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タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業タニタ研究員の「チリツモ」ダイエット。忙しくても背筋を伸ばすだけ。無意識レベルで 1 ヶ月後に体が変わる!

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見た目を変え、仕事に役立つ!毎日の小さな積み重ねで 1 ヶ月後の身体が変わる!タニタ研究員が実践してみて効果のあった痩せる行動や生活習慣をチェックしよう。

プロフィール

インタビュアー、スタートアップ広報中村優子

(なかむら・ゆうこ)元テレビ局アナウンサー、インタビュアー、スタートアップ広報。作家・林真理子さんのYouTubeチャンネル「マリコ書房」、および著者インタビューサイト「本TUBE」を運営。インタビュー動画の企画から出演、編集まで一人でこなす。年100本以上の動画制作に関わる。2022年、スタートアップ広報の会社を設立。

努力ゼロ「脂肪燃焼」スイッチを入れるだけ

隙あらば手を抜く「手抜き魂」全開で生きている私ですが……優先順位が高い仕事や家族のことを手抜きできない、となるとどうしても「自分の身体」のことなんて手を抜く側に押しやってしまいます(と書くとカッコいいですが単なるぐうたら人間です)。

そうは言っても、栄養士である私の場合、自分の体型も仕事の補助道具のようなもの。あまりにもポッチャリの度が過ぎてドスコイレベルまで行ってしまうと(ネタにして笑ってもらうのもアリですが)仕事上の説得力や信頼性にも影響を及ぼしかねません。

そんな私が「面倒くさくなく」「時間をかけず」「ときどき食べ過ぎても」迫力ドスコイボディまで行かないよう、なんとか踏みとどまり引き戻す方法を探し求めて、これまで調べたり計算したりしたエビデンスやデータ、実験や実践してみて効果のあった行動や生活習慣をいくつかご紹介いたします。

チリツモ①椅子に座るときは「背筋伸ばし」

実は、姿勢を良くするだけでけっこうカロリーを消費します。下の図をご覧ください。たった 30 分、背筋を伸ばすだけでダラっとしている場合と意外と差がつくことがお分かりただけるのではないでしょうか。

姿勢による酸素摂取量の差(体重 1kg あたり)

出典:タニタ調べ(被験者数 14 名)
本率:p<0.01 *** p<0.0001 で有意に差あり
(=偶然の差ではなく統計的に差がある、ということ。
*の数が多いほど統計的な差が大きいことを表します)

ゆったり座る代わりに 「背筋伸ばし」を 30 分で(体重 60kg の人で試算)

日数消費 kcal食べ物では
10日で43kcalコーヒーゼリー1個分程度
20日で86kcal水羊羹1個分程度
1ヶ月で129kcal大福1個分程度
出典:タニタ調べ

ゆったり座る代わりに 「立つ」を 30 分で(体重 60kg の人で試算)

日数消費 kcal食べ物では
10日で270kcal苺ショートケーキ1個分程度
20日で540kcal焼き魚定食、醤油ラーメンなど
1ヶ月で810kcal焼肉定食、トンカツ定食など
出典:タニタ調べ

姿勢を整えるのに特別な時間も場所も必要ありません!簡単です。ただ、何かに集中してしまうと姿勢のことは忘れがちに。習慣化されるまではパソコンにタイマーなどをセットしておいて、1時間ごとに 10 分ずつでも背筋を意識するような仕掛けをしておくと良いかもしれません。

意識して整えることで姿勢を維持する筋肉も鍛えられ、見た目もスッとカッコよく見えるので一石三鳥です。

チリツモ②歯磨き中に「かかとの上げ下ろし」

あまりにも短時間でほとんど変化がないんじゃないか……と侮るなかれ!朝晩たった 3分(合計6 分)でも消費カロリーに差が出ます。下記は 50 代女性の消費 kcal の比較です。

消費 カロリー の違い(3 分×2 回分)

出典:タニタ調べ(被験者数 50 代女性)

「座ってテレビ」より、かかとの「上げ下ろし歯磨き」は 2kcal 多くエネルギーを消費します。たった 2kcal? いえいえ、1ヶ月続ければ 60kcal=ねぎとろ軍艦巻き 1 個に相当します。これぞ「チリも積もれば山となる」ですね。消費カロリーが増加するだけでなく下半身の筋肉が鍛えられるので、長い目でみると基礎代謝 UP やスタイル UP も期待できます。

チリツモ③食べたくなったら「トイレ休憩」

間食を食べたくなったら……ハイカロリーなお菓子をつまんでしまう前に、家の中でもオフィス内でも良いので、まずは立ち上がり、周囲を少し歩き回ってみましょう。トイレに行ってみるとか、場所がなければ「その場足踏み」をリズミカルにするだけでも良いです。

このような「等速運動」をすることで脳内に「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニン分泌が高まり食欲が抑えられることがわかっています。1)2)3)

「等速運動」と「幸せホルモン」の関係

参考文献は1)2)3)を参照

ちょっと食べたくなったら深く考えず、とにかく歩き回って、幸せホルモンでハッピーに食欲を抑えましょう!

チリツモ④寝る直前に「腹式呼吸」

多忙で睡眠時間が足りない方もたくさんいらっしゃると思います。かく言う私も、毎日なかなかゆっくり眠る時間がなく……。横になっていられる時間は1秒たりとも無駄にしたくない、大切な、自分のための時間です。そんな大切な時間だからこそ「面倒くさくない健康小ワザ」を取り入れています。

その小ワザとは「寝る前の腹式呼吸」です。人は筋肉と内臓の構造上、横になった方が腹式呼吸をしやすいのでそれを生かして寝る前に行います。

方法は簡単!部屋を暗くして横になったらお腹に手を当てて「鼻から息を吸ってお腹を膨らませる」⇔「鼻から息を吐いてお腹をへこませる」を、お腹の動きに注力しながらゆっくり繰り返します。

慣れたら「吸う」:「吐く」の長さの比率が 1:2 なるように続けます。「1,2,3,4」とお腹を膨らませて鼻から息を吸い、「1,2,3,4,5,6,7,8」と、倍のカウント分、息を吐きながらお腹に力を入れて凹ませ維持します。これを 3~5 セット繰り返します。

お腹を凹ませキープすることで腹筋を鍛え、血流を良くするだけでなく、深い呼吸をすることで酸素を体内に取り込み脂肪燃焼が促されます。


深い呼吸は睡眠の導入にも良いので、寝つきが良くなる効果も期待できます(私はこの呼吸を繰り返しているうちに5セット目くらいから大抵記憶がなく眠ってしまうことが多いです)。リラックスできる静かな音楽や自然音を小さな音でかけながら行っても良いですね。

睡眠中の脂質代謝(脂肪燃焼)は入眠直後の深い睡眠に入る時間帯がもっとも高いとされていて 4)、この「入眠」をいかにうまく促し酸素をたくさん取り入れるかがカギになります。

多忙で時間のない方こそ、うまく眠っていただき、寝ながら効率よく脂肪も燃やしていただきたい!と自称多忙(笑)な私も願っております。皆さん、どうか1秒でも長く多く、質の良い眠りと脂肪燃焼を手に入れてください。

1日たった 200kcal の消費でも1 ヶ月で 1kg減!

今回ご紹介したちょっとした行動の習慣はどれも目覚ましく痩せるようなものではありませんが、毎日ちょっと気にして取り入れるだけで着実に脂肪燃焼や代謝向上を促すものです。1日 200kcal ほどの小さな消費 UP の積み重ねが、1ヶ月続くと 1kg ほどの体重減少につながります。

これらの行動に食事のちょっとしたコツも加われば、もっと効果的!次回は「食」の方のスリムアップにつながる、ナマケモノさんでもできる簡単習慣をご紹介します。お楽しみに♪

<参考文献>
1)「運動によるセロトニンシステムの活性化が不安を軽減する」 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション研究室
2)Behav Brain Res. 2014 Aug 15;270:112-7. doi: 10.1016/j.bbr.2014.04.017. Epub 2014 May
3)Jpn J Rehabil Med 2011 ; 48 : 301.317
4)Metabolism69:14-23.doi:10.1016/j.metabol.
2016.12.0

この記事を書いた人

西澤美幸
西澤美幸株式会社タニタ 開発部主席研究員 栄養士
1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。

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