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働き方

独立起業の先輩たちからノウハウを学ぶ〈起業家・中村優子さん/後編〉自立するためには起点をひとつ作ると強い。「おせっかい人間関係」が仕事の幅を広げるフリーランスの働き方とは?

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日経ビジネスの宣伝動画「校了乙」、話題の本の著者が次々に登場する「本TUBE」などで聞き手を務めて話題の中村優子さんに聞いた、好きを仕事にする「おせっかい力」とは?

 独立や起業のためにどんな準備をしておけばいいのかを先輩たちに聞くシリーズ。
 林真理子さんのYouTubeチャンネル「マリコ書房」や日経ビジネスの宣伝動画「校了乙」、話題の本の著者が次々に登場する「本TUBE」などで聞き手を務めて話題の中村優子さん(38)の後編は、本の著者へのインタビューからカリスマ経営者たちとの交流、そしてベンチャー企業のサポート役へと仕事のフィールドが広がります。
 原動力となったのは、中村さん自身が「おせっかい人間関係」と名付けたちょっと変わったクセだったといいます。

プロフィール

インタビュアー、スタートアップ広報中村優子

(なかむら・ゆうこ)元テレビ局アナウンサー、インタビュアー、スタートアップ広報。作家・林真理子さんのYouTubeチャンネル「マリコ書房」、および著者インタビューサイト「本TUBE」を運営。インタビュー動画の企画から出演、編集まで一人でこなす。年100本以上の動画制作に関わる。2022年、スタートアップ広報の会社を設立。
先輩起業家Profile

中村優子(なかむら・ゆうこ)元テレビ局アナウンサー、インタビュアー、スタートアップ広報。作家・林真理子さんのYouTubeチャンネル「マリコ書房」、および著者インタビューサイト「本TUBE」を運営。インタビュー動画の企画から出演、編集まで一人でこなす。年100本以上の動画制作に関わる。2022年、スタートアップ広報の会社を設立。

ベンチャー企業の広報・PRをサポート

写真/本人提供

 話題の本の著者に話を聞く動画「本TUBE」のインタビュアーから、著者の代理人として出版社との交渉やマスコミとの取材調整などを務めるエージェントへと仕事の幅を広げた中村さん。新規事業創出の専門家で、リクルートホールディングスなど数々の企業のアドバイザーや内閣府の専門家会議委員を務める守屋実さんと出会い、著書「起業は意志が10割」の出版を実現させたことから、人生がさらに大きく展開していきます。

「守屋さんとの仕事をきっかけにベンチャー企業のみなさんとの関係ができ、2021年からはクラウドファンディングを手がけるベンチャー企業『FUNDINNO(ファンディーノ)』の広報・マーケティングをお手伝いしています。具体的には、資金を集めようとする会社の社長さんをインタビューして、投資家のみなさんに人柄や思いを知っていただく動画を作る仕事ですね」

大作家や大手メディアとの協業もスタート

 本TUBEが約250回を重ねる中でインタビュアーとしての評価が定着し、2021年には林真理子さんと2人で林さんの著書などについて語るYouTube動画「マリコ書房」がスタートしました。日本大学理事長への就任で注目が集まる林さんの、時に率直すぎるほどの発言が楽しめる対談動画を、週1回から2週間に1回のペースで公開しています。

 大手メディアからも注目が集まり、2022年からはビジネス系週刊誌「日経ビジネス」の発売前に、特集を担当した記者やデスクをインタビューして内容をPRする動画「校了乙」にも毎週出演しています。

「ずっと苦手にしていたインタビューという仕事ですが、いろんな方から評価をいただけるようになって、最近やっと『自分はインタビューができる人だ』と思えるようになりました。今、会社でやっている自分の仕事が不得意だと思っている人にも、私のようなことが起きることもあるので希望を捨てないでほしいです」

インタビュアーの枠越えて広報責任者に

 インタビュアーという枠を飛び越える仕事も増え始めました。

 障害者の就業支援などを手がけるベンチャー企業「VALT JAPAN(ヴァルトジャパン)」では、2022年から広報・PRの責任者に就任しました。

「広報の仕事はリスク管理など多岐にわたりますが、創業からの年月が浅いベンチャー企業にとっては、まず世の中に知ってもらうことが重要です。私が経験してきた作家のエージェントという仕事のうち、メディアに売り込んで紹介記事の掲載にこぎ着けるという部分を、大好きなヴァルトジャパンという会社の成長に役立てることができると考えています」

仕事の幅広げる「おせっかい人間関係」とは

 アナウンサー、著者インタビュー、作家のエージェント、経営者インタビュー、ベンチャー企業の広報責任者。中村さんが次々に活躍のフィールドを広げていく背景には、自身が「おせっかい人間関係」と呼ぶ一風変わったクセがあるといいます。

「自分が少しでも関わった人で、『この人とこの人がつながったらおもしろいことが起きるんじゃ?』と感じた人同士を取り持ってつなげるおせっかいが大好きなんです。自分にリターンがあるかはどうでもよくて。仲を取り持った二人がうまくいったり、なにか新しいものが生まれたりしたらそれだけでうれしい。しかも、実は後になってから自分の仕事にいい影響が返ってくることも多くて。情けは人のためならず、って本当ですね」

人気経営者同士の交友関係の裏側には……

 たとえば中村さんが守屋実さんの『起業は意志が10割』の出版に関わっていたとき、『天才を殺す凡人』などの著書でカリスマ的人気を持つ北野唯我さんに出版前のゲラを送ったそうです。

「北野さんにも少し面識があって、この二人は話が合いそうだな、と思ったんです。そうしたら、ゲラを送ったことをきっかけに大手経済誌でお二人の対談が掲載されることになって、『よしっ、やった!』って。そして後日、私の知らないところで守屋さんが今度は、私が広報の責任者を務めているヴァルトジャパンの小野貴也社長に北野さんを紹介してくれて。ヴァルトのPRイベントに人気者の北野さんが来てくれて、すごく注目を集めることができました」

 当代を代表する人気者たちの交友関係を裏で作り上げていた中村さん。おせっかい人間関係、恐るべしです。

専門性よりも「何でもやります」に活路

 仕事の幅が広がる中で、実はアナウンサー時代に心に刻んでいた「基本のき」の重要さにも気づきました。

「アナウンサーって、誰かにすごく好かれることよりも、10人が見たら10人全員に嫌われないことが大切だと思っています。あまり意識していなかったのですが、自分の色を出そうとするより、相手に不快感を与えないこと、身構えさせない振る舞いを心がけてきたことが、様々なお仕事につながっていると感じます」

 今後は広報にとどまらず、マーケティングや人事、経理などのスキルも身につけたいといいます。

「今の時代は専門性が大事だって言われることが多いですが、私のようにキャリアをいったん打ち切った人は『じゃあ、私はもうダメじゃん』って感じてしまうと思うんです。私は何かの専門家にはなれなくても、応援している企業から求められる役割があれば何でもやりたい。あれもやります、これもやりますという『おせっかい力』で、活躍できる分野を広げていきたいです」

《前編はこちら》

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