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インタビュー

小説家・吉田親司/インタビュー第2話『作家で億は稼げません』専業作家が語る仕事のリアル。著書100冊突破でわかった枯渇しないために必要なものは?

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ベストセラーがなくても、専業作家歴20年、著書100冊以上。ハイペースで執筆しても枯渇しない、テーマ選びのポイントを伝授。

プロフィール

小説家吉田 親司

1969 年、福岡県生まれ。日本 SF 作家クラブ会員。2001年に『新世界大戦 Episode3』(KK ベストセラーズ)で作家デビュー。著書は『ミッドウェー要塞 1941』(電波社)、『ガ島要塞 1942』(経済界)、『女皇の帝国』シリーズ(KK ベストセラーズ)、『マザーズ・タワー』(早川書房)、『作家で億は稼げません』(エムディエヌコーポレーション)など 100 冊を超える。

作家志望必読。20 年間で 100 冊以上の本を執筆してきた、専業作家の吉田親司さん。作家になる前は 8 年ほど会社員時代も。社会人時代に身につけた経験が作家として生き残る基礎を作ったといいます。そして、自分だけが書けるジャンルを見つける方法とは?会社員として悶々としていた時期を経て、“好きなことだけして生きていく”覚悟を決めた吉田さんだからこそできるアドバイスを教えていただきました。
*全2話、前編はこちらからどうぞ

作家以上に頭のいいキャラクターは作り出せない。インプットの方法は?

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ライター顔写真

吉田さんは“仮想戦記”というジャンルで執筆されているので、専門知識を仕入れることも重要な作業ですね。

インタビュアー顔写真

軍事系の資料はもちろん、直接自分に関係ない本もたくさん読んでいます。

ライター顔写真

執筆に営業、そしてインプット作業……。果てしないですね。

インタビュアー顔写真

結局のところ、作家以上に頭のいいキャラクターは出せませんから、魅力あるキャラクターを生み出すために、インプット作業はおろそかにできないんです。

ライター顔写真

たしかに。軍事系の資料は目星がつきやすいと思うのですが、専門外の知識はどうやって身につけるんですか?

インタビュアー顔写真

例えば私は歴史系のゲームが好きなんですが、プレイしているうちに時代背景やどんな国と貿易していたかなど、気になったことを逐一調べるんです。するとまた気になることが出てきて……。

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どんどん興味の枝葉が伸びていくんですね。

インタビュアー顔写真

そう。だから取っ掛かりはなんでもよくて、そこから展開していけば、知識というものが体系的に広がっていくと思うんです。

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そうやって得た知識が小説に生きてくる……。1つ1つの知識は薄くてもいいんですか?

インタビュアー顔写真

ほんのちょっとでも知っていれば、そこをテコにして調べることができる。
だからたとえ 0.1 程度の知識でも、0との差は実はものすごく大きいんです。

ライター顔写真

たしかに。

インタビュアー顔写真

だからこそ広く薄くでもいいから、知識を入れるための作業をしなければいけないと思っています。

食事、入浴、睡眠以外は起きている間は全て執筆

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一番多い時で、1日何時間執筆されていたんですか?

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調子がいいときは1日 14 時間くらいです。

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それってほぼ起きている間ずっとって感じですよね?

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そうですね。食事、入浴、寝る以外の時間はすべて執筆と資料検索です。ただ、今は半分以下になってしまいました。
机に向かうのも体力が必要ですから。

ライター顔写真

ずっと机に向って書き続けるって、想像以上に大変なことだと思うのですが……。

インタビュアー顔写真

腰が痛くなりますけど、でも辛いと思ったことはないですね。
嫌だったらやめていると思いますが、やめてないということは、嫌になってないんでしょう。好きなことを仕事にできるということが一番うれしいことで、そうなりたいと思って今まで人生を過ごしてきたし、計画的に動いてきましたから。

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20 年間書き続け、これからも書き続ける……。

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そう、ずっと。私は小説にしがみついて生きていこうと決めたので独身を通していますし、できれば 24 時間、ずっと小説のことだけ考えて暮らしたいです。

出版まで持ち込むには、読者を上回る愛に満ちたテーマを見つける事?

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小説家に限らず、独自のスタイルやジャンルというのはその人の最大の武器となると思うのですが、そう簡単には見つけられませんよね。

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そうですね。今、まだ世に出ていないものは、大抵は考えついたけれどやらなかったか、やってもうまくいかなかったかのどちらか。
ただ、まだ形になっていないものを考え、作り上げていくことは商売としては面白いし、うまくいけばお金にもなることなので、根気強くトライしてほしいです。

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根気強くトライし続けるには、何が必要だと?

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ずばり“愛”です。作品やテーマ、ジャンルに傾ける愛情が、少なくとも読者を上回っていなければ話になりませんから。
実際、私が書き始めたきっかけも、“仮想戦記”のジャンルで私が読みたい小説を誰も書いてくれなかったから。
そのテーマに関しての“愛”が強いゆえの行動です。

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愛……ですか。

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ただ、あまりにも傾ける愛が偏りすぎると、ニッチになりすぎて読者を置き去りにしてしまう。面白みを崩さずにどうやって分かってもらうか、その噛み砕く程度が小説の難しさであり、テクニックの見せ所でもあるんです。

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自分の愛を押し付けるのではなく、みんなに分かってもらうための段取りや工夫が必要なんですね。

インタビュアー顔写真

そうですね。私の本が受け入れられたように、書き手の“愛”を否定せずに理解してくれる人は必ずいます。
そういう人たちに届けられるように、作品を商品にしていければベストだと思います。

ライター顔写真

最後に、吉田さんのように好きなことを仕事にしたいと考えている人にアドバイスをお願いします。

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そうですね、まず自分の仕事に対する“愛”を信じること。
そしてその愛をきちんと理解してもらうために工夫をする。そのためには勉強も必要になるでしょう。自分の好きなことだけでなく、関係ないことにも興味を持ち、勉強をすることが大切だと思います。

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たとえ 0.1 でもいいから、いろんなことを知った方がいいということですね。

インタビュアー顔写真

そう。さらに、気に入ったものがあったら分析するということも大切です。
先日、専門学校で1冊の本を1章ずつ細かく分析するという授業をしました。そうすると自分が書く時に“こうしたらいい”ということが分かってくるんです。
やはり型を知らなければ型を破ることはできません。それを知るためには細かく分析し、考察するということが必要だと思います。

吉田親司さん著書『作家で億は稼げません』
抽選で5名様にプレゼント

吉田親司さん著書『作家で億は稼げません』(エムディエヌコーポレーション)を抽選で5名様にプレゼントいたします。ベストセラーはなくても、億は稼げなくても作家として生きていくためのノウハウが詰まった1冊です。

キャンペーンご参加の方は、下記のフォームにご記入の上、お申し込みください。

締切は2022年12月31日までです。

※こちらで記載いただいた個人情報は、株式会社大和書房のプライバシーポリシーに準じて扱わせていただき、本キャンペーン以外で使用することはございません。


ご応募お待ちしております!

取材/I am 編集部、岡田マキ
文/岡田マキ
写真/CANVA

この記事を書いた人

岡田 マキ
岡田 マキライティング
ノリで音大を受験、進学して以来、「迷ったら面白い方へ」をモットーに、専門性を持たない行き当たりばったりのライターとして活動。強み:人の行動や言動の分析と対応。とくに世間から奇人と呼ばれる人が好物。弱み:気が乗らないと動けない、動かない。

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