「人と比べる時間があったら、1段でも階段を登りたい」という濱田岳さんの仕事論
濱田岳さんに、聞いた好きを仕事にするために必要なこと。
プロフィール
俳優濱田岳
2月23日に公開される映画「湯道」に出演する俳優・濱田岳さんに、映画の見どころと、好きを仕事にするために必要なことについて聞きました。
勉強はいつでもできる。でもこの仕事は二度と来ない
子どものときにスカウトされたことがきっかけで、活動を始めました。学業やラグビーに打ち込んでいた16歳のとき、ドラマ「3年B組金八先生」(第7シーズン、2007年)への出演依頼をいただいて、仕事、学校、ラグビーのいずれかを選択することを求められました。
そのとき僕は、「勉強はいつでもできるけれど、同じ役は二度と来ない」と役者の道に進むことを決めました。でも当時はまだ、「これで食っていく」とは思っていなくて、大検を取得して、学び直すことも念頭にありました。
16歳だった僕が選んだ「回り道」
端から見れば「役者」を選んだように見えて、僕の中では少し回り道をした「学び」を選んだ感覚。だから、16歳のときの僕が今の僕を見たら「勉強してないじゃん! 嘘つき!」と思うかなぁ……。
でも、役者というのは色々な役になれる仕事。ドラマ「ノーサイド・ゲーム」(19年)では、中・高生のときと同じポジション・スクラム・ハーフでラガーマン(狩野伸太郎=『3年B組~』と同じ役名)として出演しましたから、16歳の夢を別の形で叶えたとも言えるのかもしれません。
僕にできない役はない
僕は、いつも「僕にできない役はない」と思いながら演じ続けて今日があります。傲(おご)りとかではなくて、僕にしかできないその役があると思っているんです。同じ役でも、役者さんによって唯一無二の存在に変わります。今作、「湯道」で演じた悟朗は、僕にしかできない悟朗で、僕にしか出せない魅力を出せたと思います。でも、もしも別の役者さんが悟朗を演じていたら、その人にしか出せない悟朗になっていた。それは僕には真似のできない悟朗ですよね。そういう意味で、どんな役も僕にしかできないと思って挑んでいるんです。
焦っても人と比べる時間があれば、先に進む
夢を実現させたいと頑張っているとき、不安や焦りが生まれることもあると思います。僕は、人と比べる時間があったら、1段でも階段を登った方が目標に近づくことができると考えていて、周囲の目や言葉などは一切気になりません。もちろん、悪口を面と向かって言われたらきっとケンカになるけれど、何か言ってくる人は自分に自信がない人。そういう人は、僕に気を取られて、前に進むことができていないわけだから、その間に、この人よりも「先に進んでしまえ!」と思っています。
期待を裏切ったら呼ばれなくなるのがこの世界
「湯道」でメガホンを取られた鈴木雅之監督とは、ドラマ「HERO」(2014年)以来たくさんの現場でご一緒させていただいています。声を掛け続けてもらえることはとてもありがたいことですが、前作とは違う新しい持ち駒を出さなくてはと頭を使います。数を重ねるごとに目も厳しくなりますし、期待を裏切ってしまったら、呼ばれなくなってしまう。だから、毎回秘策を持って現場に挑むことを心がけています。
技だけではダメ、魅力的であれ
「湯道」のように「役者道」があるとしたら、僕はまだ答えを出すことができていません。ただ子ども時代から、素晴らしい先輩方に囲まれていて思うのは、女優さん、俳優さん関係なく、魅力的な人は「カッコいい」ということ。役者としての技を磨くだけではダメで、生き物として魅力的になることが大切なのだと思っています。撮影の待ち時間など、魅力的な先輩がいると、つい目で追ってしまう自分がいます。デートもしていないし、一緒にご飯も食べていないけれど、恋してしまっている。僕もそういう人間になりたいです。
取材・文・写真/翡翠
編集/MARU
公開情報
『湯道』
日時:2023年2月23日(木・祝)全国東宝系にて公開
企画・脚本:小山薫堂(『おくりびと』)
監督:鈴木雅之(『HERO』シリーズ、『マスカレード』シリーズ)
音楽:佐藤直紀
出演:生田斗真、濱田岳、橋本環奈 ほか
公式サイト:https://yudo-movie.jp/
公式twitter:https://twitter.com/yudo_movie
公式instagram: https://www.instagram.com/yudo_movie/
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この記事を書いた人
- 音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。