Interview
インタビュー

撮影中「泣きそう」になった森崎ウィン。映画『おしょりん』で0を1にする難しさを実感

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福井のメガネ産業の礎を築いた夫婦と、職人らの奮闘を描いた映画『おしょりん』に出演する森崎ウィンさんが、挑戦し続ける役を通して改めて感じた0を1にする難しさと、達成感を語りました。

新作の撮影では、舞台となった福井の方言を自然に口にできるよう追求したという森崎ウィンさん。自分自身の思いも重ねながら、役が持つ真っ直ぐさを伝えたいと尽力したと、熱い思いを明かしました。

――福井の眼鏡産業の礎を築いた増永五左衛門(小泉孝太郎)とその妻、むめ(北乃きい)を描いた映画『おしょりん』で五左衛門の弟、幸八を演じています。

森崎:幸八は周囲が無茶だと思うことに立ち向かっていく人物。僕もミャンマーから世界で活躍したいという志を持っているので、夢に向かっていく姿に共感しました。僕は観光大使として、ミャンマーの良いものを日本に伝えたいと思っているし、ミャンマーに日本の良い所を伝えたいので、幸八が世界に福井のメガネの良さを伝えたいという気持ちはよく分かりました。

――豪雪地帯の福井は冬に農作業ができず、収入が途絶えてしまう。幸八は、そんな村民たちが季節に左右されず暮らせるよう「メガネづくり」を提案します。

森崎:誰もやったことがないことなので最初は猛反発されてしまいます…。でもツネちゃんという視力が弱い女の子が、メガネをかけて世界が一変する姿を五左衛門らが目撃し、少しずつ良い方向に変化して行くんです。ツネちゃんの感想によって、大人たちの心が動いていく様子は大好きな場面。撮影中は彼女の無邪気な言葉に僕自身も心が動き、泣きそうになりました。

(左から)森崎ウィンさん、小泉孝太郎さん

――森崎さんご自身は、価値観が大きく変わったという体験はありましたか。

森崎:昨日まで「白」だったのに、今日からは「黒」というような体験はしていないです。いきなり何かが変わってしまうというのではなくて、いろいろな人との出会いなどによって徐々に変化していくものかなって。

――映画の中では、使い手にあった新しいメガネを生み出すために奮闘しています。

森崎:0を1にするのは苦しくて難しいこと。ずっと0で停滞して出口が見えなくても、1になった瞬間、「これだ!」とハマる瞬間が芝居も音楽もあるんです。苦しい分、その感覚が気持ち良すぎて忘れられない。過程は苦しいけれど、大変だった分だけ楽しい瞬間が待っている。その高揚が、クリエーティブなことを続けようと思う力になっています。

――福井県はメガネなどが有名ですが、日本のメガネ生産の95パーセントを占めていることに驚きました。明治時代が舞台になっている映画では、幸八が兄とビールを飲んだカフェなど県内にある文化財が多く登場します。

森崎:カフェのシーンの内部は、県内に現存する最古の鉄筋コンクリート造りの建物で撮影をしました。外観は旧森田銀行本店(登録有形文化財)という建物。モダンで素敵ですよね。僕は今回初めて福井に行ったので、撮影の合間には街歩きもしました。越前海岸ではユニークな漁師さんとの出会いもあり、気比の松原も良い場所でした。またゆっくり訪れたいです。

坂井市での撮影の様子(左から)佐野史郎さん、森崎ウィンさん

――森崎さんの福井弁も見どころの1つですね。

森崎:幸八の真っ直ぐさを伝えられるように、方言指導の方に福井弁をみっちり教わりました。僕の役はそこまでたくさんセリフがなかったのですが、難しかったですね。未知の世界に触れ、見聞を広めたいという幸八の気質は、日常生活で着物ではなく洋服を身に付けていることからもうかがうことができます。無鉄砲で鈍感なところもある幸八に注目してほしいです。

――感動的な映画のエンディングは、アーティストMORISAKI WINとしてリリースした新曲「Dear」が締めくくります。作品に寄り添う歌詞が印象に残りました。

森崎:「Dear」は映画のために制作した曲。エンドロールを眺めながら映画の余韻に浸れるような曲にしたいねと制作を進めました。歌詞には大切な人に送る手紙のような言葉を散りばめています。家族や大切な存在など、戻る場所があるから夢を追いかけることができる。羽ばたくことができる。感謝の思いも込めています。映画とのタイアップは今回初めてなのですが、役者とアーティスト活動を並行している僕だからできること。また1つ夢を叶えることができました。

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▼公開情報

映画「おしょりん」

©️「おしょりん」制作委員会

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