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高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル優れたビジネスモデルを考える人は何が違うのか?「鳥の目」「虫の目」「魚の目」を持とう

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爆速でビジネスを成功させるためには「3つの目」が必要と言われています。優れたビジネスモデルを考える人は、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」という3つの目(物の見方)を使い分けています。そこで今回は、ビジネスモデルに磨き上げる方法について解説していきます。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

東京大学法学部卒業。デジタルハリウッド大学院客員教授。プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。

ビジネスモデルの視点の鍵は「ズームイン・ズームアウト」

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ここまで「半径5メートルのビジネスモデル」を考える過程で、自分の置かれた環境分析や、自分自身のWill-Can-Mustという内面をベースにして、副業や起業としてやりたいビジネスを考えてきました。
すなわち、自分自身を俯瞰したり、内側へ意識を向けて考えることで、「自分が納得できるか」「続けられるか」という視点で考えていきます。

その上で、ビジネスとして始める以上、「客観的に続けられるか」について考える必要があります。そこで、ビジネスモデルキャンバス、リーンキャンバスといったフレームワークを使って、「客観的に続けられるか」を考えました。

今回は、「ビジネスモデル」を更に磨き上げるべく、視点をズームアウトさせて「世の中の大きな動きを把握する『魚の目』」、逆に視点をズームインすることで「顧客への提供価値をより深掘りする『虫の目』」を紹介していきます。

ビジネスの構造を俯瞰して見る「鳥の目」

これまでの連載(第16回以降)で、「ビジネスモデルキャンバス」について解説してきました。

このフレームワークのいい点は、ビジネスモデルで考えるべき「戦略」「オペレーション」「収益」の3つを9つの項目に分けて考えていくので、考える要素の抜け・モレがなくなること。そして、9つの項目が、A4 1枚にまとまることから、情報の一覧性があることです。

網羅すべき情報を一覧できることで、今考えているビジネスの構造を遠くから俯瞰して考えることができます。いわば「鳥の目」です。

世の中の大きな動きを見る「魚の目」

世の中の大きな動きを見る「魚の目」にあたるのが「環境マップ」。

環境マップは、ビジネスモデルを取り巻く外部環境を大きく4つの領域に分けて、ビジネスモデルに与える要因をして検討するものです。

<4つの領域>

重要なトレンド規制、技術、社会や文化に関するトレンド
マクロ経済グローバル市況、資本市場、経済インフラなど
市場の趨勢市場動向、顧客ニーズの動き、収益性など
業界の趨勢競合他社や新規参入者の動きなど
(出所)https://bizzine.jp/article/detail/1393より引用、一部改変

上記「環境マップ」は見る範囲が大きく、「半径5メートルのビジネスモデル」で全てを一から考えるのは大げさでもあります。

そこで、下記のような「企業・創業向けの市場調査データ」を活用すると良いでしょう。
「飲食業関連」「物販業」「サービス業」のカテゴリーで、多種多様な業種別に消費者の利用動向に関する市場調査データを無料で入手でき、おすすめです。

J-Net21:中小企業基盤整備機構が運営する中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサイト。

市場調査データ

顧客を近くから観察する「虫の目」

顧客を近くから観察する「虫の目」にあたるのが「バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas略して「VPC」)」。会社の商品・サービスと顧客のニーズのズレを解消するために生まれたフレームワークです。

右側の顧客セグメント(Customer Segment)、「顧客のしたいこと」「顧客の嬉しいこと」「顧客の嫌なこと」を棚卸し、それに対応する形で左側の価値提案(Value Proposition)を考え、埋めていきます。

自分が考えた商品・サービスが顧客のニーズにマッチしているかの判断に役立つだけではなく、3つの視点の中で、今満たせていない項目があれば、将来的な商品・サービス展開を考えるヒントにもなります。

半径5メートルのビジネスモデルは「虫の目」がポイント

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副業・起業の「半径5メートルのビジネスモデル」。
考えたビジネスの枠組みを、いきなり顧客候補にぶつけてトライ&エラーのなかでビジネスモデルを磨き上げる方法もあれば、上記の「魚の目」や「虫の目」と視点を変えてビジネスモデルをより検討することで、より良いものにブラッシュアップしていくこともできます。

特に「バリュープロポジションキャンバス(VPC)」は、ビジネスのキモとなる「顧客への価値提供」を深掘りするには格好のフレームワークです。顧客の理解も深まるので、是非活用してみてください。

次回は「バリュープロポジションキャンバス(VPC)」の使い方について、事例と共にお伝えしていきます。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

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