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花輪陽子の「経営者3年目」までのお金のことフリーランスがやるべき自己投資、やってはいけない自己投資。たった一つの判断基準を持ってる人がうまくいく?

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事業を継続していくのに欠かせない自己投資。スキルアップ、ネットワーク構築など選択肢がいくつもあるなかで、フリーランスにとって本当に必要な自己投資を見極める方法とは?1級 FP 花輪陽子の連載・第 5 回!

プロフィール

1級ファイナンシャルプランナー花輪陽子

リーマンショックで夫婦二人でリストラを経験。シンガポール在住1級ファイナンシャル・プランニング技能士CFP®認定者。

自己投資は将来の時間とお金を増やすため

会社員の頃は、会社が英会話や研修費用の一部を負担してくれるなどの福利厚生があった人もいたでしょう。しかし、フリーランスになると、そうしたお金も自分で支払っていくしかありません。ビジネスを始めたばかりだと自己資金も少なく、当座預金にできるだけお金を置いておきたいという気持ちも大きいでしょう。そんな人にとって、かけるべき自己投資と、かけるべきではないお金の見極め方法をお伝えしていきましょう。

これからスタートアップをする人は、まだ何もない状態から資産や評価などを築いていく必要があります。まずは自分の「時間」や手持ちの「お金」を効果的に使うことによって、将来の「時間と「お金」を効果的に増やしていくことが可能になります。そうすることで、短い時間で高収入を得るなど理想とする自分のライフスタイルに近づくことができるようになります。そうではないと、永遠に時間を切り売りすることになります。

フリーランスがすべき自己投資

「売上が上がる」か「支出が減る」ものだけ

必要な自己投資は事業成長につながる(写真/Canva)

理想のライフスタイルに近づくためには、お金と時間の使い方に対してシビアになりましょう。例えば、お金を使う時に毎回考えて見るべき視点があります。その支出によって、将来の支出が減る、もしくは将来の売上が上がるかという目線です。


私は有料のクラウド会計サービスを使っています。有料ではありますが、請求書の発行、銀行と経費や売上の照合、会計処理まで半自動的に行ってくれます。上手に使うことができれば自分で決算処理ができるので、専門家に頼るコストを減らせます。

また、AI の活用によって単純作業を減らす効果があります。例えば、翻訳をしている人の場合、翻訳アプリを使うと手作業が減るので業務が激減します。細かい翻訳が間違っていることもあるので確認作業は必要にはなるものの、手で日本語を書く時間がかなり短縮されます。これによって、たくさん仕事を受けることができれば売上を上げることができます。


翻訳アプリや対話型 AI サービスの一部は有料ですが、有料にすることによってよりよいサービスを受けることもでき、売上貢献につながる場合も多いでしょう。


課金をしやすい仕組みに投資をすることも考えられます。最近は日本でもインバウンド客が増えて、個人商店のレベルでも外国のクレジットカードが使えるお店が増えたと感じます。ほんの2年前までは使えなかったお店が多かったのに大きな変化です。クレジットカード対応にするには導入コストがかかります。しかし、導入することによって、現金払いやQR 決済のみに限定する以上の売上が見込めます。クレジットカードは消費者側の支出が増えるというデータもあるほどで、売上貢献につながります。特にインバウンド客の場合、外国のカードで払いたい人が多いので、インバウンド客を取り込むには初期投資をしても検討をする余地はあります。

フリーランスしてはいけない自己投資

仕事に関係ない資格やライセンス取得

「経費にして恥ずかしくない」も大切なポイント(写真/Canva)

自己投資だからといって、なんでも使えばよいかというとそうではありません。フリーランスになると、資格を使った実績や経験の方が評価されます。もちろん、そのビジネスをする上で肩書として箔をつけるライセンスや資格は取る必要があるでしょう。しかし、自分の業務と関係のない資格まで一生懸命取る必要はないと感じます。例えば、FP(ファイナンシャル・プランナー)の私がアロマ検定を取るなどです。プロフィールの趣味の部分に書けるかもしれませんが、顧客はそうしたものを期待していないでしょう。


もちろんスポーツなどのつながりから顧客と仲がよくなる場合もあります。しかし、その場合も本業を中心にして、スポーツはほどほどにしないとお金がなくなる一方になります。


また、マッサージ費用など継続的にかかり続ける費用も見直しの対象となります。ライターで肩こりが酷いという人もいるかもしれません。その場合も、マッサージ器具を購入することで、自宅でできる可能性もあります。その場合のワンタイムの支出は将来の継続的な支出を減らすことができるのでよい自己投資になります。投資になっていない自己投資があれば一度見直しを検討してみてもよいかもしれません。

経費として「恥ずかしくないか?」というシビアな目線

最後に、フリーランスが自己投資をする上で、経費にしても恥ずかしくない支出かを確認しましょう。例えば、パソコンの購入、クラウドの会計サービス、翻訳アプリ、対話型 AI、決済サービスなどへの経費であれば、経費として認められやすいでしょう。これに対して、マッサージ、ビジネスと関係ない洋服、バッグなどは経費にすることが難しくなります。経費にできてかつ、将来の売上増もしくは支出減につながる自己投資を積極的にしていきたいですね。

この記事を書いた人

花輪陽子
花輪陽子リストラから1級FP
1978年生まれ。シンガポール在住1級ファイナンシャル・プランニング技能士CFP®認定者。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、外資系投資銀行に入社。リーマンショックにより夫婦2人でリストラを経験。FP1級取得後、雑誌や書籍での執筆など幅広く活動。

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