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帽子作家・黒田真琴さんの店舗経営術ハンドメイド作家が自分のショップを開業するために必要なのは、お金やPRではなく「作品」そのもの

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フリーランスのフォトグラファーと帽子作家の二足のわらじ。鎌倉にアトリエ兼ショップを持つ黒田真琴さんに聞いた自分のお店を持つために必要なこと4つ。

「好きなことを仕事にする」ために必要なこと

もともとフォトグラファーとして世界を巡り撮影をしている中で、さまざまな国のかわいい素材……毛糸や布などを集めていたという黒田さん。

「素材を使って何か作りたいと思いました。当時、『自分がかぶりたいと思える素敵な帽子がない』ことが悩みでもあったので、『自分で作ってしまおう』と帽子作りをはじめたと言います。試行錯誤の末にできあがった帽子は、かぶっているだけで幸せな気持ちになれる、自分が心からかぶりたいと思える帽子でした」

フォトグラファーとの二足のわらじで帽子作家として活動し始めた黒田さんは現在、鎌倉でアトリエ兼ショップを開いています。お店を開くというのはものづくりを仕事にしたい人にとっては憧れだと言えますが、そのコツについて、黒田さんは4つのポイントがあること教えてくれました。

黒田さんのアトリエ兼路面店
  • PRに力を入れるよりもまず魅力ある作品づくりをする
  • 下積みや営業よりも唯一無二のものを生み出すことに徹する
  • 二足のわらじを持てば開業資金も準備しやすい
  • 自分が欲しかったその品に適正値段をつける

ポイント1 PRに力を入れるよりもまず魅力ある作品づくりをする

今、黒田さんがアトリエ兼ショップを運営できているのは、「本当に自分が心から欲しいと思える理想通り」の帽子を生み出せたからだといいます。

「いくら自分がそれを生業にしたくて買って欲しくても、自分がちょっとでも微妙だと思っているものを、人は、かぶりたいと思いません。それを、無理やり販売するのは難しいですよね。もちろん、戦略的に営業をしたり、人脈を作ったり、PRの資料を作ったりするのも大切ですが、やはり、『自分が絶対欲しかったもの』を生み出せていてこそだと思います」

世界中の素材を使って1つずつ手作り。世界にただ一つの帽子を生み出した黒田さん

ポイント2 下積みや営業よりも唯一無二のものを生み出すことに徹する

路面店をオープンしているというと、「どうやって資金調達をしたのか」「お店を出す前にどんな下積みをしたのか」というようなことを聞かれることも多いという黒田さん。

「改めて考えても、人のご縁だなと感じます。私が自分のために作った帽子が友人の目に留まったんです。その友人が、自身が勤めていたセレクトショップに『この帽子をおいて欲しい』と営業してくれていたんです」

20年前。「人の縁」と言われてしまうとラッキーのように聞こえるかもしれませんが、ここで重要なのは「この帽子、本当に可愛いから!自分もかぶりたいけれど、人にも伝えたい」というファンがいたこと。それは、黒田さんが生み出した帽子が他の誰にも作れない唯一無二の魅力的なものだったということでもあります。

「仕入れてくださったお店の方も気に入ってくださって、委託販売ではなくすべて買取してくれました。それがまた、すべて売り切れて……。その先も、いろんな人からギャラリーでの展示のお話をいただいて、帽子のファンも増えていきました」

最近は、街中で黒田さんの帽子をかぶった人同士が「それ、黒田さんの帽子ですよね?」と声を掛け合ったという話を聞くこともあると言います。

「アトリエ兼ショップをオープンしたことで、直接自分の帽子をかぶってくれている人、買ってくれる人と話をすることができています。自分の作品を手にして喜んでくれる人がどういう人なのか、自然にいつも意識することができるのは路面店を持つ魅力かもしれません」

ポイント3 二足のわらじを持てば開業資金も準備しやすい

黒田さんが自分の店を出したのも人とのご縁でした。

「たまたま知り合いの方がお店を移転するから『何かやらない?』って声をかけてくださったんです。そのとき、たまたま、次の撮影旅行に出るために貯めていた200万円が手元にあって、開業資金に回しました」

わざわざお金を貯めたり、集めたり、借りたりして開業したわけではないという黒田さんですが、何をするにもお金は必要です。

「私の場合は、フォトグラファーとしての仕事がはじめたばかりの帽子の仕事を支えてくれました。今では、写真と帽子の仕事の割合は逆転していて、ウエイトは帽子のほうが高いですね」

クリエイティブな仕事を2つ掛け持つ形ではありますが、会社員やアルバイトであったとしても、収入を得ながら本当に好きなことでやっていくために必要なお金を得るというのは非常に建設的と言えるのではないでしょうか。

黒田さんは写真家としても活動し世界中を旅しながら撮影を続けてきた

ポイント4 自分が欲しかったその品に適正値段をつける

手作りで1点ものの黒田さんの帽子は「値段が高い」と言われることがあるといいます。

「でも、なぜ高いのか……それを聞けば皆さん心底納得してくださるんです。『この糸はイスタンブールの小さな街のおばあちゃんが紡いでいて、それを染色して、手縫いでつくった世界にたった1つの帽子なんです』と伝えると、その価値を皆さんわかってくださるんです。だからお店を続けていけますし、逆に言えば、このショップがあるからこそ、自分の帽子を見にきてくれた人たちにその本当の価値を伝えることができるんです」

自分が価値のあるものを世に生み出しているという自覚と価値を表現する力、言葉を持つことは大切です。そこに正当な値付けをすることに躊躇せず、その価値を信じることも、自分の表現を仕事にする大切な要素であると言えそうです。

お客様と自分自身が幸せになれる帽子作り。黒田さんは常に縁を大切にしている

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この記事を書いた人

MARU
MARU編集・ライティング
猫を愛する物書き。独立して20年。文章で大事にしているのはリズム感。人生の選択の基準は、楽しいか、面白いかどうか。強み:ノンジャンルで媒体を問わずに書けること、編集もできること。弱み:大雑把で細かい作業が苦手。

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