Do Skill
文章術

社会人に必要な語彙力 「ありがとう」の表現で差をつけるには?

ログインすると、この記事をストックできます。

社会人に必要な語彙力が身につく本

高村史司氏の著書『社会人に絶対必要な語彙力が身につく本』(大和書房刊)から社会人に必要な、「感謝・お礼のことば」「評価・応援のことば」「印象・賛辞のことば」などについて学びます。

高村史司

プロフィール

フリーランスライター高村史司

フリーランスライター。日本語教師の経験から得たトピックも豊富。古語・現代語など日本語に関するワークショップ・研究会などを不定期で開催。

感謝の言葉と言えば「ありがとう」。しかし、どんな場合でも同じ言葉で伝えると、相手には自分の本当の気持ちは伝わらないかもしれません。そこで、必要なのが語彙力です。語彙力を高め、臨機応変に使えることで、自分の気持ちを細やかに表現しやすくなります。とくにビジネスシーンにおいては、月並みではない感謝の言葉を使うことによって、相手との関係がより良い方向に進展していくことが期待できるでしょう。

高村史司氏の『社会人に絶対必要な語彙力が身につく本』(大和書房刊)では、人間関係をスムーズにする「感謝・お礼のことば」「評価・応援のことば」「印象・賛辞のことば」について意味や例文だけではなく、注意する使い方についても解説しています。

感謝・お礼のことば

望外の喜び

 「望外(ぼうがい)の喜び」とは望んでいた以上に良い結果のこと。何かに成功したときに使われます。似たようなことばとして「嬉しい誤算」があります。「望外の喜び」は、自分(自分を含むグループ)の成功について使いますが、「嬉しい誤算」は、例えば部下が意外な成果を上げたときに使う表現です。

例)メンバーが一致団結したことで、望外の結果を得ることができました。

万感の思い

 「万感(ばんかん)」とは心に浮かぶさまざまな感情や想いのこと。人生が節目を迎えたとき、辛かったことや嬉しかったことなどがあふれてきて、胸がいっぱいになるという意味です。定年や異動前の人がよく使う表現で、似たような気持ちを示すことばとして「感無量(かんむりょう)」があります。

例)万感の思いを込めて、定年前の最後の挨拶をいたしました。

ひとかたならぬ

 「ひとかたならぬ」は挨拶や文章など、改まった場面で使われることば。お礼や感謝を述べるときに、相手の好意を強調する場合に使います。意味は、程度が普通ではない、非常なといったことです。似た言葉として「なみなみならぬ」があります。ただし、「なみなみならぬ」は自分に対しても使えますが、「ひとかたならぬ」は他人に対してしか使えません。

例)前職ではひとかたならぬお世話になり、厚く御礼申し上げます。

評価・応援のことば

慧眼

 「慧眼(けいがん)」とは物事の本質を見抜く能力や鋭い洞察力のこと。将来を見通す眼力のことも指します。似たようなことばに「炯眼(けいがん)」がありますが、こちらの意味は、ごまかしを見破る眼力を持つ厳しそうな人を表します。

例)株価暴落を予測して、大量に株を売った妻の慧眼には恐れ入る。

佳境に入る

 「佳境(かきょう)」とはドラマや物語で一番盛り上がる場面のこと。ビジネスの場では仕事が重大な局面を迎えたときに使います。現在は「仕事が一番忙しい」という意味でも使われるようになりました。ただし、「佳境を迎えた」を「終わりを迎えた」の意味で使うのは正しくありません。

例)今の仕事が佳境に入っており、申し訳ないけれどお手伝いできません。

鋭意進めております

 「鋭意(えいい)進めております」とは頑張って取り組んでいますという意味です。例えば、仕事において、上司や取引先にせっつかれたときに、この表現は使えます。ただし、この表現は、実際に仕事が進んでいないときの言い訳として使われることが多いようです。相手に対して「鋭意進めております」を伝える際は期限も伝え、遅れを挽回することが重要です。

例)今後もご期待に添えますよう、鋭意努力をしてまいります。

印象・賛辞のことば

才気煥発

 「才気煥発(さいきかんぱつ)」とは頭の回転が速く、てきぱきと物事を進める能力のある人のこと。似たようなことばに「当意即妙(とういそくみょう)」があります。「当意即妙」とは、その場の見事な受け答えや対応を指します。ですから「当意即妙な人」といった使い方は間違いです。

例)彼は幼い頃から才気煥発で、なみいる大人たちを驚かせていた。

打てば響く

 「打てば響く」とは、相手の働き方に対して素早く反応すること。「打てば響く人」は、相手の意図を理解して機転を利かせる人を指します。

例)基本的なことを説明するだけで、彼女は打てば響くように行動してくれる。

人品骨柄

 「人品骨柄(じんぴんこつがら)」とは、人相や体つき、服装、持ち物など外見ににじみ出る印象や雰囲気のこと。また、何度か会話をするなかで分かる物腰の柔らかさや穏やかな話し方なども意味します。

例)彼女には人品骨柄の申し分ない男性を紹介したい。

 この記事では、高村史司著『社会人に絶対必要な語彙力が身につく本』から、「感謝・お礼のことば」「評価・応援のことば」「印象・賛辞のことば」を要約・抜粋してご紹介しました。

この記事を書いた人

今崎ひとみ
今崎ひとみIT人文好きライター
うさぎと北欧を愛するライター。元Webデザイナー。インタビュー取材やコラムを執筆。強み:好奇心旺盛なところ。失敗してもへこたれないところ。弱み:事務作業が苦手。確定申告の時期はブルーに。

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン