Interview
インタビュー

転職をしても、フリーランスになっても苦しい。私が理想の仕事を見つけた経緯 rucoインタビュー第1話

移動式本屋「ruco-bon*(るーこぼん)」オーナーのrucoさんインタビュー前編。転々と逃げるように職を変え、遂につかんだ希望について語ります。

ruco

プロフィール

移動式本屋ruco-bon*(るーこぼん)店主ruco(るーこ)

鹿児島県生まれ。福岡県久留米市を拠点に、赤いトランク一つの本屋さんを経て、ワーゲンバス仕様の移動式本屋「ruco-bon*(るーこぼん)」を2018年よりスタート。2児の母。栄養士・調理師・製菓衛生師(パティシエ)免許を持つ。

専門学校を卒業し、憧れの職業に就くも、そこはブラックな環境だった……。

将来やりたい仕事の夢を描いていても、職場や業務内容が理想とかけ離れていることがあります。今回ご登場いただくruco(るーこ)さんは、転職をしたり、フリーランスライターとして独立したりしましたが、どの環境へ行っても苦難に見舞われました。

そんな中、あることをきっかけに希望の光が差し込んだのです。

全2話、後編はこちらからどうぞ。

移動式本屋ruco-bon*(るーこぼん)って?

赤いワーゲンバス風に改造した軽ワゴン車で、福岡県久留米市を拠点に町中に現れる移動式本屋さん。それがruco-bon*(るーこぼん)です。車の後ろに手作りの棚を設置して、イベントや、マルシェ、キャンプ場、住宅展示場など、様々な場所で出店しています。

2018年に移動式本屋ruco-bon*を始めたrucoさん。本屋さんを始める前は、栄養士、通販会社、フリーライターと、2度の転職。会社とぶつかったり、人間関係に苦しんだり、納得がいかない仕事にモヤモヤしたり…曲がったことはしたくない気持ちが強く、「うまくやりなよ」と言われるけどなかなかできない。かなりの生きづらさを抱えていました。

そんなrucoさんが本屋さんになりたい!という夢を見つけ、生きづらさを乗り越えて自ら夢を叶えられたのは何故か、伺ってきました。

ruco

専門学校を卒業し憧れの栄養士に。激務で手取り8万円

子供の頃にお店屋さんごっこをしている時から、絶対自分は商売をしないしできないから、自分のお店を持つことはないんだろうなって悟っていました。その頃からどこかにお勤めするってことしか考えてなかったんです。

今思えば、当時母が看護師をしていて、一緒に暮らしていた祖父も営林署に勤めていたんです。周りの子の家もみんなどこかに勤めていたから、自分でお店屋さんや社長になる選択肢になかったのかもしれないですね。

社長とか代表とかって、テレビの中の話だと思っていました。

栄養士になりたいなと思って高校は調理科に入って、専門学校も栄養士の専門学校に入ったんです。文系とかではなくて、手に職をつけてしっかり就職できるような道を選んでいました。

栄養士を選んだのは、ごはんで人を元気にしたいと思ったからなんです。

給食委託会社に就職、晴れて栄養士になったものの、栄養士はなかなかブラックでした。

最初は調理場でパートの方たちとひたすら調理をする仕事。

次に配属されたところで栄養士らしい仕事を任せられましたが、人手不足で、朝の5時から夜の9時までずっと現場にいて、1か月の休みが3日しかなかったり、残業代もちゃんと出なかったりして、手取り8万くらいの生活だったんです。さすがに体を壊してやめてしまいました。

転職でOLに。理想と現実のはざまで、生きづらい苦しみ

ご飯で人を元気にしたいと思って始めたのに、会社から言われた範囲内で献立を作るとなると、冷凍食品や加工食品とかを大量投入しないといけない。それは違うと思って。患者さんにとっての唯一の楽しみであるお食事がこれでは…とすごく悶々としていました。病院にもともといる栄養士さんも同じ考えで、会社の方針との板挟みになってきつく当たられることもありましたね。

夢破れた次はOLになろうと思って(笑)

安易な気持ちで、通販会社に転職。企画販売の部署で栄養士だったっていう理由だけで健康食品担当に。そこで、商品の企画もするんですけど、毎月送るDMやチラシのラフとかを書かせていただくようになったんです。

会社にいるときって、当たり前のことなんですけど、社長とか上司の考えを反映しないといけないところもあって、自分がどんなにお客様のことを考えても、経営者としては売り上げのこととか利益のことだとかを考えないといけない。よく会社と対立してしまったりぶつかってしまったりしました。会社の利益の追求とお客様のことを考えることは両立することは難しいんだってそこで知りました。

周りの人はすごくうまくやっていたんですけど、私はゴルフができなかったし行こうとも思わなかったので断っていましたし。多分私は頭が固く、馬鹿真面目だったというか、要領悪かったんですね。それでかなり生きにくかった。若いときはちゃんとした本も読んでなかったですしね。

だからだいぶうちのめされたというか、世の中のちょっと苦い部分を一気に経験しましたね。

フリーランスライターに。依頼された記事の内容に苦悩

2度目の退職後、お世話になっていたデザイン会社さんからの「ライターをしてみたら?」というアドバイスを受け、フリーランスライターの道へ進むことになりました。

最初の頃は、手当たり次第に見つけた仕事に飛びついていっていました。

アフィリエイト目的の健康情報記事なんかも書きました。当時福岡にあったママライターのコミュニティに顔出すようになってからは、女性起業家の取材で記事を書かせていただいたのがきっかけで、福岡の起業女性の方々のゴーストライターとして、ブログを代わりに書くことも。ありがたいことに、多くの方がいろいろなところへつないでくださり、お仕事が広がっていきました。

ただ、組織の中での生きづらさからは解放されたものの、見通しが甘かったというか。

人に嘘をついてだますような文章を書かないといけないこともあり、それに耐えられなくなりました。子供に寂しい思いさせて、毎日こんなイライラしてまで私は何を書いているんだろうかと、モヤモヤし始めてしまったのです。

考え出したら、もう止まらなくなってしまいました。

「まっすぐに生きていいんだ」と教えてくれた1冊の本

そうやってモヤモヤしていたときに出会ったのが、東京都江戸川区にある書店「読書のすすめ」の店長・清水克衛さんの本。これを読んで、もっと本を読まなきゃなって思ったんです。それで、その本で紹介されている本を片っ端から読み漁っていたんですけど、夢や志をまっすぐに追いかけている方の本がすごく多かったんですね。

不器用で馬鹿真面目だけど “私はまっすぐ生きてもいいんだ” ってすごく勇気をもらったんです。

仕事として割り切るのも時には大事だけど、私の文章を読んで元気になったり、幸せになったりとか、いい方向に行くような文章が書きたいって想いに、素直になっていいんだって思ったんです。

頭が固くて、生きづらさを抱えてきた人生が、ふっと楽になった瞬間でした。

私自身、たった1冊の本を読んで、こんなに変わると思ってませんでした。

「ぴしゃっとしなさいよ」と言ってくれる本もあれば、「ちょっと肩の力を得てフワッとやりなよ」みたいな本もあって。右に傾きかけたらちゃんと今度は真ん中に戻してくれるような本があるんです。これまで世の中の両極端を経験したからかもしれないんですけど、自分のちょうどいいところが見つかってきました。

そんなに本が好きなら、本屋さんになれば?

本を買い漁ってめちゃくちゃ読んでいる姿を見た知り合いが、「そんなに本を読むなら、本屋さんになればいいのに」って言ってきたんですよ。それで、「あ、そっか。本屋さんになればいいんだ」って思ったんですよね。

本を読んで、それが仕事になるなら最高じゃない?って。

読書を通じて生きやすくなってきたときに、本で学んだことや、「こんな本を読んだらいい」っていう提案を誰かに伝えたいと考えていました。最初はライターの枠の中で考えていたんですけど、その知り合いがライターの外側から言ってくれたので、本屋さんになって伝えればいいって気が付いたんです。

「読書のすすめ」も、お店に来た方の話を聞いて悩みに合わせた本をオススメしているんです。そのことを聞いたとき、本を通して人を元気できる人がいるんだなって衝撃を受けたんです。

私もそういう風になりたいと思いました。

もちろん失敗したらどうしようってめちゃくちゃ考えましたが、でも失敗したら最悪パートに行けばいいやって思っていたんです。お金の失敗はパートをすれば取り戻せるからいいやって。もともと地元を離れていたので、私のこと知らない人ばっかりだから失敗したとしても自分が傷つくことはないだろうなって思ったんです。怖いものなんてなかった。

後編へ続く

取材・文/I am 編集部
写真/本人提供

この記事を書いた人

橘田 優里
橘田 優里編集部
歌うことと、カワウソが好きな社会人4年目。たまにジャズのライブをする。趣味は多いが「好き」でどう稼げばいいのかが見えないのが悩み。強み:いざとなったときの馬力。好きなことへの集中力。弱み:コツコツと継続すること。上手にしゃべること。
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