「受からない人間が大多数。受かってからが始まり」という立石俊樹が語るミュージカルの魅力と好きを仕事にするということ。
ミュージカルや映画、テレビドラマなど活躍している俳優・立石俊樹さん。「今日は前よりもっといい演技を見せたい」という立石さんが、初めてオーディションに受かった時のこと、理想の自分になるための努力について語ってくれました。
プロフィール
俳優立石俊樹
8月26日から福岡・大阪・名古屋・東京で上演される、ミュージカル『浜村渚の計算ノート』に出演する立石俊樹さんにミュージカルの魅力や役者として大切にしていることについて聞きました。
立石俊樹が役に対して感じた共通点
――ミュージカル『浜村渚の計算ノート』で、数学には疎いけれど、刑事としてのカンが鋭い武藤龍之介を演じます。
立石:武藤は、1つの物ごとに熱中して、信念を持って行動するタイプです。僕自身もそういう一面があるので、そこは共通しているかなと思います。お芝居の中にはコメディーの要素もたくさんあります。コミカルな演技や動きは好きな方なので、稽古をしていく中で武藤らしさを見つけていきたいと思います。
――ヒロインの浜村渚は、数学が大得意な中学2年生の女の子です。立石さんも数学は得意科目だったそうですね。
立石:はい。数式を覚えないと解くことができないのが数学。基本を学んで応用をしていくところが好きでした。得意だから好きだって思っていたのかも。頑張って100点を獲れば、自信になる。芝居も同じで、分かろうと思って頑張ったんですよね。元々歌っていた(ダンス・ボーカルグループ『IVVY』として活動)から、芝居については全然知識がなくて。「上手くなりたい」と毎日学んで、その積み重ねなんだと思います。
――今回のミュージカルでヒロインを務める桑原愛佳さんは、公開オーディションで選ばれました。
立石:そうなんです。僕もオーディションの様子を見ていました。受からない人間が大多数ですからね。僕もオーディションを受けては落ちてという時期がありましたから、初心を思い出しました。そして受かって、終わりじゃなくて、そこがはじめの一歩なんですよね。
未来を想像して努力すれば辿り着く
――役者としてキャリアをスタートして、「これは運命だ」と感じた役があったと聞きました。
立石:2017年に出演したミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンで務めた幸村精市役です。オーディションに受かったのはこのときが初めてでした。幸村の役をいただいて、お芝居を好きになることができましたし、「未来の自分はこうなっていたい」と想像して努力するようになりました。全て今に繋がっています。
――役者として大切にしていることはどのようなことですか。
立石:作品を常に追求することです。映画やドラマと違って、舞台は毎公演お客様の前で生で演技をしますよね。同じことを繰り返しやるけれど、1度だって同じ舞台はない。今日は前よりもっといい演技を見せたいと思うようになってからは、毎回新しい気づきを得られるようになりました。「これをやれば、こうなる」みたいな、固定した考えを持つことも辞めました。毎回舞台に上がる前は、気持ちをリセットします。舞台は演技を再生する場所ではなく、役として生きる場所。「立石俊樹ってこういう役者だよね」という枠に収まりたくない。可能性は無限だと、自分に言い聞かせて舞台に臨んでいます。
――元々お好きだった歌と、新しく身に付けたお芝居。そのどちらも披露できるミュージカルは立石さんにとってどのようなものですか。
立石:歌を歌いたいと思ってこの世界に入ったのですが、初舞台で芝居の楽しさを知りました。今は芝居の延長線上に歌があるという感じです。ダンスもありますし、これまで経験した全てを体現できる場所が、ミュージカルです。
――今作では事件解決に向けて奔走する刑事に扮します。今後やってみたい役などはありますか。
立石:実はあくが強い役に興味があります。ストーリーを混乱させるようなヒール役にも惹かれます。恋愛ものもやってみたい。色々なオファーをしていただけるよう、表現力を身に付けたいですね。
取材・執筆/翡翠
編集/MARU
公演情報
ミュージカル『浜村渚の計算ノート』
原作 青柳碧人「浜村渚の計算ノート」(講談社文庫刊)
脚色・演出 植木護 作曲・音楽監督 松田純一
出演 桑原愛佳 / 立石俊樹 藤岡真威人 飯窪春菜 隅田美保 入来茉里
藤岡舞衣 西條妃華 小日向悠・近藤匠真(Wキャスト) 中谷妃那・中山美優(Wキャスト) /
井上小百合 レ・ロマネスクTOBI 朝隈濯朗 ダイアモンド☆ユカイ 他
福岡・キャナルシティ劇場 2023年8月26日(土)・27日(日)
大阪・森ノ宮ピロティホール 2023年9月1日(金)~9月3日(日)
名古屋・ウインクあいち大ホール 2023年9月9日(土)・10日(日)
東京・サンシャイン劇場 2023年9月14日(木)~18日(月・祝)
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この記事を書いた人
- 音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。