Interview
インタビュー

ダウン症の子どもを抱えながら、突然半身不随になってしまった母親を演じた坂井真紀。自分と主人公を重ね合わせて感じた「良き背中を見せたい」という母親の思い。

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母であり女優である坂井真紀さんが突如半身不随になり体の自由がきかなくなった母親を演じて感じたことを語ってくれました。

プロフィール

俳優坂井真紀

(さかい・まき)1970年5月17日生まれ。東京都出身。92年にドラマ『90日間トテナム・パブ』の主演で女優デビュー。その後は、CM、ドラマ、映画、舞台で幅広く活躍。2009年、映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』で第18回日本映画批評家大賞助演女優賞し、第23回高崎映画祭特別賞を受賞。

5 月 14 日(日)からスタートするドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、 愛したのが家族だった」で、河合優実さんが演じる主人公・岸本七実の母親を演じるのは坂井真紀さん。同じ母親として役を演じながら感じた思いなどを伺いました。

ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、 愛したのが家族だった」の1シーン/@NHK

母親として、一人の女性として生き方を考えさせられた役

――ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、 愛したのが家族だった」に出演されます。坂井さんは、主人公の岸本七実(河合優実)の、母親・ひとみを演じますね。

坂井:はい。ひとみは夫に先立たれ、娘とダウン症の息子と暮らしています。私自身も子どもがいるので、母親として、ひとみと自分を重ね合わせて考えを巡らせる部分も多かったです。

――共感された部分はありますか。

坂井:母親としてはもちろんですが、子どもたちの父親にもならなくてはいけない。よき背中を見せたいと思っているところや突如半身不随になり体の自由がきかなくなってしまった時に、娘や家族に迷惑をかけたくないとまず考えるところはとても共感しました。

――半身不随になったひとみは、車いすでの生活を始めます。撮影では、車いすに乗る練習をされていたと聞きました。

坂井:撮影に入る前に、車椅子の動かし方や生活の仕方を学びました。ひとみと同じ身体の症状の方に、お話を聞く機会もいただき、生活の中で大変なことなども具体的に教えていただきました。有り難い時間でした。

ドラマの1シーン。「母親として、ひとみと自分を重ね合わせて考えを巡らせる部分も多かった」/@NHK

心に余裕をもって他者のことを想像できる世の中になればいい

――車いすは目線も変わると思います。何か気が付かれたことはありましたか。

坂井:小さな段差や軽い傾斜でも怖いと感じました。綺麗に舗装されているように見える道でも、でこぼこしていて、坂道もとても多いのですよね。電車に乗るときは、乗車予約が必要で待ち時間も多いそうで、外出をおっくうに感じてしまうこともあると…。普段見ていた景色が変わりました。

――その立場にならないと分からないことは多いですよね。

坂井:そうですね。原作者の岸田奈美さんが4月に、(トークショーのために家族で滞在)アメリカに行っていて、ニューヨークでの様子をツイッターに投稿されていたのですが、それを見ていると、車いすの人、身体が動く人、それぞれの生活がとてもスムーズなんです。

――車いすの人は、車いすごと乗れるタクシーを、配車アプリで選ぶことができるなど、特別視されず、生活ができることはいいなと思いました。

坂井:私たちは少し急ぎ過ぎているところもあると思うので、心に余裕をもって、他者のことを思いやりをもって想像できる世の中になればいいですよね。今回の作品を通じて知る機会をいただいたので、誰もが暮らしやすい社会に変わっていくよう自分ができることをしていきたいと思いました。

取材・文/翡翠
編集/MARU

ドラマ情報

プレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」
【放送】
5月14日(日)スタート<全10話>
毎週日曜 夜10:00~10:50(BSプレミアム・BS4K)
NHKBSプレミアムおよびBS4Kにて放送(全10話) 
【原作】
岸田奈美
【脚本】
市之瀬浩子、鈴木史子
【音楽】
髙野正樹
【脚本・演出】
大九明子
【出演】
河合優実、坂井真紀、吉田葵、錦戸亮、美保純 ほか
【制作統括】
坂部康二(NHKエンタープライズ) 伊藤太一(AOI Pro.) 訓覇圭(NHK)
【公式サイト】はこちら

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