「web 上で本が作れるサービスの将来性は?」ターゲット・ニーズ・価格設定の見極めが大事〈投資家にカベウチお願いしてみた〉
編集者が立ち上げた Booko は、プロの視点で組まれた美しいレイアウトを使って、web 上で本が作れるサービスです。「Booko が成功するカギは?」「改善点とその方法は?」など、市場を見ながらくわしく解説していただきました。
目次
Web 上で本が作れる アプリとは?
今、kindle出版が人気ですが、アマゾン POD(プリントオンデマンド)が個人に開放されたことで紙の本を個人出版できるようになりました。このPODを利用し 1 冊から紙の本を作れるサービスがリリースむに向けて立ち上がっています。実用書の編集者が立ち上げたのが特徴で、プロの視点で組まれた美しいレイアウトで本が作れるといもの。
ターゲットは、本を作ってみたい人、自分でクリエイティブを楽しみたい人。またビジネスを書籍で PR する事業主や起業家です。たとえば、本を作るときに美しいビジュアルと文字を必要とする料理研究家。ご自身の教室のレシピ本を出し、販促に使えます。他にも、ビジュアルエッセイやライフスタイルに関するビジネスに需要があると考えています。
商業出版のように1万部売れなくても、10 部、20 部売れる人はたくさんいるのではないだろうか。1 冊から紙の本を出版できたら、リスクがないと喜んでもらえるのではないだろうかとの思いが原点にあります。
成功のカギは「ターゲット」と「価格設定」
鈴木絵里子さんの解説
ターゲットは明確
市場が大きく、ターゲットも明確になっているのがいいなと思いました。クリエイターエコノミー(クリエイターが自身の表現で収入を得ることにより形成された経済圏)が一般的になるにつれ、いろんな分野のクリエイターが増えています。生徒さんが月 10 人ほどの料理教室をしている方たちのあいだでは、年間 500 億円ぐらいのお金が動いていますし、本の出版は着実に伸びていくと思います。
価格設定は高めにしてニーズにリーチさせる
ただ、価格をどうするかによって競合相手が変わります。手軽にデザインができる Canvaはほぼ無料でサービスが使えますし、有料プランであっても月 1000 円以下。Canva のようにロングテール(メイン商品の売上よりも、ニッチな商品群の売り上げ合計が上回ること)を狙っていくのは難しいと思います。また Canva はデザインを生成できる AI を取り入れ始めて、今後もどんどんデザインテンプレートが生成されていきます。
現状、Booko が Canva と同じように 1000 円ほどの価格帯で競争することは難しいと思います。今までの自費出版のように数百万円も払えないけれど、10 万円とか 100 万円なら払える、むしろ払ってクオリティ高い本を作りたいという層にフィットするのかなと思います。
本を作ったあとのビジョンを見せる
Booko で本を作ったおかげで集客ができました、コミュニティを継続する方が増えました、というようにメリットを明確化すると、このサービスを使う意味がより見えてくるのではないでしょうか。
チームはプロの編集者とデザイナーなので、すでに信頼関係がありますし、独自のノウハウをお持ちです。品質改善のためエンジニアを採用したり、いいアドバイザーを見つけたりしてテクノロジーにも注力すると、スケールしていく可能性があると思います。
やりたい気持ちを優先させて、冷静な分析ができていないかも?
Booko の反省会
プロの投資家のお話を聞けたのはほんとうにありがたい。自分ではよくよく考えたつもりでいたが、まだまだ考えも行動も足りていないと痛感しました。
「自分のやりたいこと」だから、不安要素や課題などがあっても「やりたい」気持ちを優先させてしまう。でもそれが十分な検証やリスクヘッジ、よりよいサービスへの改善に繋がらなくなってしまうので、きっちり向き合っていくことが必要。
価格設定についても出版不況と言われる中、1 人でも多くの人に「本を買って読む」から「自分で作る」ことで、出版にジョインしてもらうことで盛り上がっていけば、もっと本好きが増えるのではないかと考えていたが、客観的には高額サービス=ニッチなビジネスであると再認識した。
でも、今日伺った話を都合よく解釈せず、一つ一つクリアして行きたいと思った。まずはBooko を使った成功体験をひとつでもたくさんつくって、それを訴求していきたいと思います。でも 1 人でできることは限られているので、チームが必要なのかなと思いました。
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この記事を書いた人
- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。
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