Interview
インタビュー

「アートには疎かった」芳根京子が「モネ 連作の情景」のナビゲーターを務めて人生が変わった⁉︎

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印象派を代表する画家、クロード・モネの「連作」に焦点をあてた「モネ 連作の情景」のナビゲーターに就任した俳優の芳根京子さん。フランスにあるモネの家や庭園を訪れ「絵は五感で感じるもの」と学んだ経験を「音声ガイド」に込めたいと話しています。

芳根京子

プロフィール

俳優芳根京子

1997年、東京都生まれ。2013年にドラマ「ラスト・シンデレラ」(フジテレビ系)で俳優デビュー。16年には、NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」でヒロインを演じた。『アサヒ生ビール』のテレビCMに出演中。

「アートには疎かった」という芳根京子さん。依頼を受けてモネが代表作「睡蓮」を描くために自ら作った庭園などを訪問しました。鑑賞した絵から「風やにおい」を感じたことが衝撃だったよう。すっかりモネの虜になってしまったと言います。

【写真】モネの作品に心を奪われた芳根京子

――国内外からモネの連作を含む、代表作60点以上を集めた企画展でナビゲーターを務めることが決まりました。

芳根:私はアートに詳しいわけではないので、最初にご依頼をいただいたときは、「私で大丈夫だろうか…」と戸惑いました。私の母が美術大学出身なので、母に連れられて美術館に行くことはありましたが、率先していくことはなくて。でも今回のことをきっかけに「もっとアートに触れたい!」と思い、モネの世界に飛び込ませていただきました。

オランジュリー美術館で「睡蓮」を鑑賞する芳根京子

――どんなところに「敷居の高さ」を感じていたのでしょうか。

芳根:「知識がないと楽しめない」と勝手にハードルを上げていました。私のように感じている人もいらっしゃると思うので、より多くの方に足を運びたいと思えるようなPRができたらいいなって。私自身はフランスに行く前にモネに触れておこうと、東京・白金にある松岡美術館に足を運んだんです。そこでモネの光りの表現に触れ、帰りにポストカードを買って帰るぐらい感激して。モネの作品に触れてからフランス滞在中はもちろん、飛行機の窓から見える光と影を目にするのも楽しくて、人生が変わる経験になりました。

ジヴェルニーのモネの自宅の寝室を訪れた芳根京子

――フランスには8月に行かれたそうですね。滞在中の様子は、11月11日に放送される特別番組(フジテレビ・関東ローカル)で拝見できると聞きました。

芳根:はい。モネづくしの4日間。その人生をたどる貴重な旅をしました。モネが育った故郷のル・アーヴルでは、モネが「印象、日の出」を描いた場所に行きました。綺麗な日の出が見られる場所という以外は、特別なものはないのですが、マルモッタン美術館でモネが描いた「印象、日の出」を拝見して、ごく普通の日常を魅力的に切り取ることができる天才だと感じました。オランジュリー美術館では360度「睡蓮」の大作に没入しました。アートに詳しくない私でもその存在を知っていた、晩年のモネが暮らしたジヴェルニーの家では、集めていた浮世絵を拝見しました。広がるお庭には、太鼓橋など日本らしいデザインを見つけ、「日本が好きだったのかな」とうれしくなりました。派手ではないけれど、美しい場所。庭を管理している庭師の方は、高知にある庭園「北川村『モネの庭』マルモッタン」(安芸郡)にも携わっていると聞いたので、早速(高知行きの)飛行機を予約しました。今回はモネが描いた睡蓮などのお花がたくさん咲いていましたが、紅葉や雪景色なども見たいので、季節を変えてまた足を運びたいです。

オランジュリー美術館で360度の「睡蓮」を鑑賞する芳根京子

――すっかりモネに魅了されてしまった芳根さんですが、その魅力についてお話しいただけますか。

芳根:現在は評価をされているモネですが、苦しい時代もあり、一人前の画家になるために、悩み葛藤を続けた人でもありました。それだけで親近感が沸くし、悩んで前に進む姿を知って同じ人間なんだとホッとしました。60代後半から目の症状が出て、72歳のときに白内障と診断されるなど困難もたくさんありましたが、睡蓮を描くためだけに庭を造ってしまうなどエネルギッシュな人だとも感じました。

――美術初心者のために「ここを見れば楽しめる!」というポイントがあれば教えていただきたいです。

芳根:「光」ですね。絵の前に立っていると、水がキラキラ輝いて見えたり、風やにおいを感じました。モネに触れて、絵は「見るもの」ではなく、「五感で感じるもの」と学びました。

ジヴェルニーのモネの自宅の水の庭で庭師とモネが愛した睡蓮を眺めた芳根京子
 

――国内外の美術館などから60点以上が集結する展示では、日本初公開の「昼食」など珍しい作品もあります。芳根さんが楽しみにしている作品について教えてください。

芳根:印象派以前の「昼食」(1868-69年、シュテーデル美術館)は、晩年のモネが使わなかった貴重な「黒」を味わえる初期の代表作なので、モネの「黒」を楽しみにしています。ほかにはパリを訪問したときに目にした景色が浮かんだ「ルーヴル河岸」(1867年頃、デン・ハーグ美術館)も楽しみです。絵の資料を見たときに「あ、この景色を見たな!」とうれしい気持ちになったので。

――ナビゲーターとして、音声ガイドも務められます。

芳根:音声ガイドは初挑戦なのですが、絵を見ている人に寄り添えるようなものにしたいです。みなさんの代表としてフランスに行った経験を、音声ガイドに込めたいです。

「印象・日の出」が描かれたル・アーヴルの日の出を前に佇む芳根京子
 


「モネ 連作の情景」 開催概要

会期:2023年10月20日(金)〜2024年1月28日(日)

会場:上野の森美術館

巡回展:2024年2月10日(土)~5月6日(月・休) 

会場:大阪中之島美術館

※休館日、開館時間などは、公式サイトで確認を。
※東京展と大阪展は一部展示作品が異なります。

▼展覧会公式サイト

www.monet2023.jp

▼2023年11月11日(土)に、芳根京子さんがフランスを訪問した特別番組が、フジテレビ・関東ローカルで放送予定。

《睡蓮》1897-98年頃 油彩、カンヴァス 66.0×104.1cm ロサンゼルス・カウンティ美術館
Los Angeles County Museum of Art, Mrs. Fred Hathaway Bixby Bequest, M.62.8.13, photo © Museum Associates/LACMA

《ルーヴル河岸》1867年頃 油彩、カンヴァス 65.1×92.6cm デン・ハーグ美術館
© Kunstmuseum Den Haag – bequest Mr. and Mrs. G.L.F. Philips-van der Willigen, 1942
 

《昼食》1868-69年 油彩、カンヴァス 231.5×151.5cmシュテーデル美術館
© Städel Museum, Frankfurt am Main

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