Interview
インタビュー

高校生が個展開催で学んだビジネスの基本高校生フォトグラファーがたった一人で個展開催。学校のチャレンジプログラムで「好きを仕事にする」一歩を踏み出して感じたこととは?

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高校生フォトグラファーが今年1月「高校生の写真展」を自力で開催。初めての挑戦で「好きを仕事にする」ヒントを探りました。

京都の東山高等学校入学と同時に写真部に入部。幅野初毅さんは、カメラと写真が大好きな高校3年生です。学校のサポートプログラムを活用し、たった一人で写真展を開催しました。学校のサポートプログラムとはいえ、プレゼンテーションを行い採択されることが必須。さらに作品作り、会場探し、集客は「好きを仕事にする」はじめの一歩だったと言います。

学校のチャレンジプログラムで個展開催

高校生の個展開催って珍しいですね?

はい。京都の町屋を改装したレンラルギャラリーで個展を開催しました。私の高校生活3年間はコロナ禍と共にありました。大会などにも写真を出品したのですが、大会の審査員の方だけでなく、一般の多くの人に私の写真を見てもらい、多くの感想をいただける機会を得たいと思いました。作品を知ってもらいたい、そして、作品に対してどう思うのか、意見が聞きたい……その一心でした。

個展の費用はどこから?

私の学校には「東山チャレンジ」というプロジェクトがあります。学校の教育目標である「セルフ・リーダーシップ」の実現を目指して、生徒が企画・立案したプロジェクトに対してコンペティションを行って、優秀なものに対して予算を援助するというものなのですが、これに応募して、予算を獲得しました。

学校に提出したプレゼン資料の一部

コンペでは何をした?

はい。プレゼン資料をつくるところからはじめました。私が考えていること、この個展でやりたいことを伝えるためにどうしたらいいのか、今までの人生で一番考えました。父と母がアドバイスを求め、修正点を教えてくれたのですが、何十回も書き直しをしました。どうしたら自分の思いが伝わるのかが、書き直しただけ、見えてきた気がします。また、父と母の意見を聞きながら、「働く人の視点」を手にすることができ、少し、大人になった気がします。

自分で作ったDM。写真展のタイトルは「高校生の写真展」

人目に付かない路地中のギャラリーを選んだワケは?

いくつか候補があって、順番に見に行ったのですが、「Gallery35」さんは、建物を見たときにすっかり気に入ってしまったんです。「ここでやってみたい」と思いました。細い路地を入っていった場所にあって、人通りがないので写真をゆっくり見てもらえ静かな環境も魅力的でした。自分の作品がどういうところに展示され、どんな人に見てもらえるのか、ギャラリーを決めたことによって明確になった気がします。

どうやって来場者を集めた?

ギャラリーの費用を差し引いた残りの予算でDMやポスターをつくりました。オーナーさんが教えてくださった「Canva」というデザインアプリをはじめて使って、自分で作りました。出来上がったDMをギャラリー周辺の飲食店に置かせていただいたり、カメラ屋さんなどにお話を聞いてもらったりしました。一人で突然お店に飛び込んで「自分の写真を見て欲しい」という思いを、知らない人に直接伝えるという貴重な機会になりました。

写真展に対する反響は?

40名以上の方が見に来てくださって、私の写真を見てどう感じたのか、たくさんの感想をいただくという願いが叶いました。多くの人を感動させるような写真を撮るのはもちろん、そこから作品を見て懐かしい気持ちになると言ってくれた方のように温かい気持ちになってもらえるような写真、多くの人の心に響く写真を撮っていきたいと思っています。来場者にアンケートをお願いしたのですが「懐かしい気持ちになれたよ」という声をいただけて、本当に嬉しかったです。一方で、作品を見た方々がそれぞれ自由に、ご自分の感覚で捉えてくださっていることに新鮮さを感じ、新たな発見もたくさんありました。

個展と通じて何か変化は?

学校の写真部の活動ではコンテストなどに出場し、プロの方や審査員の先生方に見ていただきますが、広く社会に向けて「自分の作品を見てもらいたい。そして、感想をもらいたい」という気持ちからでした。自分の作品の意図が、一般の方に伝わるかを知りたかったんです。

個展を通じて、写真にしかない力を感じました。たった1枚の写真がその人の心の中にある大切な思い出を思い出させてくれるという写真の本質的なこと今回学ぶことができました。良い作品というのは、良い写真がそこにあることはもちろん、そこから何かを感じるてくれる人の存在があることだということも学びました。

好きな写真を仕事にしたい?

将来のことはわかりませんが、写真に携わる仕事ができたらと考えています。

写真展は初めての経験で、一歩踏み出すのは確かに勇気がいることでしたが、その勇気を振り絞って動いてみると、たくさんの人が応援してくれました。自分で何かをやること、始めることは、最初の一歩は自分の足で踏み出すとしても、たくさんの人のサポートで実現するのだと感じました。学校の先生や父や母、ギャラリーの方、DMを置いてくださったお店、見にきていただいた方々すべての皆さんに感謝して、これからも活動して行きたいと思います。

第2回に続く

この記事を書いた人

MARU
MARU編集・ライティング
猫を愛する物書き。独立して20年。文章で大事にしているのはリズム感。人生の選択の基準は、楽しいか、面白いかどうか。強み:ノンジャンルで媒体を問わずに書けること、編集もできること。弱み:大雑把で細かい作業が苦手。

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