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コロナで変わった人、変われなかった人フリーランスライターが副業を始めた理由とは?

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副業や在宅ワークで人気のライター業。しかしコロナで少なからず影響をうけた職種でもある。ライターのリアルを探る。

最近、フリーランスのライターが副業を始めた話を立て続けに聞いた。フリーランスが副業とはどういうことか、さっそく話を聞いてみた。

コロナで一変「ライター一本では難しい」

大手出版社の雑誌をメインにライティングをおこなう鈴木拓也さん。6年前に翻訳会社から独立してフリーランスのライターに。AIによる自動翻訳の性能が飛躍的に上がったことで、翻訳家のギャラが下がり始めたことが原因でした。

たまたま小学館のとある雑誌でライター募集を見て応募。遅咲きの桜で40代後半からフリーライターの道を歩み始めることに。翻訳会社でも言葉を扱う仕事だったということ、観光や文化という好きで得意なジャンルがあったため、いくつかの編集部をかけもちしながら順調に仕事をこなしてきました。

しかし2020年からは始まったコロナで状況は一変。旅や観光ジャンルのライター仲間が一気に仕事がなくなる窮状を目の当たりにし、「筆一本で食べていくのは難しいかもしれない」と感じたといいます。

そもそも終身雇用、終身定住に違和感

そこでもう一つの軸足にしたのがカメラ。「もともと写真には興味があったことと、好きな場所に行って暮らしてみたかったから」。

まずは10万円ほどのカメラを購入。しかしすぐに数十万円のものに買い替え、車一台分ほどの金額を機材と撮影スキルにつぎ込んだそう。加えて早々に移住生活をスタートさせ、半年の屋久島生活を経て、現在は青森に居を構え、東北の美しい風景をカメラに収めながら、ライティングの仕事を続けています。

「終身雇用、終身結婚、終身定住にずっと違和感がありました。自分が松尾芭蕉や種田山頭火のようなキャラであることを前向きに認めるようになったのは、アラフィフを迎えてからです。

カメラに情熱を持っているのは、普通であれば人生を生きるのに弱点となる要素をプラスに転化できるからというのもあります。フリーランス、天涯孤独、あちこち移転というのは、写真家にとって大きな強みであり差別要素です。「弱点」と思っていることを強みにするのが、好きを仕事にするポイントの1つです」

世界一ハードルの高い写真ギャラリーに投稿

世界で最も審査が厳しいとされている写真ギャラリー「1X」に採用された写真

写真で稼ぐのはまだこれからで、起業家のプロフィール撮影や婚活写真の需要を見越している。風景写真はスウェーデンの「1x」という写真ギャラリーへの投稿をスタート。この1xは世界最難関の写真ギャラリーで審査も非常に厳しく、投稿されても採用されるのはごくわずか。その分クオリティが担保され、上客がついているという。

「ヨーロッパでは写真を額に入れて飾る文化があります。写真はプリントできるので、1点いいものが撮れれば何人もの人に買ってもらえる可能性があります。でも、ライターの仕事は記事を1本書いても買ってくれる出版社は1社だけ」と写真の可能性とライティングの限界を語る。

京都瑠璃行院での写真。Facebookに京都の写真をアップしている
上賀茂神社の境外摂社、大田神社の雪景色

Webライターのリアル

今、フリーランスや副業では、エンジニアやクリエイティブに次いで人気のライター。副業解禁、DX化によるオウンドメディア勃興で、実際のところ需要は高い。

でもその多くはSEO記事を書く仕事がほとんど。雑誌や書籍ではなく、webメディアや個人ブログでのライティングは概ね単価が低いとされています。

数年前に比べて改善されたものの「1円ライター」という言葉に象徴されるように、1文字1円がギャラの相場とも言われています。例えばこの記事だと約2000文字なので原稿料は2000円という計算です。

実際、クラウドソーシングをのぞいてみると文字単価1円の案件はまだいい方で、1文字1円以下のものもざらにあります。

結果、多くのwebライターは

  • 数をこなす
  • 辞める
  • スキルをアップし予算のある仕事を探す

のいずれかの道を選ぶことになるのですが、だいたいが①か②の道を選ぶことになります。

鈴木さんも紙媒体からスタートしたものの、雑誌そのものがwebに移行し、web記事の比重が高くなってきた。

「紙媒体に比べて、webはどうしても原稿料が低くなります。紙媒体はページが決まっているので、書き手の数もおのずと制限され、新しいライターの参入の余地はなかなかありません」

ギャラの高い媒体は競争率が高く、新規参入が難しい。それでも「書くことは好きだから、ライターの仕事はやめないと思います」と言い切る。

「やっぱり好きがないとできないんです、フリーランスの仕事は。スキルや能力がエンジンとしたら、情熱ややる気はエンジン動かす燃料だと思います」と仕事へのモチベーションを語る。

数年前から「複業」という言葉が流行りましたが、フリーランス副業がこれからは当たり前になる時代かもしれません。

どっちに転んでも、どっちにでも行ける。そんなフットワークの軽さが、これからの時代の最強のリスクヘッジになるかもしれません。

この記事を書いた人

長谷川恵子
長谷川恵子編集長
猫と食べることが大好き。将来は猫カフェを作りたい(本気)。書籍編集者歴が長い。強み:思い付きで行動できる。勝手に人のプロデュースをしたり、コンサルティングをする癖がある。弱み:数字に弱い。おおざっぱなので細かい作業が苦手。

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