経験を仕事起業のリアル。一生働きたかったから「道端で働ける人」をめざしたら、会社員から山伏のキャリコンという肩書にたどり着いた〈キャリアコンサルタント×山伏/渡辺清乃さん〉
多様な働き方のリアルを聞きました!きれいごとじゃない起業のリアル。どんな思いでビジネスを立ち上げたのか? 起業後の気になるお金のリアルについて渡辺清乃さんに聞きました。
プロフィール
キャリアコンサルタント×女山伏渡辺 清乃
どんな仕事をしていますか?
今の仕事はなんですか?
キャリアコンサルタントとして企業や自治体での研修登壇、個人の方のカウンセリング・コンサルティング、執筆などをしています。修験道の行者(山伏)でもあり、修行の場を開き一般の方々をお山にお連れしています。
いきなり起業しましたか? 会社員の経験はありますか?
3社・合計7年間の会社員生活を経て、最初はフリーランスのエディター・ライターとして独立。独立して4年後にキャリアコンサルタントの資格を取り、徐々にキャリアチェンジしました。山伏になったのは5年前です。
起業したきっかけは?
一生働きたかったので「道端で働ける(場所にとらわれずに働ける)人になりたい」と思っていました。まだリモートワークのない時代。その頃「ライターなら叶うよ(フリーになれる)」と誘われ、人材派遣会社から編集プロダクションへ転職しました。その後、キャリアコンサルタント資格を取得してからゆるやかにキャリアチェンジ。「キャリア」を「人生」ととらえ、生命が喜ぶ生き方を探究し続けています。「その人にとって最適な人生を創るには、あたまだけで考えていてもうまくいかない」という発見をしてから身体知の領域にも探究を深めるようになり、山伏になりました。ほか、身体からのアプローチとして、マインドフルネスのティーチャーとしても活動しています。
起業家「きついな…」と思うことがある?
最近は無いですが、独立数年後に住宅ローンを組んだ際、保証金を会社員の倍額求められたのはきつかった。会社員時代は無自覚に「上司・同僚」「会社の看板による信頼」「設備」「教育機会」に恵まれていたんですよね。
起業して「よかった!」ことは?
自分の人生が毎日白紙で、イチから絵を描けること。
起業して気づいた「自分の甘さ」は?
経理系能力が著しく弱く、しかもそれをあまり重要視していない甘さがあります。
起業する前にどんな準備をした?
編集者・ライターとして独立した時は完全に実務経験のみ。むしろ独立してから勉強をし続けています。ライター講座は何回も、キャリアコンサルタントになってからも常に学び続けていて、毎年学習には100万円超の投資をしています。
「起業の壁」トップ3を教えてください!
とくに思い当たりません。トップ3、というより、常に「これで良かったのかな」と内省しています。たとえば研修登壇なら、一日を思い出して「あの投げかけが最適だったかな」「あの時、受講者の方の本当に仰りたかったことを汲み取れていなかったかもな」などといつも一人反省会をします。
今の仕事で「一番、頭にきたこと」はなに?
「予算の余っているお客様がいるから、なんか適当に(研修を)やってくれない?」と言われた時。
起業前の自分に言いたいことは?
決断してくれてありがとう!
お金のリアルを教えてください
最初に稼いだ金額はいくらですか?
月18万円くらいでした。独立する際、勤めていた編集プロダクションの社長が担当顧客にかけあい、いくつかの仕事を引き続きやれるよう計らってくれたんです。「毎月固定収入があるだけでかなり違うから」と。有難かったです。
「思っていたほど稼げなかった」?「思った以上に稼げた」?
「思った額」を設定せずに独立したので比較できないのですが、それなりには稼げていると思います。
過去最高の売り上げは?
ナイショ
独立資金はどれくらい貯めた?
覚えていませんが、貯めなかったと思います。仕入れのある仕事ではないので、働けばオン、働かなければゼロ。おそらく当面3ヵ月程度の生活費があれば、という位でした。
値付け、価格設定の悩みは?
ある程度相場に準ずる形をとってはいますが、案件によってばらつきはあります。自身の中であらゆる条件を加味しながら、気持ちよくできるラインを決めて、それから下回る場合は率直に交渉します。
「コレができたら」もっと稼げる?
考えたことがないです。今の仕事の領域で、心の器と能力を磨き続けたい。
お金より、休みやゆとりが欲しい?
あります! お金で時間を買うために、家事代行を活用することも。家事をしてもらっている間に仕事をする、ではなく、休むとか遊ぶ、というのも敢えてしています。
軌道に乗るまでの期間は?
固定のお客様が増えて安定感が出始めたのは、1年半くらいだったと思います。
お金のトラブル、未払いなどの経験は?
幸い、ありません。
法人化していますか?
仕事への覚悟の質を上げるために、3年前に法人化。これまで自分が探究してきたことを丁寧に広くお伝えしていきたいと考え、そのコンセプト(「ホリスティック・キャリア」=人の全体性を扱ってキャリアを創造する)を社名に掲げました。