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詐欺メイクYouTuberすうれろのゆる~いビジネス入門AI時代では“肩書き”よりも“変な人”が強い―時間管理の専門家・石川和男さんに聞く(前編)

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詐欺メイクYouTuberすうれろが、ビジネスの達人にゆる~く入門。時間管理術の専門家・石川和男さんに超副業のお話を伺いました。

石川和夫

プロフィール

ビジネス書の作家石川和男

時間管理コンサルタントとして、関連する多数の著書を持つ。建設会社に勤めながら、大学講師やセミナー講師、さらに税理士も務め、5つの仕事を持つ。著書に『仕事が速い人は「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになる!』(明日香出版)『残業ゼロのノート術』(きずな出版)など19冊に上る。
公式サイト

無職から5つの仕事を掛け持ち。

時間管理術の専門家として、マルチタスクをこなしながら、自分の限界を突破し続ける石川和男さん。

何がきっかけてで5つもの超副業をすることになったのか?

また、どうやって5つもの副業を限られた時間の中でこなしているのか?

ブラック企業から脱出→無職→5つの仕事かけもち

僕は現在、月曜から金曜日の日中に建設会社の総務経理という職に就きながら、火曜と金曜日の夜に大学講師、その他セミナー講師、税理士、時間管理コンサルタントと、5つの仕事をしています。「5つも仕事を掛け持ちしてすごいですね」と言われるのですが、人に言われるまで気づきさえしませんでした。

というのも、最初に就職した会社が、今でいうブラック企業。理不尽に怒鳴られるなんてパワハラは当たり前。上司の家の犬の世話や子供の相手、洗車までやらされました。

「この人は自分のためにわざと悪役を演じているんだ」と思ってその場をやり過ごす“私は女優仕事術”というものを編み出して何とか耐えていました。

そんな辛い日々の中、「この人生を変えるためにどうする」と考えたときに、経理部に入社した私にとって独立開業できてひとりで食べていける税理士になることが一番の近道だと思い、会社を辞めて税理士の勉強を始めたのです。

僕が30歳の時でした。それからの2年間は勉強に集中するため無職。結婚していたので妻の扶養に入らせてもらいました。ちょうど妻の妊娠・出産と重なって、子供の出産一時金で食いつないだ時もありました。さすがにそろそろ働かなきゃダメだと思って、週末の1日だけ大原簿記専門学校で非常勤講師をすることにしました。

するとその直後、以前働いていた建設会社の常務から「講師をしながらでも構わないから仕事を手伝ってくれ」と言われ、まず無職から2つの仕事を掛け持つことに。

そして建設会社と非常勤講師のダブルワーク中に税理士の資格を取り、さらに話すこともうまくなりたいと思ってセミナーの学校に通いはじめたことがきっかけで、セミナー講師をすることに。これにコンサルタントの仕事も加えて、結果5つの仕事をかけもちすることになったのです。

自分では気づかなかった“自分の強み”

あと不定期ではありますが6つ目の仕事は著者。これまで20冊以上の本を出版してきました。きっかけは嘘みたいな話ですが、タロット占いをしてもらったときに「あなた、奥さんの他にいっぱい女の子がいますね」と占い師に言われ、「いやいやいません。仕事を5つしていた忙しいので」と弁解したら「5つも仕事をしてすごいですね」と言われたんです。

自分では成り行きでやっていたことなのに、他人からしたらすごいことなのかと思って、出版社に『5つの仕事をしながら遊びまくれる仕事術』というタイトルで企画書を持ち込んだら、それが通って本を出版することになりました。タイトルは没になって『30代で人生を逆転させる残業ゼロの時間術』になりましたが、これが韓国でも翻訳されたり、文庫化もされました。暗黒の会社員時代からは想像つきません。

占い師に言われなければ、“5つも仕事を掛け持ちしていることはすごいこと”なんて気づきもしなかったから、出版社に企画書を持ち込むこともありませんでした。そう考えると、自分のことは意外と自分には分からないから、自分のことを人に話してみることって、大切なのかもしれません。それによって目標がはっきりしたり、周囲によって引き上げられる確率が高まるんですね。なので、自分のことはどんどん人に話すことをおすすめします。

コンプレックスが特技になるパラドクス

これと同じような気づきがあります。僕は小・中学校で剣道、高校で空手、大人になってから少林寺拳法をやっていたんですが、自分の中ではひとつのことが続かない、極められないというコンプレックスになっていました。ところが、自己紹介ということで作った僕のマインドマップを見た人に、「剣道、空手、少林寺拳法ってすごい経歴だね。武道に学ぶ仕事術とか書けるんじゃないの?」と言われたんです。

自分がマイナスだと思っていたことが、他人にとっては目を引く、よく見えるということもあるんだということに気付かされました。

自分が得意なことは当たり前にできてしまうから、すごいと思わない。できることに慣れてしまう。でも、それが本になったり、就職や転職のときに武器になったりするので、自分に対する人の意見というのも聞いてみるべきだと思います。

会社の平均寿命は23年。転職は当たり前

AI化が進み、終身雇用や年功序列がなくなり、能力主義になりつつあるなど、世の中が劇的に変わってきています。人生80年と言われていますが、現在5歳の世代は2人に1人は100歳まで生きるそうです。すると働く年数が60年から80年。でも、今の会社の平均寿命は23年なので、60年働くとしたら、理屈上2〜3回はに転職しなければなりません。

また、今後20年間で今ある職業の9割がAIに取って代わられ、9割の人が今と違う仕事をすると言われています。

仕事環境だけでなく、社会的な仕組み自体も変化していきます。企業は社員の給料だけでなく、社会保険料などを負担していますが、体力のない会社はこれが負担になり、社員を雇う代わりにアウトソーシングで個人事業者に仕事を頼むようになる。つまり、大きな企業はより大きくなる可能性がありますが、逆に淘汰されていくところも出てくるでしょう。

そんな未来を見据えたときに、今後必要になってくる能力は3つ。

人の意見を聞き、最大のパフォーマンスを引き出すことができる“リーダーシップ能力”。

自分の好きなこと、得意なことに特化した“専門的能力”。

そして0から1を生み出す“クリエイティブ”能力。

この3つの能力のどれかを身につけることが大事だと考えています。YouTuberのように、クリエイティブ能力と専門性を身に着けている人は、今後すごく強いと思いますし、これに“コミュニケーション”能力がプラスされれば、それは強力な武器になります。

後半につづく

この記事を書いた人

すうれろ
すうれろ“詐欺メイク”ユーチューバー
チャンネル登録者数19.2万人。「メイクは魔法、お顔はキャンパス、コンプレックスをチャームポイントに」すべく、メイクの楽しさを自らの顔で表現。難病、入院、うつを経て、自立するために始めたYouTube。自ら意識低い系と言いつつ、撮影、編集すべて一人でこなし、現在登録者数19万人。高校生のときに発症した若年性パーキンソン病と今なお闘いながら世界中の女の子をかわいくする野望を胸に秘める。

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