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フリーランス管理栄養士に向く人とは?専門性の高い管理栄養士こそフリーランスに向く!国家試験の知識を積極的に

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フリーランスの立場で管理栄養士として自立するには、どうすればよいのか? フリーランスで活躍する中田恵津子さんに詳しく伺った。

神奈川県の職員として採用され、定年まで働いた管理栄養士の中田恵津子さん。定年後にフリーランスの管理栄養士として活躍しています。フリーランス管理栄養士へのロードマップを聞きました。

プロフィール

インタビュアー、スタートアップ広報中村優子

(なかむら・ゆうこ)元テレビ局アナウンサー、インタビュアー、スタートアップ広報。作家・林真理子さんのYouTubeチャンネル「マリコ書房」、および著者インタビューサイト「本TUBE」を運営。インタビュー動画の企画から出演、編集まで一人でこなす。年100本以上の動画制作に関わる。2022年、スタートアップ広報の会社を設立。

フリーランス管理栄養士の具体的な業務とは

中田さんが、フリーランスという立場で仕事を始めたのは約 2 年前。

実際にフリーランス管理栄養士はどんな業務をしているのでしょうか?

「管理栄養士は、年齢を重ねてもフリーランスとして活躍できるんです。若手の育成など、むしろキャリアを生かせる場も広まります。


私は、起業当初は、若手の育成を目的にする企業とコラボしてスキルアップ研修の企画や講師をメインに仕事をしてきましたが、最近はコンサル的な仕事に力を入れています。一つの例ですが、企業の健康関係事業に栄養士が 2 人採用された。しかし社内にはこの方たちをマネジメントする専門職が居ない。そこで私が仕事の中で栄養士の育成を行う、さらに新しい栄養事業を立ち上げに参画し、企画に始まり付随する管理栄養士業務の構築も行わせてもらっています。企業が採用した管理栄養士が生み出す資産を、よりスピーディに具体化する、何よりもキャリアが生きる仕事です。


栄養相談とか栄養管理という、具体的な形のないものを武器にしながら、それでも依頼者に受け止めてもらえるよう、もう少し頑張ろうかな、自分の場所を作りたいなっていうふうに考えています。

そうした仕事を積み重ねるなかで、私は雇われている社員という意識ではなく、フリーランスの人間だという実感が高まってきました。役に立つ成果をきちんと出していく、報酬を得ていきながら何かを作っていくところに意識が置かれているのは、フリーランスならではだと感じました。


フリーランスである私は、「管理栄養士の活かし方が詰まったボール」を投げる立場だと思います。その「ボール」を「いいね!」と受けとめてもらえるように、日々努力する。それが普通にできるような仕事の仕方ができたら、いいなと思ってて、だからそういう意味で言ったら、まだまだ発展途上で登っている最中だと思います」

フリーランス管理栄養士に向く人とは?

フリーランス管理栄養士として活躍する中田恵津子さん(撮影/中山文子)

では、管理栄養士がフリーランスとして活躍するためにはどうしたらいいのでしょうか。


「専門職である管理栄養士は、自分次第ではもちろんありますが、いくつになっても、フリーでそのスキルを生かす仕事ができるほうの職種かと思います。

栄養士になる人は、『人の栄養管理をするのが仕事』だと学んでいます。さらに今は、学習内容も国家試験も難しくなっています。でも社会に出て、そういう高度な知識を使わず、単純に毎日の給食を出すのが業務になっているところもある。口には出さないけれど、これに抵抗を感じている方もいらっしゃいます。


フリーランスの立場を望む栄養士には、直接、依頼者に役立ちたい、そういう思いが強い人のはず、私はそう思っています。


栄養相談であれ、雑誌のライターであれ、私のように人材育成であれ、やりたいことを本当に真剣に考えられ、自分の能力を発揮できる場があるのが、フリーランスの魅力だと思いますね。いい意味で自由なところも、フリーランスのいいところ。だから、すごく素晴らしい仕事なんですよ。」

フリーランスになるために何を準備すればいい?

企画会議中の中田恵津子さん(本人提供)

「ただ、フリーランスになりたいと相談される方々は、『何を準備していいかわからない』という話をよくされます。


まずは、自分自身が一歩前に出て変わっていく姿勢が大事。自らが変わらないと、難しいです。そして、パーソナルなブランディングも必要です。


著書の中で紹介した方々に聞くと、やりたい仕事とつながるために、専門分野のスキルを積んだり、仲間を情報交換したり、仕事に関係する多職種に自身の存在や自身の強みをアピールしたりと何かしら仕事を意識して行動に移していますね。


当たり前ですが、自分の武器は自分で磨くという事、そうでもしないとフリーランスの栄養士の底上げはできないとわたしは思っています。


そして、フリーランスは、やりたいことのために、いろいろと戦略を組んでいかなかったら務まりません。依頼主には、振り向いてもらわなければいけないし、自身の職業的価値を常に高めておかなければいけません。


私自身も、相手に役に立ってもらうためにどうしたらいいかを、ものすごく考えます。その点で本当のプロになるには、時間のかかる仕事です。


待っていても仕事は来ないです。まずは仕事に役立つための勉強をしながら、住んでいる地域でどんな仕事があるのかをリサーチしましょう。


フリーランス栄養士が実績を重ねていくことが、栄養士全体の価値も高めると、私は思っています。」

フリーランス栄養士は生涯現役が可能?

中田さんの著書『フリーランスで活躍したい管理栄養士の本』には、72 歳のフリーランス管理栄養士が紹介されています。その方は 52 歳でフリーランスデビュー。既に述べたように、中田さんも定年退職後に、フリーランスの管理栄養士になりました。60~70 代でも元気に活躍されている方が多いのが、この世界のようです。


中田さんに、「生涯現役でやっていく」のか尋ねました。


「使っていただけるなら頑張ろうと思います。でも、それって難しい道なんだから、自分でも自信がまだ足りないところなのが課題ですが。


収益が多いとか少ないとかは別にして、自分がフリーのコンサルの道を選んだのだから、やっぱりそこで生かされていくことを、これからも求めていくでしょう。


フリーランスの管理栄養士として、私より年上の方は、何人もいらっしゃいます。人生経験を積んだ方は、年下に自分の経験をうまく示唆していくというスタイルができていて、ものすごく活動してらっしゃると思いますよ。


一方で、フリーランスの若い人でも、SNS を使ったりなど、いろいろなことをしながら仲間を作って成長し、仕事を提供している方はたくさんいらっしゃる。だから、一概に分厚い経験を積まなくては、フリーランスの栄養士になれないとは、思ってはいません。経験があるから素晴らしい、なければダメと思われないよう、すごい気をつけています」

中山文子

『フリーランスで活躍したい管理栄養士の本: 地域にもっと可能性がある!』(女子栄養大学出版部)


インタビューに答えていただいた中田恵津子さんと 2 人の共著者(安達美佐さん、岩崎祐子さん)による、フリーランスで管理栄養士として働くための実践ガイド。仕事の選び方から、特に必要な知識やスキルなど、経験者による豊富な知見が盛りだくさん。フリーランスになった 10 人の管理栄養士のインタビューも収載され、とても役に立つ 1 冊です。

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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