起業、独立、副業で役に立つお金の思考法「税金を払うくらいなら経費で使う」は正解か?穴の開いたバケツでいくら稼いでも資産は増えない?
どっちがお得?「経費を使うか、税金を払うか」。企業、独立、副業、どの道を選んでも稼いでいくためのお金の思考法をファイナンシャル・プランナーの花輪陽子さんに聞きました。
プロフィール
インタビュアー、スタートアップ広報中村優子
目次
人生 100 年時代を自由に生きるためのライフプラン
重要なのはお金と時間の管理
世界的なインフレや不景気によって、稼ぐことは益々難しくなり、生活コストも上昇し続けています。そんな時代でも合理的なライフプラン設計を立ててそれに従って生きれば、好きな場所で仕事を選ぶなどのライフデザインが可能になります。筆者自身もシンガポールで生活をしており、仕事と家庭と子育てとのライフワークバランスを立てながら自由に幸せに暮らしています。
自由な人生設計を立てる上で重要なことはお金と時間の管理です。「時は金なり」で時間という資源を有効活用することによって収入を得ることができます。また、稼いだお金を効果的に使うことによって将来の資産を殖やすことが可能です。資産が増えれば将来不安を軽減させることも可能になります。
「経費を使うか、税金を払うか」お金が増えるのはどっち?
資産を増やす3法則の最優先は「支出を減らす」
資産を増やすシンプルな法則は普遍的で「収入を増やす」「支出を減らす」「運用リターンを上げる」この3つに働きかけるしかありません。
その上で真っ先に手を付けたいことは「支出を減らす」努力です。多くの人が努力次第で確実にでき、「1 円の節約は 1 円の稼ぎ」とイコールの効果があるからです。それだけではなく、支出をコンパクトにしておけば少ない稼ぎでもやりくりができるので老後収入が減少した際にも生活をしやすくなります。
経費は支出そのもの
支出を減らすポイントとしては、ゼロベースで考えるということです。これまで習慣的にやっていること、惰性で続けていることも含めてすべてを見直してみるのです。例えば、自営業の場合、節税のために経費を積みまくる人も多いでしょう。ですが、経費とするにはお金を使わないとなりません。売上によっては、利益を出して税金を払っても手元に現金を残すほうがよい場合もあります。私も日本でフリーランスをしていた時に、年末に経費を無理やり使おうとしていましたが、今から考えるとよくない習慣だったと痛感します。現在、私はシンガポールの法人では経費となる最低限のものに絞り込んで、利益を出して法人税を支払った後にキャッシュを残すような堅実な経営をしています。不況になると現金は非常に強い味方になるからです。
経費以外の無駄遣いを減らす方法
また、経費以外の家計支出の中にも無駄遣いは多いはずです。営業の人に勧められたからパッケージを買ってしまった、無駄な買い物など。私のおすすめは一度自分の大きな支出をすべてあぶり出すことです。まず、よくお金を落としている店舗をランキング付けします。そして、その店舗に行く際には気を引き締めるのです。購入の予定がない時はクレジットカードや現金などを持ち歩かないようにするのも一つでしょう。今月はいくらまで、この期間で自由に使えるお金はいくらまで、など予算立てをすることによって無制限にお金を使うことを避けることができます。
穴の空いたバケツ状態で稼いでもお金は増えない
インフレで厳しくなっていく家計
米国ではクレジットカードのローン残高は 2022 年 12 月末時点で 9860 億ドル(約 132 兆円)となっており、過去最高を更新しているようです。米国では旅行などのサービスにクレジットカードを利用することが多く、リボ払いの残高が伸びた可能性があります。インフレによって家計は厳しさを増しています。しかし、生活費が増えた分、支出を増やし、リボ払いのような定額払いに頼っていたら債務は膨張する一方です。法人でも個人でも無駄な借り入れをすることは避けて、収入が入ってくるよりもゆっくりのペースで、収入よりも少ない金額の支出をするように心がけましょう。
稼ぐためには SNS をやめる
支出を減らしてから収入を上げる努力をしましょう。穴の空いたバケツに収入を入れてもお金はこぼれ落ちる一方だからです。しっかりと収入を受け止めることができる状態になったら稼ぐことに注力をしましょう。収入を上げる上で重要なことは時間を効率的に使うということです。無駄な付き合い、SNS を見ている時間などは極力排除しましょう。無駄な付き合いはお金を減らしますし、SNS を見ていると広告などで物を買わされるリスクもあります。また、自分の収入は「周りにいる 5 人の平均年収が将来の自分の年収」と言われることもあるほどです。悪友を避けて付き合う人を絞り込んでお金の使い方など様々なことで学ぶことができるよい親友関係を築くようにしましょう。
運用は最後に小さなステップから
最後に運用リターンを上げることです。こちらの記事で少しお話をしましたが、米ドル預金でも5%前後金利が付く時代です。日本人の多くは収入が円で、円のリスクを多く抱え過ぎています。資産の一部を米ドルにするのもわるくありません。また、もう少しリスクを取れる人は世界株式インデックスに投資をしてもよいでしょう。米ドル預金と世界株式インデックスに半々というポートフォリオでも現在のマーケットではわるくないと感じます。こうすることによって、将来日本経済が厳しい状況になった時も世界経済の成長の恩恵を受けることができるからです。リスクをあまり取りたくないという人は株式よりも外貨預金の比率を高めにしてもよいでしょう。
このように、雑巾を絞るように支出を減らし、収入を増やす努力、少しでも資産を殖やす努力をしていけば長期的に少しずつ現状よりもよくなっていくはずです。まずは小さなステップとして家計や帳簿の把握から始めてみましょう。
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