止され、今年から思考力や判断力、表現力が問われる共通テストになりました。その情報はもう何年も前から決まっていたのに、学校の教科書や授業の形態は何も変わりませんでした。
ではうちの塾ではどんな対策をしようかと考えたとき、まず文章をたくさん読ませることが必須であると思いました。文章の読み書きに必要なのは、語彙力と知識。その2つがないと、人に響く文章は書けません。ただ、本を読ませるにも今の子はやることが多すぎて、本を読む時間がとれないんです。かろうじて学校で10分の読書タイムが設けられているので、その10分で本が1冊読めたら、読書量を一気に増やすことができる。そう思って、市販されている『速読』の本を読んだり、実際に速読できる人の話を聞いたりして、それを生徒たちと実践していたらどんどん速く読めるようになりました。
「こんな短期間で速読が習得できるなら、もっと速く本が読めるかもしれない」と思い、5年前の夏休みに8人の生徒に声をかけて、1カ月だけ試行錯誤しながらレッスンをしてみたら、全員の読むスピードが8倍ほど上がったのです。それが『瞬読』のはじまりでした。
私が子どもの頃は、「文章は1行ずつ意味を考えながら、音読するように読むもの」と教えられてきました。あの時代はパソコンも携帯もなかったので、時間をかけてじっくり読むというのは正しい読み方だったと思います。でも、今や子どもであってもパソコンを使いこなす時代で、情報量は当時と桁違いに多くなっている。そうであれば、文字を読むのもそれに合わせてスピードアップしなければ、とても情報に追いついていけませんよね。そういう意味で『瞬読』は、時代に合わせた文章の読み方といえるかもしれません。
思い込みを捨てればいつでも人生は変えられる
瞬読を教えるようになって気付いたのは、読むスピードが速くなるのは、年齢とはあまり関係ないということです。60歳の方でも100倍以上速くなった方もいますし、5倍が限界という10代の子もいます。多分、ある程度自分に自信がある人は心にストッパーがかかってしまい、 “できない”という決めつけや、“こうあるべき”という思い込みが邪魔をして、伸びが鈍くなってしまうのではないかと思います。
人には“可能性”しかない
同じように、何かをやろうと思ったときに、できない理由を考える癖がついていると、せっかくの可能性を逃すことにつながります。“失敗したらどうしよう”ではなく、“どうしたらできるか”という思考の癖をつけておくことは、人生を好転させることにつながると思います。
私は35歳くらいまでは本当にダメダメ人間だったので、今きちんと働いていたり、資格を取るなどスキルを磨いたりしているその年代の人たちは、その時点でみんなすごいと思います。もし、今生き方を変えたいと思っている人がいるとしたら、「30代後半からでも人間は変われるんだよ」と背中を押してあげたいです。
皆さん、子どもがいるとか、年だとか、何のスキルもないとか思っていらっしゃるかもしれませんが、当時の私よりスキルがあるし、何だったらお金の余裕だってあります。もう、可能性しかありません。
その可能性を伸ばす近道は、自分に正直に生きること。結局、“こうでなければ”という正しい道よりも、楽しいこと、夢中になってできることでなければ続かないのです。自分がワクワクすることを見つけること、これが大切なのだと思います。
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この記事を書いた人
- チャンネル登録者数19.2万人。「メイクは魔法、お顔はキャンパス、コンプレックスをチャームポイントに」すべく、メイクの楽しさを自らの顔で表現。難病、入院、うつを経て、自立するために始めたYouTube。自ら意識低い系と言いつつ、撮影、編集すべて一人でこなし、現在登録者数19万人。高校生のときに発症した若年性パーキンソン病と今なお闘いながら世界中の女の子をかわいくする野望を胸に秘める。