Interview
インタビュー

『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』は舞台として成立するのか? 田中哲司が「少し恥ずかしくても」真剣に演じ切る姿を若手に見せる覚悟とは。

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多くの人が「えっ、どうやって?」と戸惑ったエヴァンゲリオンの舞台版で最高司令官を演じる田中哲司さん。世界的な演出家への全面的な信頼と、一見滑稽でも真剣にやり通す重要さを語りました。

プロフィール

俳優田中哲司

1962年三重県生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒。『REDレッド』で2015年、紀伊国屋演劇賞個人賞受賞。エヴァンゲリオンを生んだ庵野秀明が企画・脚本を務めた映画『シン・ウルトラマン』にも「禍特対(カトクタイ)」の室長として出演した。

5月6日(土)から公開される『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』はいったいどんな作品になるのか。自身も「舞台として成立するのかと思っていた」という田中哲司さんに、稽古場での様子や若手共演者への思いを聞きました。

「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」に出演

――「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」に出演されます。

田中:舞台として成立するのか。見せどころが難しいので、触っちゃいけないだろうと思っていました。でも演劇はもちろん、バレエやオペラでも活躍されているラルビ(シディ・ラルビ・シェルカウイ)さんが、オリジナル作品として構成や演出、振り付けを担当されるので、「いけるかな……」って。並みの演出家ではできない作品だと思うので、どんな風に繰り広げていくのか……。僕も楽しみです。

――エヴァンゲリオンがオリジナル・ストーリーで上演されることについて、どのようにお考えですか。

田中:庵野(秀明)さんが作った世界を、映像などを駆使して“再現”するなら、想像がつきやすいと思うのですが、舞台にはそのような仕掛けがありません。そこに演劇でやる意味があると思っています。

庵野秀明の世界を再現したい

――田中さんは使徒に対抗する特務機関「メンシュ」の最高司令官・叶サネユキを演じます。

田中:実は台本がまだなくて、昨日(3月28日)に、初めて稽古場に行ったんです。台本があれば色々想像できるのですが。いまはまだ、誰も観たことがない作品を作ろうとしているラルビさんに身をゆだねるだけです。

――稽古では、動かしている人形を見ながら、作品の世界観について説明を受けたそうですね。

田中:ええ。小さいエヴァ(エヴァンゲリオン)を文楽の人形みたいに操りながら、1時間くらい話を聞きました。「少し動いてみましょうか」と、指令室から指示をしてみたりもしましたが、いまやっている何が本番に残っていくのか、まだ手探りです。

――会見では主演の窪田正孝さんが作品について「大人から子どもへのバトンがうまくいっていない。大人の時代に生まれた負を、そのまま子どもに押し付けてしまっている」と説明されていました。

田中:窪田くんがそう言っているのを聞いて、「そうだな」と思いました。残してしまった大人は僕で、やってしまったことを子どもたちに背負わせようとしている。

――演じる叶は部下と共に四体のエヴァンゲリオンを開発。息子のトウマ(永田崇人)らをパイロットとして搭乗させますね。

田中:使徒とエヴァの戦闘シーンは僕も大好きな部分なので、舞台でどのように見せていくのか気になります。

「演技って恥ずかしい」からこそ真剣に

――板垣さんは今作が、初舞台です。

田中:さっき聞いてびっくりしました。頑張るしかないですよね。

――役者の先輩として、若い俳優さんをどのように導いていきたいですか。

田中:背中を見られているなという感じはします。舞台では、ちょっと滑稽だなと思うことも真剣にやることが大切です。演技ってどこかで「恥ずかしい」と思ってしまう部分もあって、弱気になることもあるんですけど、僕ら役者には“セリフ”がある。どんな滑稽なことも真剣にやり通す姿を見てほしいなと思います。

時代に必要なのは一緒に成長するヒーロー

――いまの時代に求められているヒーローは、どのようなものだとお考えですか。

田中:僕が子どものときは、タイガーマスクやマジンガーZ、ウルトラマンに仮面ライダーと、ヒーロー然としているものが多かったんです。オリジナルのエヴァンゲリオンはそういう作品とは違って、悪魔的な要素を持っていたところに魅力を感じていました。いまの時代に求められるヒーローは、同じ悩みを抱えていたり、ときには失敗もする。一緒に成長していけるようなヒーローが求められているのかなと感じます。

――舞台は新宿に誕生した「東急歌舞伎町タワー」内にある新劇場「THEATER MILANO-Za」のこけら落とし公演として上演されます。

田中:劇場って立っている役者や観客のみなさんの“念”が、渦巻いているように感じるのですが、まだ誰の念もないピカピカの状態でした。最初に僕らの念で汚せることがとても楽しみです。舞台・エヴァンゲリオンという大作に果敢に挑んでいる僕らの姿を劇場で観ていただきたいです。

「どんな滑稽なことも真剣にやり通す姿を見てほしい」

続きは5月1日、20時配信!

取材・文・写真/翡翠
編集/MARU

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