Interview
インタビュー

「人生終わった」と思ったときが、僕の始まりでした。Webコンテンツクリエイター・北野啓太郎インタビュー

北野啓太郎

会社を辞めたい、自分に自信が無い、人生詰んだ……。「そんな方でも、自分の好きなことを仕事にする方法はあります!」と、フリーランサーの北野啓太郎さんは言います。自身が実践してきた、その方法とは!?

北野 啓太郎

プロフィール

フリーランスWebコンテンツクリエイター北野啓太郎

ブロガー、フリー編集者、フリーライター、フリー動画コンテンツクリエーター。1973年生まれ。大阪府岸和田市出身、東京都世田谷区在住。文章、写真、動画を駆使したWebコンテンツ制作が得意なフリーランサー。ブログを武器に人生を開拓し、音楽メディアの編集長を経て2013年に独立。大手出版社から新進気鋭のベンチャーまで数々の企業とタッグを組み、ユーザーに寄り添ったわかりやすいコンテンツをつくり続けている。「もうちょっと踏み込んでみると、毎日がもっと楽しくなるよ」がモットー。

「好きなことを仕事にする」と聞くと、明確な目標を持った情熱的な人や、才能豊かなキラキラした人を想像しがち。でも、その逆のパターンも……。「自分に自信が無いとか、人生終わった!みたいな方でも、好きなことを仕事にする方法があります」と、北野啓太郎さん。

なぜなら僕自身がまさにそうだったからと語る、その訳は?

「好きなことを仕事にする」方法は、ここにありますよ!

僕は元々、新卒で建材メーカーに入社したサラリーマンでした。30歳を過ぎた頃にプライベートでいろいろとあって、その影響で仕事も上手くいなかくなり、人生的にヤバいと思い悩みはじめた時期があります。

どん底で、精神的にも辛くて、なにか新しい別のことをしないと……と、もがいていたのです。

考えた末、始めたのはレゲエの特化ブログ。好きだったレゲエとインターネットを組み合わせました。2004年のことです。

ここから僕の人生が大きく変わっていきます。

建築業界から音楽業界へ、転職。

大阪から東京へ、移住。

サラリーマンからレゲエ業界の人になれたのです。さらに2013年には、妻の妊娠を機に育児ブログを始めたら、今度は子育て業界の人になれました。

僕の人生は“ブログ”と“好きなもの”で大きく移り変わり、現在の仕事、フリーランスWebコンテンツクリエイターになったわけです。

これって、僕だけでなくて、多くの方が真似できる「好きなことを仕事にする方法」なんですよ。もちろん、あなたにもできます。

北野 啓太郎

レゲエが仕事に。辞めたからこそ、新しく始まることがある

僕がレゲエに特化したブログを開設したのは、2004年。スマートフォンが普及する前です。

当時、レゲエの主な情報源は企業が発行する雑誌やフリーペーパー。なので、ちょっとお堅く、PR記事も多い。そこで僕は、読者視点で、「あのイベントはダンサーと一緒に踊れて楽しかったよ」「巨大スピーカーがずらりと並ぶ、あの野外イベントはまるでジャマイカようだった」など、親しみある情報をとにかく毎日発信していたんです。

北野啓太郎

サイト名は『Yellow Jamaican http://yellowjamaican.jp』。運営していくうちに、クラブへ遊びに行くと「イエジャマの北野さん!」と声を掛けられるようになったり、レゲエバーでお客さん用に設置しているiMacにYellow Jamaicanをブックマークしてくれたり、徐々に支持されはじめました。

ただ、ブログは好調でしたが、会社勤めとの並走は大変で、睡眠時間は毎日2〜3時間。でも自分にとってはブログが唯一の生きる希望だったので、とにかく毎日更新。当時はTwitterのようなSNSが無かったので、わざわざ毎日アクセスしてくださる方に対して、「新しい記事が無いな」とがっかりさせたくなくて。

でも、会社の残業が半端なく、「このままではブログの更新ができない」と、いきなり辞表を書いて上司に提出しました。9年半くらい勤めた会社で、周りもビックリしていたと思います。だって、転職活動もしていなかったので。

そう、次の稼ぎ口もないままに会社を辞めたのです。ブログを始めて1年半ほど経った頃のことです。

北野啓太郎

そんな折、レゲエを取り扱う数社から「うちに来ませんか」「うちの手伝いをしてくれませんか」などと声をかけていただきました。その中の一社が、ロッカーズ・アイランドというレゲエ専門のレコードショップ。ジャマイカ、大阪、東京、北海道に拠点を持つレゲエ専門企業で、ちょうどウェブマガジンを始めたところで、レゲエとWebに詳しい人を探していたというのです。当時、僕は大阪に住んでいたのですが、僕を求めてくれたことが嬉しくて入社を決意しました。

ここまで、ブログを始めてちょうど2年。

長く勤めた会社を辞めるのは怖いかもしれません。でも、人生に穴が開くと、そこに新しく入ってくるものもあるのです。これは失恋でも同じ。しばらくは立ち直れないかもしれないけれど、2〜3年もしたら新たなパートナーが見つかり、「別れたから出会えた!」と喜んでいるかもしれません。

辞めるのは、怖いことでは無いのです。

仕事につながるブログのテーマを決める、ちょっとしたコツ

2022年、気づけばブログ歴は18年目。

僕がブログ運営で最も心掛けているのは、読者の目線に立つということ。ファン目線っていうか……。「自分がほんとに好きだ!」「これをみんなに知って欲しい!」ってことを書くようにしています。今はTwitterやInstagramなどで簡単に情報発信ができるので便利ですが、ブログの方が「好きと魅力」をしっかり伝えられると思います。

もうひとつ大切なのがテーマ選びです。僕の場合、最初のブログでレゲエをテーマにしましたが、実はAppleのMacが好きだったのでテーマをMacにしようと考えていました。でも、それだと先駆者がいるし、後追いでは中途半端になることが自分でもわかっていたので、Macを使ってレゲエの情報を発信することにしたのです。

また、自分が好きなことや得意なことをテーマにするのがベストなのですが、「そもそも自分が好きなことって何?」ってところで悩む方もいますよね。そういう場合は、好きなことや得意なことを書き出し、それらを組み合わせてみるとテーマが見つけやすいと思います。

あるいは、自分がコンプレックスに思っていることをテーマにするのもありです。自分と同じ悩みを持っている人は日本のどこかにきっといるはずなので、それに苦悩したり、立ち向かったりする姿は、誰かの力になります。

でも、「モテない自分が、モテるようになりました」と、出会い系アプリを紹介するようなブログはダメですよ。アフィリエイト収入に直結するんでしょうけど、読者は当然胡散臭さを感じ取ります。金勘定しすぎるよりは、本音でやった方が結果的にみんなの心を打ちます。収益を考えるのは、需要あるメディアをつくってから。

もうひとつは、「ネットの記事はなかなか読んでもらえない」というのを念頭に置くことです。極論になりますが、紙の本は買ってもらえさえすれば、あとは読まれようと積読になろうと問題ない。でも、ウェブは「これは自分に関係ないな」と思われたら、ページを離脱されてしまう。勝負は秒です。数秒のうちに読んでもらう仕掛けが必要です。記事タイトルや一枚目の画像にこだわる、悩み解決の記事であれば答えが書かれていることがすぐにわかる、というのは意識した方がいいでしょう。

フリーランスはデメリットもあるけど、メリットの方がはるかに大きい!

フリーランスのデメリットで最も大きいのは、誰のせいにもできないことです。会社だったら、注意されたり、失敗したりしても、業界や景気、上司や部下を理由に言い訳できるけど、それが全くできない。全部、自分に責任があります。

具体的に言うと、全く稼げない時期もあるってことです。

最近でひどかったのは、2020年4月・5月のコロナ禍による緊急事態宣言中。当時6歳の息子が通う保育園が休園になったので、僕は仕事を断って子どもと二人きりで毎日を過ごしていたら、見事に仕事がなくなりました。保育園が再開されたら仕事の依頼が復活するかな、と思ったけど、そのままになってしまい……。

また同時期に、Googleの検索アルゴリズムがガラッと変わってしまい、個人ブログが不利になりました。たとえば、病名で検索すると以前は個人の闘病記も表示されたのですが、病院や厚生労働省などの権威性の高いサイトで検索上位が埋め尽くされてしまうようになったのです。

僕は今、男性視点の子育てサイト『パパやる https://papayaru.com』を運営しています。医療に関する妊娠中の産婦人科とのやりとりの記事などは、検索上位から飛ばされてしまいました。つまり、ブログから得ていた収益も激減してしまったのです。

フリーランスは前年比2倍の収入を狙えるメリットがありますが、同時に収入が5分の1になるデメリットも秘めています(笑)

でも僕は、フリーランスは圧倒的にメリットが多いと思っています。理由は「意思決定権が全て自分にある」ということ。この企画をやってみたいと思っても、会社員だと企画書をつくって、周りに根回しをして……といった面倒があります。

でもフリーランスの場合、「これをやりたいです」「はい、採用!」と、自分自身で即断即決。これは最高に快適です。会社員だとあの人に気に入られるように企画を変えて……みたいな本題と外れた気づかいもあると思いますが、それが無いのは良いところですね。

また、仕事とプライベートの境界が無いのも、フリーランスのメリットのひとつです。たとえば、息子が保育園時代は父母会の会長をやりましたし、今は小学生で「はい、PTAやりまーす!」とすぐに手を挙げました。あらゆる経験が仕事で活かせるし、新たな人との出会いが何かにつながることもある。生活全てが仕事の種になり得る、というのは大きいですね。

肩書きはなくても想いはある。それを常にアピールした方がいい

Webメディア I amは「肩書きなきわたし」ということですが、フリーランスだと逆に肩書き的なものが必要になってくると思います。会社員だと社名で伝わるけど、フリーでは名乗っても「何の人?」ってなっちゃいますよね。

つまり、プロフィールにこだわる必要があるのです。

僕はやっぱりブログが好きなので、すでに独立されている方にもブログ運営はおすすめしたいです。自分の実績や仕事で得た知見を記事していくと、読み物としても面白いし、同時にポートフォリオにもなります。さらにそれが次の仕事につながるきっかけにもなるのです。

また、プロフィール文も大事です。立派な経歴がある人ほど、出身校や勤めた企業の羅列になりがちなのですが、それでは、人柄や情熱が見えてこないんですね。読んでくださった方目線で「何ができるのか」がわかるプロフィールは必要です。

僕の場合、フリーランスになった当初はフリーライターと肩書きをつけていたので原稿執筆依頼を多くいただきました。でも、コロナで仕事が激減したあと、肩書きをWebコンテンツクリエイターに変え、プロフィールに「動画制作もできます」と書いてSNSでシェアしていたら、動画の仕事もいただけるようになりました。

フリーランサーは、「なにかあった時に相談してみよう」と思ってもらえる存在になれると良いですね。

北野啓太郎
*参考:北野啓太郎プロフィール https://swinginthinkin.com/keitaro-kitano/

あと、Twitterはやった方がいいです。理由は、Googleで名前を検索すると上位に表示されるからです。また、Twitterは人柄も出るので、自分のことを知ってもらうのにぴったりのSNSだと思います。

ただ、僕は今、40代後半です。そうなると、若い編集者さんは気軽に仕事を頼みづらくなってくるだろうなというのは感じていて。本の最後にライターのひとりとして名前が載るような仕事ではなく、表紙に著者として載る立ち位置のような、年齢に応じた自分を作っていかないといけないな思っています。今後の課題ですね。

いちサラリーマンだった僕が、レゲエと子育てという好きなことをテーマにしたブログを始めたことで、それらが仕事になりました。今後、また新たに好きなことができたとしても、同様の流れで新たな業界に入り込める自信はあります。

まずは、特化ブログで何者かになる。

きっと、あなたにもできると思いますよ!

取材/I am 編集部
写真/本人提供
文/竹本よみを

この記事を書いた人

竹本よみを
竹本よみをライティング
雑誌編集者を経て、現在はライター時々編集者。動物はなんでも好きで、犬と鼬と暮らしている。趣味の献血は先日ようやく100回を記録。座右の銘は「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。強み:書き始めるとめちゃくちゃ早い。弱み:書き始めるまでがめちゃくちゃ遅い。
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