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詐欺メイクYouTuberすうれろのゆる~いビジネス入門小さなミスを繰り返したほうが失敗しない―ネットのゼロイチ男・尾原和啓さんに聞く(後編)

詐欺メイクYouTuberすうれろが、ビジネスの達人にゆる~く入門。「プロセスエコノミー」が大ヒット中のIT評論家の尾原和啓さんに「すごい話」を聞きました!

尾原和啓

プロフィール

IT批評家尾原和啓

1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現KLab)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、グーグルなどに従事。グーグルではAIサービスの国内立ち上げに携わる「企業戦略×AI」のプロフェッショナル。経済産業省対外通商政策委員、産業技術総合研究所人工知能研究センターアドバイザーなどを歴任。『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』(幻冬舎)『ネットビジネス進化論―何が「成功」をもたらすのか』(NHK出版)『アフターデジタル―オフラインのない時代に生き残る』(日経BP)など、単著・共著合わせて11冊の著書がある。
すうれろ

プロフィール

“詐欺メイク”ユーチューバーすうれろ

チャンネル登録者数19.2万人。「メイクは魔法、お顔はキャンパス、コンプレックスをチャームポイントに」すべく、メイクの楽しさを自らの顔で表現。難病、入院、うつを経て、自立するために始めたYouTube。自ら意識低い系と言いつつ、撮影、編集すべて一人でこなし、現在登録者数19万人。高校生のときに発症した若年性パーキンソン病と今なお闘いながら世界中の女の子をかわいくする野望を胸に秘める。

マッキンゼー、Google、楽天、リクルート、KLabなど14社を渡り歩きながら、世界のITを日本に持ち込む尾原和啓さん。

ますますスピード感を増す現代社会において、濁流の飲まれずしなやかに生きる方法を伺った。

その答えは「正解を求める」のではなく……?

大学時代にネット上陸、商売の原点に出会う

僕は大阪万博の年に生まれました。だから、未来とかSFにワクワクする少年でした。でも、学生時代は未来というより、「価値を感じてないところ」から「価値を感じてくれるところ」に持ち込む“商売”に面白みを感じて、中古車の売買をしていました。

ところが、大学に入ったときにインターネットの線が入り、研究所に配属された頃に、今皆さんが利用しているブラウザーが開発されたんです。日本の大学の研究室にいるのに、サンフランシスコの大学のコーヒーサーバーにコーヒーがどれくらい入ってるかを、地球をまたいで見ることができる、ということが起こったんですよね。

ということは、インターネットを使えば、僕がいくらで車を仕入れたかということが相手に分かってしまい、足元を見られて値切られるようになるわけです。そのときに、右にある物を左に移動させるだけでお金になる、というビジネスは終わるなと感じました。それで、どこで商売できるかと考えたときに、0が生まれる瞬間だけは情報がないから、0が生まれる瞬間に立ち会ってそれを1に変えるってところしかないと。今は価値がないけれど、必要としている人や物につなぐことで商売できるなと思って、東京に出てきたんです。

小さい失敗を繰り返し、仲間と共有する

時代の先取りをすることは難しいですが、5年後とか10年後に確実に世の中を変えるものって、決まってたりするんですよね。ただ、今ビジネスの現場に立っている人は、目の前のことで忙しいから、先のことを見る余裕がない。何年か先に変わりそうなものを調べておこうという時間が。その点、僕はいろんなプロジェクトに関わっているから、この先、主流になりそうなものを知っている可能性があるわけです。

ただ、「これが来そうだから」ということで、そのひとつにかけるわけではありません。例えばiモードの立ち上げのときのスタートアップ、最初のコンテンツは全部で50個ぐらいありました。それで、100社くらいに「i–modeはおもしろいから、一緒にリスクを取ってやりませんか」と声をかけたんですね。その中で僕の小さい失敗やチャレンジを一緒にしてくれる仲間ができて、その中の2〜3%の人がバーンと大成功を納めたりする。多分、小さい失敗を繰り返しているうちに、今後来そうなことが見えてくる、気づくことができるようになってくるんだと思います。

失敗が繰り返せるような場があることはもちろん、「次こうしたらいいんじゃないか」と、仲間内で情報が共有できる場作りをすることが大切なんだと思います。他人の失敗はいい学びになるから、お互いに学びあって、どこが成功のパターンなのか気づけた人がめちゃくちゃ成功できる。成功している起業家たちって、失敗を共有しあっているんですよね。

だから失敗はしてもいいんです。失敗しても、その失敗から学んで、次の成功を引き当てれば。悪い失敗があるなら、それは“学ばない失敗”と、“苦労してきたから”という思い込み。小さな失敗であれば、そこから考え方を変えて次のチャンスに活かすことができるけれど、「これだけ頑張ってきたから」と思うと、すでに失敗に入り始めているにもかかわらず、それまでの成果を手放せなくなって、結果的に大きな失敗を引き起こしてしまう。そうなると、もう次のチャンスもなくなりますよね。

正解主義から修正主義へ

この悪循環にはまりやすいのが企業やそこで働いている人たち。大企業には成功パターンがあって、それを繰り返すことで大きくなってきたわけです。でも、それは今まである程度正解があったからできていたことで、これからの変化の時代では、昨日までの勝ちパターンが通用するとは限らない。だから、これからは正解をちゃんとやることよりも、小さい失敗をして、早めに学んで、修正しながら正解にたどり着くということができないと、成功が難しくなると思うんです。今までのように最初から正解があって、それを解きに行くというのが正解主義だとしたら、これからは修正主義の時代になっていくと。

だからこれから社会にでる人は、小さい失敗を繰り返して、修正しながら正解を手繰り寄せるという技を身に付けていた方がいいと思います。分かっている正解を繰り返せる人は会社の中に山ほどいますが、小さい失敗の段階で見切りをつけて、ぱっと学んで、修正していくことを繰り返せる人はめったにいないから、大企業からしたら喉から手が出るほど欲しい人材でしょう。だから、僕みたいな人間でも、一緒にやろうと誘ってくれる人がいるわけです。

「何かあったとき、誰かが助けてくれる」のが繋がり

僕が人間関係で一番大事にしてるのは、矢印が外に向いてるのか、内に向いてるのかということですね。何かを一緒にするときに、まず場を一緒に温めようとか、未来に向かってまだ見えないことたくさんあるけど、一緒に歩いて行こう!みたいに、矢印が外側に向かってる人は好きですが、まず誰よりも先に自分をかっこよく見せたいとか、自分が金持ちになりたいなど、矢印が内側に向いてる人は生理的にダメですね。

僕の体験だと、阪神淡路大震災のときに活躍されていた方は矢印が外に向いている人でした。そういった方々は、周りの人に「深呼吸をすると落ち着くよ」と言って、その場にいる人を落ち着かせようとする。すると、結果的にそこにいた人たちが最初に動けるようになり、回復が早くなるわけです。この前、誰かが「矢印が外側に向いている人が“品がある人”で、内側に向いているのが“品がない人”」というようなことを耳にしましたが、本当にその通りだと思います。

ネットで繋がる今の時代で言えば、“繋がりの場”を大事にすること。それをしておけば、結果的に自分が何かあったとしても、誰かが助けてくれる。何かあったときに自分の保身ばかりを考えたり、自分だけ逃げられればいいみたいな人は、誰もその人をサポートしようと思わない。やっぱり変化の時代って何が起こるかわからないから、その“何か”が起こったときに何人が手を差し伸べてくれるかが重要になってくると思います。

繋がりの場を持っている人たちは、どんなに遠くにいる人とでも繋がれると思います。もし自分が穴に落ちたとしても、その人たちは山の上にいるかもしれない。そして助けてくれるかもしれない。自分の目の前にある正解が失敗に変わるかもしれない変化の時代だからこそ、できるだけ自分と違う人、自分より遠い人と優しく繋がっていることが、失敗を楽しめるようになる秘策だと思います。

この記事を書いた人

すうれろ
すうれろ“詐欺メイク”ユーチューバー
チャンネル登録者数19.2万人。「メイクは魔法、お顔はキャンパス、コンプレックスをチャームポイントに」すべく、メイクの楽しさを自らの顔で表現。難病、入院、うつを経て、自立するために始めたYouTube。自ら意識低い系と言いつつ、撮影、編集すべて一人でこなし、現在登録者数19万人。高校生のときに発症した若年性パーキンソン病と今なお闘いながら世界中の女の子をかわいくする野望を胸に秘める。
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