バラエティプロデューサーが教える、人間関係から仕事のチャンスを生む方法
人との縁を次の仕事に生かすには、何を心がけるべきでしょうか。バラエティプロデューサー、文化資源学研究者の角田陽一郎さんに教わります。
プロフィール
バラエティプロデューサー、文化資源学研究者角田陽一郎
初めて会う人が、自分の仕事を次のステージに引き上げることはよくあります。でも、そのために注意したい点もいくつかあります。バラエティプロデューサー、文化資源学研究者で、『どうしても動き出せない日の モチベーションの見つけ方』(大和書房)の著者でもある角田陽一郎さんが、アドバイスします。
目次
出会いに照れず、一期一会を大切にする
水道橋博士がよく言っている言葉に、「出会いに照れて、チャンスを逃してる人が多い」というのがあります。
照れるというのは、「自分はそんな器じゃない」「まだその人と話せるレベルに達してない」と、自分より上位にあると思っている人との出会いに臆することです。
それに対して博士は、「何年経っても自分はその人のレベルに行くことはない」のだから、割り切って、会えばいいんだと。これは私も同感です。実は、すごい人だと思っていた人が実はそれほどでなかったり、自分の意見も意外と面白いのだと思ったりします。なので、会いたいなと思ったら会うことです。
また、人との出会いは一期一会。一度きりと考えましょう。「次の機会にしよう」と思っても、その機会は訪れないことのほうが多いからです。
人だけではなく、全ては一期一会といえるかもしれません。私は旅先で、「いつかまた来よう」と思っても、その機会が到来したら、その近くの別の場所にいくでしょう。だから、どこかを訪れたら、これは最初で最後だなと。だから一期一会を大切にしています。
自分語りはせずに、会話のきっかけをつくる
私は、飲み会で初対面同士の人が多いときなんかは、どんどん喋って話の呼び水をつくります。
それで、それまで静かだったみんなも、リアクションしようと喋り始めます。そうなったら逆に、私は急に喋るのを控えます。つまり、自分がスターターとなって、皆が話し出すきっかけをつくりたいのですね。
仕事の現場でもそうです。タレントさんにインタビューするときは、「この番組なんですが……」と口火を切って、「あなたの出ていたあの作品が好きでした。だからこの番組に出てほしいと思ったんです」などと、相手が話し出すのを促します。それで、向こうが口を開きだしたら、こちらは極力喋らないようにします。
自分語りという言葉がありますが、基本的に、自分のことは喋らないようにしています。ただし、そうしたほうが場が温まると判断したら別です。「いや、角田はそう言うけど、私の場合はね……」と言ってもうらうのを期待したりですね。
相手から会話を引き出すために、ひな型を使うのはありです。例えば「私はこの映画観た時、こう思ったんです」と言う。相手はそのパターンで私も感想を話せばいいのねと乗っかりやすくなります。
自分語りの代わりに、スターターになる会話を心がけることで人間関係は深まります。
恩は本人に返すより「恩送り」
人との出会いのなかで縁を感じて、それが仕事につながることがあります。
それを期待して、頑張って縁を広げようとする人もいますね。でも、強引につなげていく縁よりも、たまたまの出会いを大事にするほうが、結果としてつながっていくのではと思います。
そして、縁がつながった時に、一番大事なのが恩です。私は、相手にそのまま恩を返すのではなく、別の人に恩を送るという、恩送りを意識しています。
恩送りというのは例えば、Aさんに恩をもらって、Aさんに恩を返すのではなく、別のBさんに送る。するとBさんもCさんに恩を送って、巡り巡って自分のところに返ってくるというもの。
以前、クリエイターエージェンシーの社長である佐渡島庸平さんから、ある仕事の件で声をかけられました。その仕事は、知り合いの制作会社のDさんの方が適任だと思ったので紹介しました。その後、Dさんが別の誰かと仕事する時に、私を紹介してくれました。これが恩送りの一例です。
直接相手に恩を返してももちろんいいのですが、それが難しければ恩送りでもいい。恩が拡散されていくのがいいのです。
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この記事を書いた人
- 都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。