Interview
インタビュー

サンローランのスーツに身を包んだ津田健次郎。「呪術廻戦」から国立新美術館のナビゲーターまで

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モードの帝王、イヴ・サンローランの大回顧展「イヴ・サンローラン展 時 を超えるスタイル」で音声ガイドのナビゲーターを務めた津田健次郎さんが、その足跡を追う中で見つけた魅力を語ってくれました。

プロフィール

声優津田健次郎

大阪府生まれ。1995 年に声優デビュー。アニメ、洋画吹替、ナレーターなどの声優業のほか、俳優として舞台や映像の世界で活躍している。代表作にテレビアニメ「呪術廻戦」、ドラマ「トリリオンゲーム」など。TBS 系で放送中の情報番組「情報 7days ニュースキャスター」などでレギュラーを務めている。

イヴ・サンローランが 2008 年に没後、日本で初めて開催される大回顧展。音声ガイドのナビゲーターを務めた津田健次郎さんは、その軌跡をたどる中でモードの帝王の内面に燃え盛る炎を見たといいます。


――1958 年のデビューから、2002 年の引退まで、約半世紀に渡って世界のファッションシーンをリードしたイヴ・サンローラン。津田さんのガイドを聴きながらめぐった時間は、時空を超えた旅をしているようでした。

津田:ありがとうございます。モダンな作品から、ちょっとぶっ飛んだデザインなどさまざまあって、幅の広さを感じますよね。僕のガイドを聴きながら展示を見ていただくと、内容はもちろん、イヴ・サンローランの凄まじい才能を理解していただけると思います。クリスチャン・ディオールのデザイナーとしてデビューしたのが 21 歳のとき。驚異的なことですよね。すごいとは分かっていたけれど、才能が開花したのは、そんなに早かったのか!と衝撃を受けました。


――全 12 章で構成されている会場には、日本初公開のドレスやアクセサリー、ドローイングなど 262 点が展示されています。

津田:僕は映画が好きなので、カトリーヌ・ドヌーヴが「昼顔」のときに着ていたドレスと、そのデッサンを目にできて、うれしかったです。フィンセント・ファン・ゴッホが描いた「アイリス」に敬意を払ったアートシリーズも目を引きました。0 から作るものには唯一無二の素晴らしさを感じましたし、他者の作品を再構築した作品からは名アレンジャーでもあったという一面に気が付きました。ほかにもマトリョーシカからインスピレーションを受けて生まれた「バブーシュカ」というウエディング・ガウンもあって、パッと見た感じも驚きがあるのですが、近くで見ると恐ろしく手が込んでいるのが分かって、頭に浮かんだことを実現させるパンチ力も持っていたのだなと感じました。結婚式のときに、相手が「バブーシュカ」を着て現れたらビックリしますけどね。笑


――津田さんは今日、サンローランのスーツを着用されています。袖を通したときの印象などを教えていただけますか。

津田:着用する前は、スタイリッシュな服だなと言う印象がありましたが、身に着けてみるとラインがキレイだと実感しました。スタイルよく見せてくれる服だと思います。


――「流行は移り変わるが、スタイルは永遠である」を体現したイヴ・サンローラン。津田さんが特にひかれたところは。

津田:20 代前半で徴兵されるなど苦悩の時期もありました。とても華やかな世界に身を置いて、華々しいものを生み出し続けていますが、個人的にとても物静かな方という印象を持っていました。でもその足跡を追う中で、イヴ・サンローランの中に尽きない情熱の炎があることに気が付きました。ドレスなどはデザイナー1 人で生み出すのではなく、職人たちと協力して、カンパニーとして作り上げていくもの。表現に対する探求心に圧倒されましたし、どんなことがあっても折れない姿勢など学ぶところが多くありました。世紀を超えて残るものを創造しつづけていた。同じ表現者として、リスペクトしかありません。

――展示をじっくり堪能されたようですが、もともとアートはお好きだったのでしょうか。

津田:大好きです。今年は「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天 才」や「マティス展」など、たくさん美術館に行きました。中でも「ゲルハルト・リヒター 展」で見た「ビルケナウ」は圧倒されました。4 点の巨大な抽象画と、絵画と同じサイズの 複写写真、そこにアウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所で囚人が撮影した写真を描き写した 作品が並んでいた。空間自体が素晴らしいアートになっていましたし、その世界をより深く体感することができました。


▼開催情報
会期:開催中~2023 年 12 月 11 日(月)まで ※毎週火曜日休館
会場:東京・国立新美術館 企画展示室 1E
公式サイトはこちら

(C)Musée Yves Saint Laurent Paris

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