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間借りカレー屋スタートからたった1年半で実店舗に間借りカレー屋スタートから 1年半で実店舗オープンの秘訣は「まずはやってみる」彼女のカレ―店主・彼女さんインタビュー第1話

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失恋をきっかけに間借りカレー屋を開始し、1年半後には実店舗を開業した「彼女のカレー」さんに、「お金がない」「人脈もない」「土地もない」状態から、自分のお店を開く方法を伺いました。

プロフィール

彼女のカレー店主彼女

失恋を契機に一念発起し、間借りカレー屋さんとしての活動を開始。1年半の活動を経て、実店舗OPENに向けたクラウドファンディングで1,118,500円を達成し、2021年4月に経堂に実店舗を開業する。 「大切なあなたへ 心を込めた一杯を――。」専門店と家庭的の間を行く、ちょっと本格的でどこか馴染みを感じる創作カレーを届けている。

「いつかは私もカフェや料理店をオープンしたい」そう夢見る人は多いですが、実際に実現するにはいくつもの準備やタイミングが必要なのでは……?失恋をきっかけに間借りカレー屋を開始し、1年半後には実店舗を開業した「彼女のカレー」さんに、「お金がない」「人脈もない」「土地もない」状態から、自分のお店を開く方法を伺いました。

全3話、第2話は6月19日公開。

準備段階からSNSやブログで発信!ファン作りの秘訣

写真/本人提供
ライター顔写真

彼女さんは経堂で『彼女のカレー』というカレー屋さんをされているんですよね。『彼女』ってなんだか意味ありげなような……。

インタビュアー顔写真

当時、付き合っていた彼がカレー好きで、カレー作りを始めたんです。でも失恋してしまって。その辛さを忘れるためにお店をはじめたい、それなら、カレーだと自然に選んだ感じです。

ライター顔写真

だから「彼女」のカレーなんですね!彼女さんはまず間借りでカレー屋さんをオープンされましたよね。お店をはじめると決めて、まず最初に何をされましたか?

インタビュアー顔写真

間借りカレー屋さんってどういうお店があるのかなっていうのと、どうやって始めるんだろうっていうのをいろんな媒体で調べるところからスタートしました。

ライター顔写真

最近間取りは人気だから、情報なんて読み切れないほど沢山ネットに溢れていそうですよね。

インタビュアー顔写真

確かに当時、間借りカレー屋さんが流行っていたので、間借りでお店をしている人はたくさんいました。でも、どうやって始めるのか、どういう準備をしたのかっていう情報が探しても見つからなかったんですよね。だから手探りではじめたって感じです。

ライター顔写真

このネットの海にない情報がまだまだあるんですね!

インタビュアー顔写真

当時はなかったんです。お店を開店してから発信している方はいたんですが、はじめる前っていうのは見つけられなくて。

ないなら自分が発信していこうと、初期段階からinstagramとブログを使って発信をはじめました。

https://www.instagram.com/p/Cew0LA-PNdU/
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準備段階もコンテンツとして発信してファンを作ろうという計画だったんですか?

インタビュアー顔写真

いえ。当初はコンテンツという認識はなくて、自分が欲しかった情報を発信することで、これから始める方のヒントになればという軽い気持ちだったんです。

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なるほど。例えば間借りができる店舗情報の発信とか?

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間借りの場所自体は、スペースマーケットというサービスを利用したり、知り合いの飲食店を借りたりしたらなんとかなるんです。でも、間借りで飲食店をはじめるために必要な資格や、必要な機材など、オープンのために必要な準備についての情報を見つけるのが難しかったですね。

※スペースマーケット:レンタルスペースを簡単に貸し借りできるサービス。

ライター顔写真

欲しい情報がなかったからこそ、「自分が欲しかった情報」をブログで発信したんですね。

インタビュアー顔写真

そうですね。最初は自分の気持ちのはけ口や記録みたいな軽い気持ちで、それがいつか誰かのヒントになればと考えていました。

https://www.instagram.com/p/CeFTKGNPPWK/
ライター顔写真

反響はかなり大きかったのではないですか?ブログを見て来店される方もいそうです。

インタビュアー顔写真

構想を始めてからオープンまで5ヶ月くらいあって、その間ブログで開店準備の過程を発信し続けていました。いざ、オープンした時にブログを見て来店してくれた方がわりといたんです。

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なるほど。ブログが結果的にお客様の集客に繋がったんですね。

インタビュアー顔写真

はい。5ヶ月間のブログが、意図せず応援してくれるファン作りに繋がったんだと思います。

まずSNSで発信して宣言することが夢への近道?!

https://www.instagram.com/p/Cew0LA-PNdU/
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構想からオープンまでたった5ヶ月なんですね! たった5ヶ月で間借りってスタートできるんですか?

インタビュアー顔写真

それが、一般的には、もっと短期間で間借り店舗をオープンする人の方が多いんですよ。5か月って長い方だと思います。だから「もっと早くオープンしたら?」と言われることもありました。でも、私にとっては5か月は短い準備期間だったんですよね。

ライター顔写真

自分だけで準備をしていると、私なら怠けてしまってオープン日がどんどん延びてしまいそうです。

インタビュアー顔写真

発信していることが、ある意味自分のお尻を叩くことになりました。自分だけだとずるずる延びたかもしれないけど、「いついつまでにやります!」と言ってしまったのでやらなきゃなと。
発信をしていたからこそ、ゴールから逆算してスケジュールを組めたと思います。それも発信することのメリットだったかもしれませんね。

ライター顔写真

自分を追い詰めて駆け抜けた5ヶ月間、忙しくて気持ちが折れたりしませんでしたか?

インタビュアー顔写真

そもそものきっかけが失恋だったんで、それを忘れるためにというと大げさですが、そっちに気持ちが向かないようにって必死だったんですね(笑)。1分1秒でもなにかに打ち込みたいっていう気持ちが強かったので。
当時は介護の仕事を週5でやって、週1でカフェの仕事。それに加えて間借りの準備だからトリプルワーク状態で。気持ちが折れる余裕もありませんでした。

準備のし過ぎは仇になる?!10年間準備し続けて挫折した過去

https://www.instagram.com/p/Cew0LA-PNdU/
ライター顔写真

失恋がなかったら自分のお店を開こうなんて考えもしなかったということですか?

インタビュアー顔写真

そうですね。失恋は大きなきっかけになりました。でも、自分のお店を持ちたいっていう気持ちは以前からあったんです。

元々、介護の資格を取るための高校に通っていて、その時に介護の現場においての食事の大切さを実感していました。

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いきなり飲食店を始めたかったのではなくて、彼女さんのベースには「介護」があるんですね。

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はい。介護度が上がる原因の一つはお家に引きこもってしまうこと。だから、外出のきっかけになるような、食の面からも介護の面からもサポートできるバリアフリーなカフェを作りたいと考えたんです。

ライター顔写真

高校生の頃からしっかり将来を考えられていたんですね!開店のための準備はされていたんですか?

インタビュアー顔写真

まず食からもサポートができる介護福祉士になるために栄養士としての勉強をしました。介護3年、栄養士3年、カフェ3年の経験を積んだ後に自分のお店を持つ。それを目標に20代はがむしゃらに働いていました。

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合わせたら9年!計画的ですね。それぞれ3年ずつっていうのも具体的に計画していたんですか?

インタビュアー顔写真

はい。自分に自信がないからこそ、人一倍がんばらなきゃ!ってところがあるんです。人は裏切るけど、努力は自分を裏切らないと思っているので(笑)

ライター顔写真

構想9年って凄いことだと思いますが……。何がダメだったんでしょうか?

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私は器用な方ではないので、人が10やってできるところを100やらないとできなくて。じゃあ、どういうプランを立てればいいのかを逆算していたんです。
そのうちにプランを遂行することだけが生きがいになっていたのかもしれません。

写真/shutterstock
ライター顔写真

ところが、その計画通りには進まなかったということですか?

インタビュアー顔写真

その通りです。20代の頃は計画やステップ、経験を積むことや知識をつけることを重視して頑張っていたんですが、途中で体を壊して燃え尽き症候群みたいになってしまったんです。

ライター顔写真

努力していたからこそ、挫折は辛いですね。

インタビュアー顔写真

夢へのステップを踏むために仕事をして体を壊して、結局仕事ができなくなった。それまで仕事しかしてこなかったから、自分が空っぽになったように感じました。その時に、熱い思いがあるうちに、一歩でも挑戦した方がよかったなって後悔しました。

ライター顔写真

そこで、情熱の大切さに気づいたということですね。その想いが今に繋がっていると。

インタビュアー顔写真

失恋をきっかけにカレー屋をはじめようと思った時に、あの時みたいな経験はしたくないと強く思いました。経験も勉強も大事だけれど、体を壊したり、気持ちが消えてしまったりしてはなにもならないんですね。

ライター顔写真

気持ちはやはり力の根源だということですね。思い立ったらすぐチャレンジすることが大事ということでしょうか?

インタビュアー顔写真

20代の挫折があったからこそ、やりたいことがあるなら、まずはやってみたほうがいいと思えるようになりました。そこに障害があるなら、その障害を潰しながら進めばいいんです。

全3話、第2話はこちらからどうぞ。第3話はこちらからどうぞ

取材/I am 編集部
文/竹本よみを
写真・イラスト/Shutterstock、本人提供

この記事を書いた人

竹本よみを
竹本よみをライティング
雑誌編集者を経て、現在はライター時々編集者。動物はなんでも好きで、犬と鼬と暮らしている。趣味の献血は先日ようやく100回を記録。座右の銘は「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。強み:書き始めるとめちゃくちゃ早い。弱み:書き始めるまでがめちゃくちゃ遅い。

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