Interview
インタビュー

「暗い一面があるからこそ表現ができる」「今よりも未来」という南果歩の仕事論。《南果歩の仕事論》暗い一面があるからこそ表現ができる。今よりも未来

ログインすると、この記事をストックできます。

舞台『これだけはわかってる ~Things I know to be true~』に出演している南果歩さんが語る、大人が好きなことを仕事にするために必要なこととは。

プロフィール

俳優南果歩

1964年兵庫県生まれ。84年に『伽倻子のために』(小栗康平監督)の主役でデビューし、『夢見通りの人々』(89/森崎東監督)でエランドール新人賞、同作と『螢』(89/梶間俊一監督)でブルーリボン賞助演女優賞、『お父さんのバックドロップ』(04/李闘士男監督)で高崎映画祭最優秀助演女優賞を受賞した。

大人になっても新しいことにチャレンジし続けている南果歩さん。今も心に留めている小栗康平監督の言葉や、好きを仕事にし続けるために行っていることなどについて伺いました。

南果歩が考える大人の在り方とチャレンジ

日本の女性が年齢を気にし過ぎるのは、世の中の、若いことは良いことだという概念に囚われているからだと思います。それは女性たちを窮屈にさせていると感じます。見た目の美しさだけでなく、年齢を重ね、豊かな知識・経験がある人も美しいと思える社会になれば良いですよね。私自身は来年60歳を迎えるのですが、年齢には拘っていません。今年12月には韓国で、韓国の役者さんたちと共に全編韓国語の舞台に立つ予定です。新しいことにどんどんチャレンジしようと思っています。楽しんで生きている大人たちの姿を見ないと、若い人たちは将来に夢や希望を持って生きられないと思うんです。まずは自分が人生を楽しむこと、そしてそのエネルギーが波紋のように広がって行けばいいなと思います。

癒しは自己肯定感が高めのトイプードル

2015年に我が家にやってきたトイプードルのシャンティーと、2018年にシャンティ―が産んだジョーイと暮らしています。どちらも女の子。2匹の存在が何よりの癒やしです。いつも「世界で一番かわいいね」って話しかけているので、うちの子たちは自己肯定感が高め。一緒に笑ったり、ご飯を食べたり。自宅に帰ると、そっと寄り添ってくれる。思い出したら帰りたくなってしまう…。大切な存在です。

南果歩を支えた監督の言葉

私は幼少期に一生分の悲しみを経験したと感じています。「明るいね」と言っていただくことが多いですが、明るさと同じくらい暗い一面も持ち合わせています。だからお芝居をしているのだと思います。映画『伽倻子のために』のオーディションを受け、そのヒロイン役で1984年にデビューしました。北海道ロケをしていた時、ナイター撮影の合間にポプラ並木の側で暖をとっていたんです。近くには最も怖いと思っていた小栗康平監督もいらっしゃって。言葉を交わさずにじっと出番を待っていました。通りかかった人が「何の撮影?」とか「誰が出てるの?」とか話しかけて来たんです。監督が「映画です」「南果歩が出ています」と応えたら、そこにいた人たちが「南果歩? 知らないわ」って。そしたら監督が「南果歩はこれからなんで」っておっしゃったんです。いつもいつも怒られて毎日落ち込んでいましたが「あぁ、そういう目で見ていて下さっていたんだ。私はこれからなんだ」って。この言葉は今も私の中で生き続けていて、「もう、ちょっと無理かも」と弱気になったとき、私を支えてくれています。素晴らしい大人との出会いが私を育ててくれたのだと思っています。未だに「私はこれからだ」と信じていますから。

気持ちが上がるものをそばに置いておく

自分の機嫌は自分で取るもの。ちょっとしたものでいい。自分の気持ちが上がるものを周囲に置いておきます。仕事に行くときは水筒3つを準備。中にはお茶、白湯、コーヒーなどを入れて、飲みたいときに、飲みたいものを飲むようにしています。何を飲みたくなるのか、そのときにならないと分からないから。

そして今のお気に入りは、不二家のペコちゃんグッズ。スマートフォンケース、メイク道具入れ、それらをすべて入れるバッグなど、ペコちゃんだらけです。2016年に病気をした後、台湾で整体の先生に看ていただいたことがあったのですが、そのときに夜のマーケットで、“台湾オリジナル”のペコちゃんグッズに出合って、そこからハマってしまいました。この笑顔が大好き。仕事が忙しいときなど、インターネットショッピングなどでペコちゃんグッズを見つけると、ついポチッと注文してしまいます。

「お気に入りのグッズをそばに置いておく。最近のお気に入りは、ぺこちゃんグッズ」

取材・文・撮影/翡翠
編集/MARU

公演情報

tsp NextStage『これだけはわかってる ~Things I know to be true~
2023年6月30日(金)〜7月9日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
作:アンドリュー・ボヴェル 
翻訳:広田敦郎 
演出:荒井遼
出演:南果歩 栗原英雄 山下リオ 市川知宏 入江甚儀  山口まゆ

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン