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絶対に失敗するカフェの作り方小さなカフェや個人店でリピーターを確実に増やす「ポイントカード」の仕掛けは、「特典リーチ」の状態で渡すこと

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横浜で土日の行列の絶えない喫茶店「珈琲文明」のマスターがお伝えする、小さなカフェの立ち上げ方と長く続ける方法。今回は、小さなカフェを運営するために大切な「リピーターの作り方」について伝えます。

マスター1人で経営する小さなカフェを立ち上げて、長く続けていく方法をお伝えしていくこの連載ですが、驚くほど具体的に、かつ「絶対に失敗する方法」をお伝えしながら、逆張りをすることで成功へと導くメソッドを公開しています。今回は、個人店、マスター1人の小さなカフェを運営する上で大切な「リピーターの作り方」を大公開。

珈琲文明店主・赤澤智がお伝えします(写真:珈琲文明提供)

リピーターの確保が重要なのはもはや基礎

某有名、ユーチューバーが「政治、宗教、戦争、投資」など様々な分野をわかりやすく解説している動画があり、私も大変勉強になったのですが、その中で驚いたことがありました。

「飲食店」に関するテーマの回で話されていた内容が、私にとってはあまりに「当たり前」だったからです。

「え?そんな当たり前のことを」と思う基礎の基礎が語られていて、最後は、「リピーターの確保が重要」で締めくくられていました。

ええ、もちろんこの動画の内容をディスりたいわけではなく、これら毎回のテーマに関する発信は主に「概要」であり一般の人にわかりやすく解説しているという点では大変優れていました。同時に本当に深い根幹部分には切り込んでいない(そしてそれで全然いいと思います)のが私にとって専門分野である「飲食店」の回でそれが判明した……という感じです。

改めて、「リピーターが大事」というとりわけ小規模個人店においての超重要案件は、結論ではなく前提としてスタートたいと思います。

さらに、リピーターをどう増やすか、という対策を結論づけるところまで伝えている動画や記事はあまり目にすることもないと思いますので、ここI amの連載ではそこまで完全に踏み込んでいきたいと思います(有り体にいえば「有料級記事」というやつです)。

ではまいりましょう、まずこれから開業しようとしている皆さんが知っておくべき「リピーター」という存在をもう少し嚙み砕いて分析します。

リピーターは「新規客」から始まる

まず当たり前のことですが、いかなるリピーターも最初は「新規」だったということです。
ですから「新規獲得」なしではリピーターはあり得ないと心得ましょう。
新規獲得の話は次回必ずお話します。
もちろん、それはそれで超重要ですのでお見逃しなく。

ということで、ここでは新規のお客さんが来たものとしてその後の展開のことだけをお話します。
まずはやや小手先のテクニック的な話からしますね。
統計科学的な話で「初回訪れたお店に2回目行く人の確率は非常に低いが、その2回目の人が3回行くことがあると、その人がその後そのお店に複数回行く確率はとんでもなく高い」ということがあります。
つまり3回そのお店に行った人は限りなく常連さんになる確率が高いというのです。
これは私自身覚えもありますし皆さんもそうではないでしょうか。

3回行くとそのお店の細部(トイレの場所やそこのお店独自のしきたりみたいなものも含め)までわかり精神的にも安心し、店への妙な緊張感みたいなものからも解放されます。
なんとなく自分の場所になってくるという感じでしょうか。

ということはまず「いかにして3回お店に来てもらえるか」がカギということになります。

珈琲文明の店内(写真:珈琲文明提供)

小さなカフェでのポイントカードの有効活用

目に見える効果が期待できるものとしてまず「ポイントカード」があります。

このポイントカードで3回来た人に対して何らかの特典を用意するのです。ここで大事な仕掛けを3つお伝えします。

1)1つ目のポイントは最初から押しておく

ここで大事なのがまず1つ目のポイントです。
全て既に1つ押してあるカードにすることが超重要です。

それをチラシのように配ってもいいですし、来店したお客さんには、半ば強引、いや、ここは問答無用に(笑)渡してください。

2)ポイントカードには期限を作らない

この際に「期限はありません」ということも強調してください(ポイントカードを無期限にすることも超重要ポイントです)。

既に1つ目のポイントが押されていて、初回来た人がその日の分も押されたならば、次に来る時に3つ目が押されることになり、その特典は次回(この次回以降に権利発生というところもポイントです)受け取ることができる。

そうなったら、さすがに次も来ようと思いますよね?
つまり初回新規で来た方には初回でいきなり「特典リーチ」の状態でお見送りするのです。
「リーチだしもう1回行っておこう」と思ってもらうのです。

(写真:Canvaにて制作)

ちょっと小手先のワザのような話をしましたが、これにしても何も手を打たないよりもやったほうが「3回来店する確率」は少なくとも上がるはずです。

3)特典も「値引き」はNG

さて、3回来店された方への特典をどうするか、という課題が出てきますね。
注意するべきはここでもやはり私のメソッド鉄の掟を思い出してください。
はい「値引きはしない」ですね。ですから、特典も「値引き」はNGとし「スイーツ1品進呈」などにしてください。

小さなカフェのリピーターとは「固定客」ではなく「流動客」

さて、ここまでは「3回目来店への小手先のワザ」でしたが、大事なことはここからです。
そもそも「リピーター」というものの実態を把握しておいてほしいのです。
まず「リピーター=固定客」という風に皆さんは考えていないでしょうか?
これ、大きな間違いです。「リピーター=流動客」なんです。

まず皆さんが「リピーター」と聞いて思いつく人物像をイメージしてみてください。

おそらく、その人物像とは毎日のように店に来てくれて、その人の名前や顔はもちろん、どんなことをしている人で趣味がどうで子どもが何歳で・・・といったことも熟知していて営業以外の場でも一緒に出掛けたりするほどの深い絆で結ばれた人たち、といったまさに「常連」さんをイメージすることと思います。

もちろん、そういうお客さんがいるにこしたことはないのですが、そういう人たちだけで成立するのは町のスナックやバーといったアルコールが絡む店、つまりは単価で5千円くらいは見込めるお店となります。

小さなカフェではそうはいきません。せいぜい単価千円前後のワンオペカフェがそんな超ヘビーユーザーの人たちだけでやっていけるわけがないのです。

単価5千円くらいでかろうじてやっていけるスナックやバーが8坪だとしたら単価千円のカフェはその5倍の集客が必要なので店舗も5倍の40坪が必要(こんな単純な話でももちろんありませんが)で、ちなみに40坪でワンオペの店は申し訳ないですが私は操縦できないし指導もできません。

リピーターは永遠に店に通い続けてくれる人のことではない

そもそも「リピーター」というイメ―ジを次のように考えてみてください。

  • リピーターは一生通い続けてくれる人のことではない
  • リピーターも離れていくことが当たり前だと思うこと
  • そしてその離れて行く理由は特にネガテイブな理由ではなく、「引っ越した、職場が変わった」などももちろんありますが、最も多いのは「なんとなく」である

以上の「リピーターの特性」をまずは予め知っておいてください。
そうしないと離れていった人への未練やこっちに落ち度があったんじゃないかと思い、非常に落ち込んでしまったりしますが、それは無意味です。

つまり「リピーターはいつかはいなくなる」ということをまず当たり前としておくことです。

小さなカフェの新規のお客さんは未来の常連客

そこで必要なのはさらなる「いつかはいなくなるリピーター」を確保することなのです。
その最初がいわゆる「新規」の人ということになります。

「いつかはいなくなるリピーター」の人数を「新規客」が上回っていれば客数が減ることはありません。イメージとしましては「浴槽に常に熱いお湯を溜めておく必要があり、上からは新しい熱湯が常に出ていて冷めたお湯は排水される」といったところです。
上から注がれる新たな熱湯が「新規」で浴槽内のお湯が「固定客」、冷めて排水となるのが「脱固定客、つまりもう来なくなる人」という感じです。
なるべく熱いまま冷めなければ排水されることもなく上から熱湯を追加する必要もないのですがそういうことはないと思ってください。

とにかく「リピーターも流動する」ということです。

個人的な体感としましては「かなりの常連さん」と呼べる人であっても3年ほどでそのメンバーは一掃され全員変わっています。

離れていくリピーターにすがらない、悲しまない

これに関しましては、切ない気持ちもわかります。
ただ、学校の先生が毎年担任のクラスを送り出す時のどうしようもない切なさと同じだというくらいに割り切ってみてください。
ここで間違ってもその常連さんを失いたくないがためにその人を特別扱いしたりしないことが大事です。
また「常連さんは永久にいてくれるものだ」という考えそのものが傲慢であるともいえます。

カウンターで常連さんたちばかりで盛り上がり、そこでマスターもノリノリで会話に入って賑わってるそのカウンターに新規のお客さんが座りたいと思いますか?

大切なことをお伝えします。「その新規のお客さんは未来の常連さん」です。

そしてその新規のお客さんがめでたく常連になったとしてもやはりそれは「いつかはいなくなく常連さん」という諸行無常……。

結論としましては「固定客」という言葉そのものがおかしな表現でして、全ては「流動客」であるということ、その流動を止めることは出来ないが総量を減らさないためには排水を少なくするか足し湯を増やすしかない……というよりも「新規&リピーター」両方が本当に必須である、ということです。

次回はそのもう1つの最重要事項「新規のお客さん」について述べていきますね。

さあ、移り変わりながら成長していくカフェになりましょう。
珈琲文明店主・赤澤智でした。

この記事を書いた人

赤澤智
赤澤智珈琲文明店主
脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」

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