Interview
インタビュー

役を通して自分の奥深いところにアクセスした窪田正孝。「役者って、やっぱり楽な仕事じゃない」

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幸せな家族が抱える秘密について描いたホラー・ミステリー映画『スイート・マイホーム』に出演する窪田正孝さん。理想の暮らしや、映画の見どころについて語ってくれました。

窪田正孝

プロフィール

俳優窪田正孝

(くぼたまさたか)1988年生まれ。神奈川県出身。2006年に俳優デビュー。『ふがいない僕は空を見た』(2012)でヨコハマ映画祭最優秀新人賞、高崎映画祭最優秀助演男優賞を受賞。主演を務めたNHKテレビ小説『エール』ではエランドール賞を受賞するなど演技も高い評価を得ている。『ある男』(2022)では第77回毎日映画コンクール男優助演賞、第46回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞などを受賞。『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』(2023)で主演を務めるなど、ドラマ・映画・舞台の垣根を超えて活躍している。現在、映画『春に散る』公開中。『愛にイナズマ』の公開も控えている。

本当に怖いものは、見えないものではなく人間という存在。俳優としても活躍する斎藤工さんがメガホンを撮った映画で主演を務めた窪田正孝さん。撮影中には、自分自身のトラウマとも向き合い「役者は楽な仕事じゃない」と感じたと言います。

――長野県に住む、スポーツジムのインストラクター・清沢賢二を演じています。

窪田:妻子に囲まれ、理想的な家庭を持った賢二ですが、夢だったマイホームを建てたことから、家の“秘密”に向き合うことになります。恐怖と絶望が描かれた作品。脚本を読んだとき、「あれ、これネタバレ早いんじゃない?」と危惧しました。(齊藤)工さんに疑問をぶつけたら、「見えないものより、人間という存在の怖さを表現したい」と言われ腑に落ちました。日本での公開を前に、海外の映画祭で評価されているのを見て、海外での経験が豊富な工さんならではの視点が盛り込まれているからこそだと感じています。

――結婚し、子どもにも恵まれ、念願の城も手に入れた。表面的にはとても幸せな家族ですが、抱えているトラウマが明らかになっていきます。

窪田:人って色んなトラウマを抱えていますよね。よかれと思って親がしたことでも、子どもにとっては忘れられないトラウマになることもあったり。僕自身も実は演じた賢二と同じ閉所恐怖症なんです。子どものときどんな家庭環境だったかというのは、人格を形成される中で楔のようにずっとあるもの。フタをしたいことに踏み込むことって、自分の奥深い部分にアクセスすることだな。役者って、やっぱり楽な仕事じゃないなと感じました。

――窪田さんにとっての「理想のマイホーム」はどのようなものですか。

窪田:理想ではなく「希望」という意味なら、自然がいっぱいの森の中で佇む暮らしを送りたいです。いずれ、東京ではない場所に拠点を移したいと考えています。何でも手に入る都会での暮らしは便利ですが、人を退化させてしまう。食べるもの、身にまとうもの、全て自給自足するのは難しいかもしれないけれど、自分のことを自分でまかなえるようになれたら良いなと思います。

 (C)2023『スイート・マイホーム』製作委員会 (C)神津凛子/講談社

――メガホンを撮った齊藤工監督とは映画『火村英生の推理』(2016年)など、何度か共演していますね。

窪田:役者の気持ちを誰よりも分かっている監督。大雪が積もった長野県での撮影は本当に厳しいものでしたが、「身体を温められるように」とみそ汁を差し入れてくれて、その気持ちに感激しました。撮影も物語が進む流れ通りに撮ってくれたり、子役が眠ってしまったときには、「起こさないで」と現場全体が1時間休憩になったり。細かな配慮がありがたくて、最高の現場でした。

――最後に映画を楽しみにしている方に、見どころを教えていただけますか。

窪田:作品の随所に“十字架”が隠されています。1つは僕が寒がっている家の中。これは工さんが「ある罪を犯した人の背中には十字架が浮かぶ」という説を表しています。ほかには、僕ら役者はそれぞれ工さんから「映しちゃいけない顔を撮りたい」と言われていました。僕の“映しちゃいけない顔”は物語の終盤。“熱々に”なっている顔に注目してほしいです。

取材・執筆・撮影/翡翠

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▼公開情報

映画『スイート・マイホーム』公式サイト 9月1日全国ロードショー

『スイート・マイホーム』
 (C)2023『スイート・マイホーム』製作委員会 (C)神津凛子/講談社

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