Interview
インタビュー

ロシアから東京大学大学院へ、日本で起業。LikePay CEOイーゴリー・ヴォロシオフ氏インタビュー第1話

ロシア人起業家・イーゴリー・ヴォロシオフさん。東大在学中に会社を設立し、資金調達を経て現在2つ目のサービス「webflow」の日本語版サービスを展開中。ロシア語はもちろん、英語、日本語を自在にあやつる彼が、就職の道を選ばなかった理由をうかがう。

イーゴリ

プロフィール

ロシア人起業家イーゴリー・ヴォロシオフ

起業家。株式会社LikePayのCEO。26歳・ロシア生まれ。モスクワ大学卒業後、東京大学大学院へ。修士2年で起業、LikePayを立ち上げる。現在はNoCodeサービス「webflow」の日本語版サービスの立ち上げとアカデミーを運営。また、NoCodeサービスの開発も行っている。

モスクワ大学卒業後、東京大学大学院に進んだロシア人・イーゴリー・ヴォロシオフさん。東大在学中に起業、資金調達を経て、現在2つ目のサービスを展開中。なぜ、東大在学中に日本でスタートアップ企業を起したのか?

ロシア語はもちろん、英語、日本語も自在にあやつるイーゴリ―さんが、就職という道を選ばなかった、シンプルな理由をうかがう。

全2話、後編はこちらからどうぞ。

東京大学大学院に行くも、未来が見えず

イーゴリー・ヴォロシオフ
写真/shutterstock

今わたしは日本に住んでいますが、生まれ育ったのはロシアです。父が空軍に勤めていた関係で、生まれてから3歳までは空軍の基地内で、その後も中学卒業まで基地の近くで育ちました。

高校があったのはサンクトペテルブルグという、日本でいう京都のような、ロシア帝国時代の建物などのロシアの歴史が残る街。大学はモスクワ大学に進学し、グローバル学部で国際関係を学びました。そこで、1年生の2学期から日本語を勉強し始めたのです。それが日本との最初の出会いでした。

日本を初めて訪れたのは、2015年。上智大学に留学したのを機に、モスクワ大学卒業後は東京大学大学院へ進学することを決めました。でもその頃は、将来どうするかっていうことはあまり考えていなかったのです。就職するかどうかも、自分の中では決めていませんでした。

起業の準備を始めたのは、東京大学大学院に入って半年ほど経ったころでした。大学院で行っていた研究があまり楽しいとは思えなかったわたしは、このまま大学院を修了して就職するよりも、自分が楽しいと思えることがしたいと思っていました。

一方で、かなり前から自分で会社を興したいという思いはありましたが、学生としての自分と会社を経営する自分との間に大きなギャップを感じていました。どうやったらそういう自分になれるのか、全く分からなかったのです。

そんな時に友達に誘われて参加したのが、スタートアップのイベントでした。小さいコワーキングスペースで開催されていたそのイベントでは、数人の起業家が自分のやっているビジネスをプレゼンしていたのです。全編英語のプレゼンでしたが、日本人もいたし、日本で起業している外国人もいました。

スモールスタートの可能性を知って起業

どのビジネスも本当に始まったばかりで、「こんな風にスモールスタートができるんだ!」と、自分の進む道が見えた気がしたのです。彼らと話したことが、自分にもできるかもしれないという自信にもなりました。

そのイベントには何度も足を運び、そのたびに自分のビジネスに関する思考が深まっていった気がします。そしてある日突然、これだ!というビジネスアイデアが浮かんだのです。当時ロシアで既にエンジニアとして働いていた兄にそのアイデアを話したところ、「じゃあ作ろう!」と意気投合し、二人で起業することになりました。兄はアプリのプロトタイプを構築し、わたしは具体的な起業の準備をすることになったのです。秋入学で9月に東京大学大学院に進学し、翌年の1月にアイデアを思いついて起業の準備をはじめ、会社を立ち上げたのは大学院の修士2年になるときでした。

共感をマネタイズできる支援

このときわたしが思いついたのは、今の弊社が展開している、LikePayの原型のサービスでした。InstagramなどのSNSに対する「いいね!」でお支払いができるというサービスです。

イーゴリー・ヴォロシオフ
写真/shutterstock

日本はまだまだ大半の方がテレビを見ていると思いますが、ロシアをはじめ諸外国では今、テレビを見る人は少なくなっています。これからは、大きい会社が情報発信するより、一人一人が小さなメディアになって小さい発信力を持つ時代です。

つまり、一人一人が情報発信者となり、自分の好きな店や好きな場所を発信すると、その発信に共感した人が「いいね」する。その「発信した情報への共感」にこそ価値があると思うのです。それを目で見える、マネタイズされた価値にすることを考えました。

飛び込み営業しながら協力店を募る日々

アプリの中にお店があり、お店ごとにユニークなハッシュタグが決まっています。そのアプリに登録して自分のSNSと連携させ、SNSでハッシュタグをつけて投稿した写真に『いいね!』がつけば、その数の分だけ割引ポイントになるという仕組みです。

協力していただくお店を探す方法も、先のスタートアップイベントで学びました。就活支援サービスを作った起業家が、自分がどうやって協力企業を獲得したのかという方法をPRしていたのです。

それを聞いたわたしは帰ってから早速その方法を実行してみました。すると一軒のお店から問い合わせをいただくことができたのです!

そのお店が、最初の協力店となってくれました。他にもネットで方法を調べたり飛び込み営業に行ったり、といろいろな方法で協力店を増やしてきました。

コロナの影響で協力店がどんどん閉店

イーゴリー・ヴォロシオフ
写真/shutterstock

こうしてわたしたちはLikePayのスタートアップとしてサービスを作ったり仮説検証したりプロダクト作ったり便利な機能を追加し、順調に開発を進めました。それとともにユーザーも伸び始めたのですが、そこにやってきたのが新型コロナの流行でした。

お客様である飲食店が軒並み営業短縮や休業となり、長引くとともに倒産する飲食店も出てきました。わたしたちも資金調達への影響が出始め、途方に暮れていたところに出会ったのが、NoCodeだったのです。

後編へ続く

取材/I am編集部
文/堀中里香

この記事を書いた人

堀中 里香
堀中 里香取材・ライティング
知りたがりのやりたがり。エンジニア→UIデザイナー→整理収納×防災備蓄とライターのダブルワーカー、ダンサー&カーラー。強み:なんでも楽しめるところ、我が道を行くところ。弱み:こう見えて人見知り、そしてちょっと理屈っぽい。座右の銘は『ひとつずつ』。
この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン