1日の消費カロリーに500kcalの差!タニタ研究員が教える、筋肉量がアップするとからだにいいこと
からだを鍛えて筋肉の質や量がUPすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。からだが引き締まりスタイルがよくなること、太りにくくなることの原理を数字と図で解説します。
目次
筋肉量がアップするとからだにいい5つのこと
そろそろからだのラインが気になる季節が近づいてきましたね。春や夏の服は気持ちも明るくカッコよく着こなしたいですよね!
タニタの体組成計では「筋肉量」や「筋質点数」が測定できますが、からだを鍛えて筋肉の質や量がUPするとどんな良いことがあるのでしょうか。
「血行促進」「ストレス解消」「達成感・幸福感に関わるホルモンの分泌」などの面からも身体を動かすこと自体、それだけでも健康習慣としてたいへん有用なのですが、おもに以下のような効果が期待できます。
- パワー、スピード、持久力など運動パフォーマンスがUP!
- 血行が良くなり免疫機能が向上する
- 皮膚が健康になり肌が綺麗になる
- からだが細く引き締まりカッコいいスタイルになる
- エネルギーをたくさん消費するので太りにくくなる
「そんなことは百も承知よ」という皆さまのために、今回は、私の得意分野である数値や図形を使ってその利点を解説します。
先に挙げた中から4番目の「からだが細く引き締まりカッコいいスタイルになる」ことと、5番目の「エネルギーをたくさん消費するので太りにくくなる」ことについて比較してご紹介します。
筋肉量が多いほうがなぜ引き締まって見えるのか
筋肉や骨など「除脂肪組織」と「脂肪組織」について大きさの比較
上の図は、人間のからだの「脂肪組織」と「除脂肪組織(おもに筋肉と骨)」の大きさを比較しています。
脂肪は密度が低いので、ポワンと軽くて体積が大きくなります。対して筋肉や骨をまとめた除脂肪組織は密度が高くギュッと詰まっているので、重くて体積が小さくなります。
「同じ重さ」で体積を比較すると、図のように「脂肪の大きさ:筋肉や骨の大きさ」は「1.0:0.8」になります。
つまり脂肪のかたまりを基準とすると、筋肉や骨のかたまりはその80%の大きさしかなく全体に20%も小さいのです。
これを10㎏ずつのかたまりで比べるとなんと2リットルのペットボトル1本分もの大きさに相当します。同じ重さなのにけっこう差があると思いませんか?
しかも筋肉は関節部分で細く釣り上げるような形状になるのに対し、脂肪は組織の外側をふんわりやわらかく覆う形状なので、この体積(大きさ)の差に加えて「かたち」としての違いも上乗せされてしまうのです……。見た目に違いが出るもの納得!ですよね。
消費カロリーに500kcal近くも差が出る
筋肉質な人とそうでない人の「消費エネルギーの比較」
こちらも「同じ体重」で比較しています。
筋肉=代謝の高い組織。エネルギーをたくさん使います。
脂肪=代謝の低い組織。エネルギーを貯めておきます。
これだけ体脂肪率に差があると、たとえ1日中ゴロ寝していてもおにぎり1個半ほどの消費カロリーの違いがあり、通勤を含めたデスクワークの1日で比較すると、なんと500kcal近くも消費カロリーに差があります。
これは軽めの醤油ラーメン1杯分、あるいはタニタ食堂の定食1食分程度のカロリーに相当します。
筋肉質な人がたくさん食べても太りにくく、一時的に食べ過ぎても元に戻しやすいということがデータからもおわかりいただけるのではないでしょうか。
生活のちょっとした変化で消費エネルギーがアップ
皆さま、筋肉をつけるとからだが引き締まってカッコよくなるだけでなく代謝も良くなって太りにくくなる!……ということが数値的にイメージできたでしょうか?
なにもがっつりハードなトレーニングをしなければ筋肉が鍛えられないわけではありません。意外とちょっとした生活習慣の変化や姿勢、呼吸の変化を意識するだけでも筋肉に刺激を与えられ、その積み重ねで、長期的に見ると消費エネルギーが大きく変わってきます。
まずは気軽に取り組めることから意識してちょっと行動をシフトしてみませんか?
このコラムが皆さまの「ちょっと意識して生活してみようかな?」というポジティブな変化のきっかけになってくださったらうれしいです。薄着のシーズンに向けて少しでも引き締まったからだになれるよう、励まし合って頑張りましょう!
執筆/西澤美幸
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この記事を書いた人
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1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。