Interview
インタビュー

高校生で難病を発症 すうれろが詐欺メイクYouTuberになったわけ

「メイクは魔法、お顔はキャンパス、コンプレックスをチャームポイントに」をキャッチフレーズに劇的before‐afterメイク動画を配信。詐欺メイクYouTuber・すうれろさんにインタビュー!

すうれろ

プロフィール

“詐欺メイク”ユーチューバーすうれろ

チャンネル登録者数19.2万人。「メイクは魔法、お顔はキャンパス、コンプレックスをチャームポイントに」すべく、メイクの楽しさを自らの顔で表現。難病、入院、うつを経て、自立するために始めたYouTube。自ら意識低い系と言いつつ、撮影、編集すべて一人でこなし、現在登録者数19万人。高校生のときに発症した若年性パーキンソン病と今なお闘いながら世界中の女の子をかわいくする野望を胸に秘める。

チャンネル登録者数20万人。詐欺メイクYouTuberすうれろさん。「メイクは魔法、お顔はキャンパス、コンプレックスをチャームポイントに」をキャッチフレーズに劇的before‐afterメイク動画を配信。メイクをほどこしながら、自分を晒す。真逆の行為の中でファンを獲得する、すうれろさんの生き方を伺いました。

普通の高校生が、若年性パーキンソン病で障がい者に

私は自分の顔に自信が持てないコンプレックスを抱えつつも、普通に高校生活を送る、普通の高校生でした。しかし在学中、突然難病を発症。突然体が動かなくなって入院、留年を経験しました。

若年性パーキンソン病。

それが私に与えられた病名でした。

退院後は特別支援養護学校に通うことになるのですが、突然降りかかった難病と留年に失望。「なんで私が?」という納得いかない気持ちにさいなまれ、他者や世界への憤りをぶつけるという性格悪い感じでした。でも、自分よりもっと大変な障害を抱えて生まれるも懸命に、そして楽しく生きている養護学校の生徒を見ていると、悪態をついている自分が恥ずかしくなり、そこで人生観が変わりました。

「誰かのせいにしてちゃ、ダメ」と思い、障がい者雇用枠で地元ではそれなりの大きな会社に就職することに。しかし……そこで女性先輩のいじめに遭遇。それがきっかけで自律神経失調症を引き起こし、さらに持病の若年性パーキンソン病を悪化させ、1年半に及ぶ入院生活を余儀なくされました。この長期間の入院では死の宣告を受けるまで容体が悪化したこともありました。うつと病気の悪化という絶望的な状況でしたが、友達のお見舞いだけが心の支え。しかし、来る人来る人みんな「休んだほうがいいよ」といってそそくさと帰ってしまうんです。「なぜみんなすぐに帰ってしまうんだろう。もっとおしゃべりしたいのに」と寂しい思いでした。そんなある日、鏡をみて衝撃を受けます。「え!ゾンビ? 血色悪すぎ!」、そこには死にかけの、すでに死んでしまったゾンビのような顔が映っていました。「これはみんな心配して帰るわ……」。

入院中にメイク、友人や看護師さんに大ウケ!

なんとかみんなを引き留めたい、少しでも一緒にいて楽しいおしゃべりがしたい。

そこで考えたのがメイク。

でもメイクは大の苦手。中学時代には「深海魚」などと心ないあだ名をつけられたこともあり、自分の顔へのコンプレックスは根深く、かわいさは遺伝的問題と完全に諦めていたのです。でも「なんとかしたい」という想いから、病院の先生にも許可をとり、100均コスメでメイクを始めたのです。当時流行りのモリモリギャルメイクは看護師さん、患者さん、お見舞いの友達にも大うけ。メイクをしただけで、周囲の対応がどんどん変化していきました。気持ちだけでなく、医者も首をかしげるほど病状も回復しはじめたのです。年半の入院を経てはれて退院。自宅療養がスタートします。メイクの力、メイクの可能性を感じることができました。

でも、人生はうまくいかないもの。退院したものの体は自由に動かず車いす。風呂も介護サービスの人に入れてもらい、トイレも自分ではできずに管を通して排泄するという状態。自分で出かけることも、働くこともできず、私には何もない。「これってニートじゃん」と思い悩みます。

そこで子供の頃から好きだったハンドメイドに没頭。試しにメルカリやミンネで販売したところ、買ってくださる人がいる。自分の力でお金を稼ぐという自信はついたものの、しばらくすると今度は「社会との接点がまるでない……」と思い悩み始めます。

居場所を探してツイキャス配信、そしてYouTuberに

当時流行っていたのがツイキャス。寂しさに耐えかねて「これなら、家にいたままでもできる!」と飛びつきました。

※ツイキャス……モイ株式会社が運営するライブ配信サービス

朝、メイクをやるというだけのもので、最初は10人くらいしか見に来てくれませんでしたが、誰かとつながれるということがうれしくて、得意の劇的before‐afterメイクを毎日続けました。すると少しづつファンも増えてきて、これが楽しい。でもこの頃から家族関係の“こじれ”という暗雲が垂れ込めてきたのです。平たく言うと病気の我が子を心配する親と自立して自分の人生を生きたいと思う子供のすれ違いが引き起こす感情のねじれだったのかもしれません。そんなこともあり、ますますツイキャスにのめり込んでいくのですが、ファンから「YouTubeにアップしてほしい」という声が上がり始めました。「YouTubeってなに?」という感じでしたが、見よう見まねで動画をアップし始めました。

この頃の私は、HIKAKINさんやはじめしゃちょーさんの存在もしらないド素人でした。

こんなふうに、最初は居場所が欲しくて、承認欲求を満たしたくて動画配信を始めました。すでにハンドメイドで生計を立てていましたが、メッセージ上でしか人との関わりがなくて、すごく孤独を感じていたんです。でも、YouTubeを始めて毎日投稿するようになると、コメントがバーっと入ってきたりして、「居場所見つけた!」という感じでした。

お金儲けはもちろん、収益化する方法も全く知らない状況で始めたので、最初は本当にがむしゃらでした。誰かと話したい、純粋に人との接点を持ちたいという気持ちだったから、投稿した内容に対してのコメントに対して、すべてリプを返していました。それまでの毎日の生活が満たされていなかったから、人との接点がモチベーションになって、動画配信を繰り返す日々を送っていたんだと思います。

YouTubeを始める前のツイキャス生放送では、実は過激なイメージだったんです。すごく濃いキャラクターでクレイジーに配信してたんです。そのテンションでYou Tubeの配信をしたら、驚くほど受け入れてもらえませんでした。こんなに住んでいる人のカラーが違うんだ、ツイキャスのノリだと、こんなに受け入れてもらえないんだってびっくりしたのと同時に、「じゃあやってやろう」って気合も入りましたけど♡

ツイキャスとYouTubeでは求められるノリが違った

私がメイクを始めたきっかけが「人を楽しませたい」とか「笑顔にしたい」だったので、ツイキャスでは面白系の配信をしていました。毎朝「みんなで一緒にメイクをしましょう」ということで、毎朝違う顔を目指してメイクをしてました。顔を白塗りにして、黒い目を書いてベイマックスってやったりとか。今でも『すうれろチャンネル』に最初の頃の私の黒歴史動画を残しているのですが、今の動画と見比べて私の成長が分かってもらえると思います。たまにYouTubeで生配信をしていますが、生だとキャラが出ちゃうんですね。「こんな人だと思わなかった」って、チャンネル解除されたりすることもありますよ。

YouTubeはよりクリエイティブな傾向が強いというか、きれいにフォーマット化されたものの方が受け入れられやすいんですね。陳列棚にバラバラに並んでいるよりは、コンテンツがきれいに並んでいるイメージ。

ツイキャス時代は「キャハハー」って笑って終わりという、ノリ自体もすごく若かった。何にも考えてないというか(笑)。自分でもちょっとムカつくぐらいのノリだったんです。今、改めて見返してみると、これは受け入れ難いなと思います。でも人って、ショックとか衝撃に引きつけられるところがあるから、このノリの衝撃も悪くなかったのかなぁとも思っています。

でも視聴者の方々に磨かれ、『すうれろチャンネル』がYouTubeという世界に順応できるようなコンテンツになっていったと感謝しています。

すうれろ

思い返してみるとYouTubeの配信を始めた頃は、なかなか受け入れてもらえなかったけれど、自分的にがむしゃらに居場所探しをしていたときだったから、心が折れることはまったくありませんでした。

あまり深く考えていなかったという部分もありますが、「死ね」「バカ」「ブス」などと書かれたコメントに対しても、「生きる!」や「かわいい!」とリプを返していました。長いアンチコメントを書いてくれる人には、逆に低姿勢で諭したようなことを書いたりしていたので、「嫌いだったけど好きになりました」ってコメントをもらったことも。

動画をアップしたあと、1〜2時間かけてすべてのコメントにリプをするルーティーンは、2年ぐらい続けています。腹が立つより「そういう言葉を他人に言っていると、自分に返って来ちゃうぞ」って思うから。

転機となった広告収益とコンテスト「YouTube NextUp」入賞

何も考えずにYouTubeを始めたのですが、配信で収益があったときに初めて、“動画を出すことでお金になる”というYouTubeの仕組みを知ったという感じです。最初の頃は何も怖いものとか全くありませんでした。がむしゃらで無知だからこそ、マーケティングとかブランディングとかも何も知らないし、収益とか戦略とか何も知らない状態だから、とにかく楽しかった。

始めたころはHIKAKINさんやはじめしゃちょーさんさえ知らなかったんですが、徐々にYouTuberを覚えて、いろんな人の動画を見るようになって、自分の動画のクオリティの低さに大打撃を受けました。みなさんのすごさに圧倒されて、ショックというか、「私は何をしてるんだろう」と。そこで初めて、何も知らずに勢いでやっていたことを反省して、戦略というより、どうしたら視聴者さんに見やすいもの、楽しいコンテンツを届けられるかみたいなことを考え始めるようになりました。

ちょうどその時期に『YouTube NextUp』というコンテストがあって、まだ3ヶ月ほどの配信歴だったけれど投稿してみたんです。スマホで撮影した動画を応募したんですがなぜか入賞して、その特典としてクリエイターキャンプに参加。入賞したクリエイターが集まって、3日間かけてひとりひとりが考えた作品を作るという内容だったんですが、皆さんのYouTubeにかける熱意の強さに圧倒されました。

まず機材が違う。私の持っていた機材はめちゃくちゃ重たいWindowsに、意味わからないブランドの一眼カメラなのに対し、他の皆さんはリンゴが光ったMacを持っているわけです。私はお母さんに「リンゴはスターバックスにいたいがために買うマウント機材だ」と言われてきたので、全然信頼してなかったんですね。完成した動画を見ても、私のだけお遊戯会のような感じで、みんなCGや高度なFXを使った完成度の高い作品。高度な技術を持った、これから来るであろう精鋭クリエイターみたいな人たちばっかりだったので、泣きそうでした。

でも、そこで自分の熱意がまだまだ足りないなって反省して、貯金がカラになるぐらい機材に投資することができました。もっともっと見やすくしていこうと思ったので、配信収入が得られたこと、そしてコンテストで入賞したことは、YouTuberとしての大きな転換期となりました。

比較はしても悲観はしない、リサーチは発見の手段

自分のフォロワー数が伸び悩んだりするときは、どうしても人と比べちゃいます。特に同業者が伸びているとすごいネガティブになってしまいます。

「顔がかわいいから伸びてる」とねたんだり、「自分はこんなにやっているのに」と悲観的になってしまったり。

でも、そういう考えを持っているといい動画が作れなくなるし、いつの間にか自分自身を傷つけていることがあるので、なるべく自分の個性とか、自分にしかできないことに集中力を持ってくようにして、モチベーションを保つようにしています。逆に、その比較によって「私はこうなのにこの子はこうなんだ」みたいな違いから、「その違いが自分の良さじゃん」という発見につながることもあるので、悪いことばかりでもありません。

やっぱり自分の技術を高めるためには、リサーチは不可欠です。だからリサーチするときは、心を強く持って、比べるにしても、「自分はこういう動画だったらこうするな」という違いの発見に向けるようにしています。それでも弱気になったときは、絶対に手が届かない人、私が神と崇めているような、憧れレベルの美容系YouTuberさんの動画を見て、素晴らしい感動の方に心を持っていきます。

そうじゃないとメイクとか、美容関連のことすべてがネガティブに思えてしまって、「何を紹介しても無駄か……」みたいな気持ちになって、今やっているYouTuberの仕事自体が嫌いになってしまう。だからその感情にストップをかけるために、崇拝している人の動画を見て、とにかくネガティブ感情を排除して、「やっぱり私、メイク好きだわー」に戻す。そんな心の揺り戻しを繰り返した5年間でした。

「エンタメ」としてのメイクに憧れ、「心の支え」としてのメイクを心がける

私は芸術的なアーティスト寄りのYouTuberが好きで、特殊メイクやコスプレという普通に使えないエンタメ系のメイク動画をよく見ています。この手の動画は海外ではすごく多くて、エンタメとしてメイクが消費されている点がとてもうらやましいのですが、日本では実用性重視というか、汎用性のあるメイクの需要が高いので、もう少しエンタメ系が普及して、もっといろんなメイクを楽しんでもらえればと思っています。というのも、メイクに興味がない人に対して、すごくわかりやすくメイクの楽しさを伝えられるのが、エンタメとしてのメイクだと考えているから。

だから、ハリウッド的な世界を感じてもらうために、たまにディズニープリンセスやホラー系の動画を投下して、メイクの可能性を知ってもらおうと思っています。ホラー系メイク動画はその一環で、完全に私の趣味です。ハロウィンの時期によくアップするんですが、あまりにもやりすぎてしまって、フォロワーが一気に5〜600人減ったこともあるので、最近は怖さを和らげるように心がけています(笑)。

私の『すうれろチャンネル』のコンセプトは男女問わず、“みんなかわいい”と伝え続けること。「コンプレックスを持っていても、ちょっとしたテクニックでチャームポイントになるよ」というメッセージ性がポイントなので、自分のスッピンも晒してメイク後との変化を見てもらって、メイクを楽しみたい人を後押しできるような動画制作を心がけています。

いろんな人の人生を変えるお手伝いというか、ちょっとしたきっかけがメイクになるといいなっていう気持ちっていうのかな。例えば、自分の顔がすごく嫌いな子が私のメイク動画を見てくれて、メイクを試してくれて、それが好きな人に告白するためのきっかけになったり、就職活動するときの心の支えになったり、自分の顔を好きになるためのメイクができて、人生の分岐点、チャレンジするときの隠しアイテムみたいなものになってくれるようにと。だから、一度したメイクは二度と自分の動画ではしないって決めています。

動画の企画は、頭の中でいろんな素材をツギハギしながら決めています。美容雑誌は動画と違って動かないからこそすごくきれいにまとまっているし、日本で流行っている美容についてもわかりやすくまとめてあるので、毎月買ってリサーチしています。その他には、中国の『RED』というアプリがあるんですが、クリエイターそれぞれの感覚でメイクしていたり、国ごとに流行っているメイクがあったりという、コアな情報が得られるので、そういうネット上での情報もインプットしています。

それで、動画を撮影する前日の夜に、それまでインプットしたものの中から、「あのアプリで見たアイメイクがかわいかった」「リップはあの雑誌で見たのを使おう」「そうすると目はデカ目かな」というように、インプットした素材をチョイスしながら自分らしさを加えて、頭の中で切り貼りしながらひとつの動画にまとめるようにしています。

人生すべてコンテンツ、弱みを見せて自分を通す

動画を配信するとき、「これは分かってもらえるだろうか」とか「否定されたらどうしよう」という不安は常にあります。みんな考え方も生き方も違うから、自分の考えを口にして、それを否定されたら存在自体を否定されるみたいに思ってしまう。でも、私は動画配信を仕事にすると決めたので、“人生すべてコンテンツ”と思って、弱みもすべて見せていこうと思っています。

もちろん炎上には気をつけてはいますが、言いたいことを言おうか迷っていると、いろんな考えが出てきてブロックがかかってしまうので、自分が話したいと思ったら、その気持ちが新鮮なうちに動画で言っちゃいます。

多くの人に共感されなくても、誰かひとりには共感してもらえると思ったことは発信しているし、例え共感されなくても、言わないより言ったほうがいいかなと思うことは、発信するようにしています。やっぱり発信者として、自分が言いたいことは言葉にしておきたいですから。

取材/I am 編集部
文/岡田マキ

この記事を書いた人

岡田 マキ
岡田 マキライティング
ノリで音大を受験、進学して以来、「迷ったら面白い方へ」をモットーに、専門性を持たない行き当たりばったりのライターとして活動。強み:人の行動や言動の分析と対応。とくに世間から奇人と呼ばれる人が好物。弱み:気が乗らないと動けない、動かない。
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