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人生を変えるI amな本「最悪な悩み方」に陥った時ほど「言語化の魔力」でシンプルに脱出できる!

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人生が変わる I am な本。今回は樺沢紫苑さんの著書『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)を紹介。

人間である限り、人生に「悩み」は尽きないもの。今まで生きてきて、「一度も悩んだことがない」という人は、まずいないでしょう。

ただ、悩みがあっても、軽やかに乗り越えてしまう人もいれば、なかなかそこから抜け出せない人に分かれます。

その差は、悩みを解消するコツを知っているかどうか。それを 1 冊にまとめたのが、『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)です。

著者は精神科医で、多くのベストセラーを世に送り出している樺沢紫苑先生。YouTube チャンネル「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」では、視聴者から寄せられる約4千もの悩みに答えてきた、悩み解消の達人でもあります。

今回は本書から、悩み解消の秘訣を紹介します。

忙しい自分を救う「なんとかなるさ」の意外な効用

写真/shutterstock

悩みがなかなか解決へ向かわない理由の 1 つに、「コントロール感」の少なさがあります。悩みに向き合った時、それをコントロールできなければ悩みは深まるのです。

ここで言う、「コントロールできない」とは、やりたくないことをやらされている状態のこと。例えば、職場で「やらされ感を持ちながら、嫌々仕事をしている」ような状況では、悩みは増すばかり。逆に同じ仕事であっても、自分に裁量権が与えられていれば。ストレスはぐっと減ります。仕事の要求度は非常に高くて、かつコントロール感が低すぎれば、ストレス MAX。脳卒中の発症率が高まるくらいだそうですから、たまりません。

おそらく、コントロールできる割合が0%という悩みは、そうそう無いはず。樺沢先生は、悩みのコントロール率は何%なのか、数値化することをすすめています。もし 30%であるなら、「視点・見方を変える」などして、50%や 80%へと増やすことはできないか考えましょう。あとは、コントロール可能な領域に集中して、対処できることにひたすら取り組めば、道が開けるわけです。

写真/shutterstock

原稿の締め切りが明日に迫っています。どう考えても終わらない。「あーどうしよう」とパニック寸前。

そんな時、私は、「なんとかなるさ」とつぶやいて、執筆に戻ります。そうすると不安は減弱し、非常に高い集中力が発揮できます。結果として締め切りにも間に合う。「なんとかなるさ」と口にすることで、実際に何とかなってしまうのです。(本書より)

続いて、脳科学的な解説がなされています。人間は危険を察知すると脳の偏桃体が、瞬時に興奮し、「危ない、気をつけろ」と警告する仕組みが備わっています。樺沢先生にとって、「締め切りに間に合わない」は、一種の「危険」であり、偏桃体が警告してきます。かくして不安やパニックに襲われます。そんな興奮した偏桃体をなだめるのが、脳の前頭前野という領域です。前頭前野から「なんとかなるさ」という言語情報が流れると、興奮が抑制されるそうです。一言の何気ない言葉でもバカにできません。これが「言語化の魔力」の 1 例です。

悩みから抜け出せない時は書き出してみる

写真/shutterstock

                                                 

解決のつかない悩みは、ぐるぐると同じことが頭の中で浮かんでは消え、それが四六時中続きますよね。

その理由として、樺沢先生は、脳の作業領域が極めて狭いことを挙げます。脳が同時に処理できる情報はせいぜい 3 つ。悩み事があって苦しんでいると、脳疲労を起こし、作業領域はさらに減ってしまうそうです。このため、悩みの堂々巡りが頭の中で繰り返されます。この堂々巡りを抜けられれば、「悩みは 9割解消したも同じ」と、樺沢先生は説きます。

では具体的に何をすればよいのでしょうか? これも「言語化」がキーワードです。悩みをノートに書き出すのです。本書には、以下の例が載っています。

「つらい苦しいのはなぜ?」→「仕事が忙しいから」
「なぜ仕事が忙しいんだろう?」
→「3 件の仕事の納期がかぶっているから」
「じゃあどうする?」
「一番、近い納期は?」→「A 社が 2 週間後」
「一番、遅い納期は?」→「C 社が 2 ヶ月後」
「じゃあ、まず A 社の案件を最優先して進めよう」
「どうして、A 社の案件が、進んでない?」
「その理由は?」
「入社 3 年目の高橋君の進捗が遅れているから。彼には少し、荷が重いのか」
「対処法は?」
「高橋君のサポート役として、ベテランの伊藤君をつけよう」

メタ認知科学において、頭の中にある考えを外に出すことを「外化(がいか)」と呼びます。上のノートの書き出しも外化、ToDo リストやスケジュール帳にタスクや予定を書き出すのも外化です。「外化すればするほど、脳は軽くなり、気分はスッキリします!」と、樺沢先生は太鼓判を押しています。頭で考えて悩むより、「手で考える」ことを肝に銘じましょう。

朝の散歩15分で脳疲労はグッと改善する!

写真/shutterstock

有名な彫刻作品であるロダンの「考える人」。深刻に悩む人の姿といえば、この作品がイメージにぴったりです。

樺沢先生は、「考える人」風に座って、「どうしよう」いうのは「最悪の悩み方」だと断じます。

そして、「歩きながら悩めば悩むことは解消に向かいます」と、大事なのは行動であることを力説。もしそれができないのであれば、脳疲労が関係しています。といいますか、悩みの「諸悪の根源」は、脳疲労なのだそうです。

その視点で、「絶対にやらなければいけないこと」として挙げられているのが「心と身体を整える」。具体的には、質の良い睡眠を取り、適度の運動をし、規則正しい生活をする。一見平凡な、健康法と呼ぶほどでもない生活改善だけで、心身はかなり整うそうです。

特に効果が「絶大」とされているのが、朝の散歩。脳疲労のときは、脳内物質のセロトニンが減少していますが、朝に 15 分程度の散歩をするだけでセロトニンは活性化するのです。その後で朝食をよく噛んで食べれば、セロトニンはさらに活性化します。程度の軽い脳疲労であれば、1 週間も続ければ、効果を体感できるとのことです。逆に、テレワークで家から出ない生活をしているとセロトニン不足に直結し、脳疲労が加速されるので注意しましょう。

散歩に限らず、今できる行動をするのが、悩みの解消につながるのは、扁桃体が沈静するから、というのもあります。扁桃体の役割は、先に述べたように危険を察知し、行動を促すことです。タイミングよく行動を起こせば、扁桃体はおとなしくなり、不安は収まります。


本書は 300 ページを超えるボリュームで、つまみ食い的な紹介となりましたが、脳科学の知見から悩みをシンプルに解決してしまうコツが盛り込まれています。もし何かで悩んでいるなら、本書を参考に解決をはかってみるとよいでしょう。

書名言語化の魔力
著者樺沢紫苑
出版社幻冬舎
出版年月日2022/11/9
ISBN978-4344040526
判型・ページ数4-6、328ページ
定価1760円(税込)

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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