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高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル#10 「アイデアが突然ひらめく」ためにすべきこと

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前回、個人がイノベーションに有利な理由をご紹介しました。しかしアイデアはひらめいただけでは意味がなく、それを形にして初めて価値を生みます。実際にアイデアを形にできる人はどう動いているのかをご紹介します。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

東京大学法学部卒業。デジタルハリウッド大学院客員教授。プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。

「アイデアが突然ひらめく」のからくり

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そもそも、アイデアとはどんな時に生まれるのでしょうか。アイデアを出やすくする方法などはあるのでしょうか。

「アイデア」はふとした瞬間にひらめく

たとえば仕事で商品企画をするとき、パソコンの前に座ってうんうん考えていいアイデアが出るかというと、そううまくはいかないもの。
そうかと思えば、全く別なことをしている「ふとした時」に考えていたことの答え(アイデア)が湧いてくる、という経験はありませんか。

考え事に適した「三上(さんじょう)」というのがあります。これは

  1. 馬上(馬に乗っている時=移動中)
  2. 枕上(寝ている時)
  3. 厠上(トイレに入っている時)

を指しますが、そのくらい、アイデアをひらめく状況もまた日常の中にあります。

ひらめきの瞬間、何が起こっているのか?

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とはいえ、本当に何もせずに過ごしていて突然「アイデアをひらめく」わけではありません。
突然「アイデアをひらめく」のは、それまでに水面下で考えていたからこそ起こるものです。
では、何をどう考えればよいのでしょうか。

アイデアを考える時は、「考えるネタ・素材」と、それらを熟成・発酵させる「時間」が必要です。
私たちは何か物事を考えている時、自然とそのことに関連した情報も吸収しています。
その吸収した情報が蓄積したときに、マグマが爆発するように湧き出てくる何か、それが俗に言う「アイデア」なのです。

パッとひらめくアイデアはネタの集積の結果

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今、私がメインでしている仕事「パートナーCFO®」もまさに、10年以上の熟成期間を経て生まれたものです。

本格的に独立した2017年にはまだ形が出来ていなかったものの、独立後半年でビジネスモデルができ、さらに1年後に「パートナーCFO」というネーミングも決まりました。

これだけ聞くと短期間でできたようですが、実はさかのぼること10年、いや20年前から、CFO(経営参謀、経営者のパートナー)をしたいと考えていました。
ただ、当初は、実際にやれるのかという自信もまったくありませんし、どうやったらいいかといった具体的なアイデアも皆目見当ついていませんでした。

この10年20年の間にネタを集めて考えを発酵させていたからこそのアイデア、「パートナーCFO」なのでしょう(自分ではそれほど意識してはいませんでしたが)。

直前には中小企業診断士の勉強をしたり、士業のネットワークを活かして様々な会合や研究会に顔を出してみたりと行動も続けていました。その集大成が今の仕事「パートナーCFO」というわけです。

ひらめきに時間が掛かっても、50代でも遅くはない

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人生100年時代と言われていますが、「働く」という観点で考えるべきは健康寿命です。
2019年に発表された健康寿命は男性が72歳、女性が75歳。
この年齢は自分が頭も体も健康的に活動できるリミットと仮定できます。

実際に定年を迎えても心身がある程度健康ならば、年金を受け取れる年齢であっても「生きがい」や「収入」のために働く選択をする人は多いもの。

定年後どうするか。健康寿命を迎えるころに、「これがやるべきことだ! これをやりたかったんだ」、天命がわかっても、実際に行動に移すのは難しくなります。

逆算して、できれば40代、遅くとも50代で自分の「半径5メートルのビジネス」の準備をする、始められるようにすべきでしょう。

論語にも「50にして天命を知る」とあります。
50歳は会社員としては末期ですが、人生ではまだ中盤、折り返し地点です。
50歳で「どんな仕事をしていこうか?どんな人生生きていこうか?」と考えるのは、決して遅い内省ではありません。

アイデアは動かしてみないと形にならない

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私の場合は40代後半で今のビジネスモデルが出来上がりました。
会社員時代の新規事業経験や、周りの起業家の起業ストーリーを見ていても、そもそもビジネスアイデアは半年や1年で出てくるものではありません。
ビジネスアイデアがビジネスモデルとして形になるまでには、さらに時間がかかるものです。

私のクライアントの体操教室チェーンの経営者が『「泳げるようになったらプールに入ります」では一生泳げるようにならない』と言っていましたが、ビジネスアイデアも同様です。
実行なくして、ビジネスモデルが形になることはありません。
考えたことを実行に移してみる。トライ&エラーで磨き上げていくことが重要です。

女性のライフイベントと副業・起業、どっちを優先する?

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ケースの松井さんは32歳の女性ですが、実際に30代の女性から「結婚や子育て等のライフイベントの前に、副業や起業は軌道に乗せた方がいいか」という質問を受けることがあります。

ライフイベントは個人の力だけでタイミングをコントロールできないものですが、ビジネスアイデアも(ライフイベントに合わせて)タイミングよく出したりできるものでもありません。

それもあって、ビジネスアイデアを考えることに締切を設けることや、どちらを優先すべきかを考えることにあまり意味はないと思っています。前述の人生100年時代、75歳まで働ける、という軸で考えると、ビジネスアイデアを考えるのは35歳でも、40代でも遅くはないし、トライ&エラーをするにも十分な時間はあります、というのが私の答えです。

今回ご紹介した通り、何かしらの「ネタ・素材」を持ち、「時間」を掛けていくことで、「アイデアをひらめく」可能性は誰にでもあります。

「半径5メートルのビジネスプラン」につながるアイデアはあなただけのものです。
ぜひ、ひらめいたアイデアを行動に移して、形にしていきましょう。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

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