Interview
インタビュー

小泉今日子と浜田真理子が演出家・久世光彦のエッセイ『マイ・ラスト・ソング』の世界を唄と朗読でCD化。二人の「人生の最後のときに聴きたい歌」とは。

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2枚組のアルバム「マイ・ラスト・ソング・アンソロジー」を5月3日にリリースした小泉今日子さんと浜田真理子さんが、制作時のことや選曲について語ってくれました。

プロフィール

シンガー・俳優小泉今日子

(こいずみ・きょうこ)1982年に歌手としてデビュー。17才のときに久世光彦氏に出会い、演技や文章など大切な事を全て教わって以来、久世を恩師と仰いでいる。女優として映画や舞台に多数出演。2015年制作会社『明後日』を立ち上げ、舞台や音楽イベントなどの演出やプロデュースなどにも従事。

プロフィール

シンガーソングライター浜田真理子

(はまだ・まりこ)学生時代より、ピアノで弾き語りの仕事をはじめ、1998年1stアルバム『mariko』でデビュー。04年にはドキュメンタリー番組「情熱大陸」(TBS系)に出演して反響を呼んだ。各地でのライブを中心に活動しながら、アーティストや映画、ドラマへの楽曲提供なども多数行う。

2006年に急逝した演出家・久世光彦を恩師と呼ぶ小泉今日子さんと、久世のドラマを観て育った浜田真理子さん。久世さんが遺したエッセイ「マイ・ラスト・ソング」の世界を唄と朗読で表現したCD『マイ・ラスト・ソング・アンソロジー』について語ります。

「マイ・ラスト・ソング・アンソロジー」を5月3日にリリース

――2枚組のアルバム「マイ・ラスト・ソング・アンソロジー」を5月3日にリリースされます。

小泉今日子:はい。私の恩師である(演出家)久世光彦さんが2006年に亡くなられた後、久世さんへの恩返しのためにと、2008年から始めた朗読劇『マイ・ラスト・ソング』がもとになっています。

――公演では久世さんが雑誌「諸君!」に「人生の最後の刻に聞きたい歌」をテーマに連載していたエッセイで取り上げられた曲を紹介されていました。

小泉:久世さんは曲と一緒に、その曲にまつわるエピソードをのこされていたので、その文章を私が朗読し、(浜田)真理子さんがピアノと歌で聴かせてくれました。

――アルバムは、1枚目が朗読とカバー。2枚目はカバーした曲などを含んだオリジナル曲が収録されています。

小泉:カバーや朗読を通じて知った曲と、オリジナルの作品をつなぎたいという思いがありました。カバーが良いとオリジナル曲を聴きたいと思うので、かゆいところに手が届く作品になったなと思います。

「かゆいところに手が届く作品になったなと思います」と小泉今日子さん

――久世さんのエッセイは、14年間に及ぶものでしたので、童謡や歌謡曲など100曲以上が紹介されていました。アルバムの1枚目には、その中から5曲分の朗読と、7曲分のカバー曲が収められています。

小泉:カバーってアレンジが重要だと思うのですが、C Dもいつもライブでやっているシンプルなものにしようとなりました。

浜田真理子:そう。装飾をしない歌詞とメロディー、骨のような部分を伝えたいと、ピアノと歌だけで新録しています。

小泉今日子と浜田真理子が絶対に入れたかったあの曲

――どのように選曲して行かれたのでしょうか。

浜田:2008年から、各地で公演をしてきた歴史もあるので、ベスト盤的なものを作りたいという思いがありました。

小泉:思い出がある曲を入れたいねという思いはあったよね。

浜田:そう。私は『朧月夜』、『月の砂漠』は入れたいなぁって。

小泉:うん。私が絶対入れたいと思ったのは、美空ひばりさんの『さくらの唄』でした。この曲はヒットには結びつかなかったという逸話があるんです。久世さんが、ひばりさんに歌ってほしいと奔走するエピソードがとってもカッコいいんですよね。

――ひばりさんに歌ってほしいと、久世さん自らレコード会社に足を運んで門前払いにあったという話ですね。

小泉:そうです。そして久世さんのオファーを断ったレコード会社は、いま私たちが取材を受けている、このコロムビアなんですよね。笑。

浜田:そうそう。

小泉:この曲は、一般のお客さまを集めた公演でも披露していましたが、久世さんの7回忌のときに、友だちだけを集めてスイートベイジル(2014年まで、東京・六本木にあったライブハウス)で行った法事のときにもやったんですよね。客席には喪服姿の奥さまと、(中村)勘三郎さん(18代目)、伊集院静さん、内田裕也さんもいて、そこで「良い曲だからといって、売れるとは限らないのである」って読んだら…ね。笑。

浜田:業界の人は曲のために、駆け回っていた久世さんのことを知っていたので…。「売れるとは限らないのである」っていうくだりで、大うけしていたよね。ドッカーンって。笑。

浜田真理子さんが人生の最後に聴きたい曲は童謡の「旅愁」

小泉今日子が自分の出棺の時に聞きたいのはナウシカとBTS!?

――「人生の最後のときに聴きたい歌」について、おふたりはどのようにお感じですか?

小泉:真理子さんと一緒に公演を始めた当時は、「そんな風に感じることもあるのかな」って、その重みが分かっていなかったのですが、久世さんがエッセイを書かれた年齢に自分が近づいてからは、言葉の重さが分かるようになりました。

――人生の最期に聴きたい曲は、どんな曲ですか?

浜田:私は童謡の「旅愁」です。

小泉:私は出棺されるときに流してほしい曲は、決めているんです。宮崎駿さんのアニメーション映画「風の谷のナウシカ」の主人公のナウシカが憧れの人なので、(挿入歌の)「ナウシカ・レクイエム」で送ってほしいです。でも今日、もしうっかり死んでしまうようなことがあったら、BTSにしてほしい。

――BTSのどの曲ですか?

小泉:お経も戒名もいらないので、BTSの「Fly To My Room」をかけてほしいです。この曲はコロナ禍で、ステイホーム中に作られた曲なのですが、「どんな状況でも、考え方次第で旅をすることができるよ」っていう思いが込められた曲。前を向く力になったので、この曲をかけてほしいです。

――5月7日のBillboard Live YOKOHAMA(横浜市中区)を皮切りに、福岡・北九州、大阪、島根、岐阜、北海道、最後は東京で全国8カ所12公演を予定しています。

浜田:ツアーをするのは3年ぶり。コロナ禍で出来なかった横浜と、私の故郷でもある島根で公演できるのがうれしいです。久世さんのエッセイと、久世さんが遺されたドラマを大切に選曲した、ダイジェスト版のようなものになると思います。

小泉:朗読劇には、サクソフォンのMarinoさんも出演してくださいます。音がぐっとカッコよくなっているので、楽しみにしてほしいです。

3年ぶりのツアーが予定されている

取材・執筆・写真/翡翠
編集/MARU

【リリース情報】

2023年5月3日(水)リリース
『マイ・ラスト・ソング アンソロジー』
CD2枚組 ¥4,400(税込)
COCP-42002~3(びいだまレコーズ/日本コロムビア)
DISC1:唄・ピアノ:浜田真理子&朗読:小泉今日子による新録音
DISC2:オリジナル音源によるコンピレーション盤
CD商品詳細はこちら

2023年5月3日(水)配信リリース
『マイ・ラスト・ソング アンソロジー -コロムビア・セレクション-』
COKM-44354(配信限定)
浜田真理子の弾き語りの唄と小泉今日子による朗読と、エッセイ『マイ・ラスト・ソング』から厳選した12曲のオリジナル楽曲(CD版未収録の音源も収録)を収録
配信詳細はこちら
配信リンクはこちら

【ツアー情報】


マイ・ラスト・ソング2023~久世さんが残してくれた歌~

【神奈川】Billboard Live YOKOHAMA
5月7日(日)1st:16:30 / 2nd:19:30
【福岡】北九州芸術劇場中ホール
5月13日(土)1st:14:00 / 2nd:18:00
【大阪】Billboard Live OSAKA
5月20日(土)1st:16:30 / 2nd:19:30
【島根】島根県民会館中ホール
5月27日(土)17:00
5月28日(日)  14:00
【岐阜】
6月3日(土)17:00 ぎふ清流文化プラザ長良川ホール
6月4日(日)15:00 可児市文化創造センターala 主劇場  
【北海道】道新ホール
6月9日(金)19:00
【東京】I’M A SHOW (アイマショウ)
6月11日(日)16:00
■テキスト 久世光彦
■構成  佐藤利明
■演出  佐藤剛
■出演  (唄・ピアノ)浜田真理子(サックス)Marino(朗読)小泉今日子ツアー詳細はこちら

この記事を書いた人

翡翠
翡翠執筆・写真
音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。

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