Interview
インタビュー

あの人に聞きたいI am 的「好きなことを仕事にし続けるために必要な5つのこと」「生み出した曲は汚物」だったSUGIZOの人生が180度変化した人生のターニングポイント

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ソロデビュー25年目を迎えたSUGIZOさんに、「が好きを仕事にし続けられた5つの理由」を伺いました。

プロフィール

ギタリストSUGIZO(スギゾー)

1969年7月8日、神奈川県生まれ。1992年にLUNA SEAとしてデビュー。バンド活動を休止した97年にソロアーティストとして始動した。2000年に終幕したバンドは、2010年から活動を再開。2009年には、サポートメンバーを務めていたX JAPANに正式加入した。2022年11月には、YOSHIKI、MIYAVI、HYDEらと新バンド・THE LAST ROCKSTARSを結成。年明けに日米でライブを行うことを公表している。

LUNA SEA、X JAPANのギタリスト、バイオリニストとして活躍するSUGIZOさんが、ソロデビュー25年目を迎えました。11月23日には、発表してきたシングルをまとめた3枚組のベスト盤「THE COMPLETE SINGLE COLLECTION」をリリース。

53歳を迎えた現在は、音楽制作はもちろん、紛争が続くウクライナの難民を支援する活動にも力を注いでいます。バンドの終幕や、心を通わせた人との死別など、転機を迎えても音楽と向き合うことを止めなかったことは、「最も好きを仕事にし続けること」にもつながっていたーー。SUGIZOさんに伺いました。

SUGIZOさんが好きを仕事にし続けられた5つの理由

娘の誕生が、あらゆる「最悪」を変えた

20代前半はバンドの活動が大きくなっていく一方で、人間に対しての不信感が募っていました。メンバー同士もぎくしゃくして、ソロとして活動をすることを決めたころは、メンバーとの関係はよくありませんでした。当時、すでに結婚をしていたのですが、妻がいることは公表できず、夫婦関係もすれ違いでした。でも26歳のときに生まれた娘が、他者にも自分自身にも暴力的だった僕を変えてくれました。心が安堵する場所を求めていた僕にとって、娘は救いでした。自分の中に溜まったネガティブを吐き出す手段が音楽でしたが娘が生まれたことで、そうではなくなった。自分がなぜ音楽を続けるのか。その理由も変化していきました。

作業に疲れたら方法を変えてみる

バンド活動や人間関係などで生まれたストレスは、音楽制作に没頭することで忘れることができました。音楽の制作過程では生みの苦しみはありますが、それ自体をイヤになったことは1度もありません。例えばバンド・サウンドを作る作業に疲れたら、電子音楽や映画のサウンドトラックなど、別のカテゴリーの音楽を“聴く”ようにします。聴く、作る、観るなど、方法を変えることで、音楽に癒されているので、音楽から離れたいと思ったことは1度もないです。

制作現場に置かれた石からも力をもらっている

好きを仕事にできても苦しいこともある

好きなことだからこそやっぱり仕事にするべきだと思います。でも、好きなことを仕事にできても、時には苦しいこともあります。ただ僕がアスリートだったら、10代のころのようには走れないなど限界を感じることもあったかもしれないけれど、ミュージシャンは歳をとってもスキルを上げられる。僕は10代のときに作った曲よりももっとよいものを、これから作っていくことができるという自信があります。

立ち止まることを目標にする

仕事が過密になったときにこそ、立ち止まる日を設定します。映画を観たり、本を読んだりして、好きなことをする日を作る。例えば一日温泉に浸かっていると、次なる新しいアイデアが生まれてくることが多いです。

音楽を続けることは求める未来を作ることにつながる

コソボ紛争(1998年)などで自分の娘(当時2歳)と同じころの子どもが命を落とす様子を見て、安心して生きることができる未来を子どもたちに渡さなくてはと考えるようになりました。環境保護や、脱原発、被災地でのボランティア、難民支援を続けているのも、娘への愛情が始まりでした。名声を得ることは、目標や夢ではないけれど、名声を得れば、世界を自分が思い描く未来に変える一歩にはなると感じています。

「10代に比べて身体的限界を感じても、よいものを作る自信はある」

<インタビュー>ソロデビュー25周年を迎えたSUGIZOの今とこれから

「いまは物質よりも、心の豊かさを求めている」

――25年の歩みを振り返る3枚組のアルバムベスト盤「THE COMPLETE SINGLE COLLECTION」をリリースされました。

SUGIZO:ダンスミュージックや、エレクトロニックなもの。アニメーションとのタイアップなどさまざまで、あまりに幅広くやってきましたが、芯は微塵もブレていない。そのときやるべき音楽、表現と向き合ってきた結果です。25年前にソロとして活動を始めたときは、LUNA SEAが終幕(解散)する前でした。アーティストとしてやりたいと思うことの20パーセントくらいはバンドに投下することができましたが、残りの80パーセントは使えずにいたので、ソロとして最初の楽曲はバンドの中で表現できなかったことが爆発しているなと感じます。

2022年11月29日にZepp Hanedaにて開催された「SUGIZO 四半世紀祭 25th ANNIVERSARY GIG」(写真:Keiko Tanabe)

――一貫して感じたのは「愛」でした。愛されたかったという悲しみを込めた「LUCIFER」、命や魂を歌っている「Dear LIFE」。怒りが爆発している「NO MORE MACHINE GUNS PLAY THE GUITAR」は2003年のイラク戦争をきっかけに生まれた曲ですが、その怒りは、愛する者の未来を守りたいという「愛」ですよね。

SUGIZO:そうですね。1996年に娘が生まれて、そこから音楽に対しての向き合い方が変化していきました。ソロとして初めてのアルバムをリリースした頃のインタビューでは、「生み出したものは汚物」と自分でも話しているのですが、徐々にそうではなくなっていった。愛も、自分の娘に向けていた愛が、同じ年頃の子どもたちが戦争に巻き込まれて涙を流す姿、貧困にあえぐ様子を目にするようになって、何かできないか考えるようになり、困っている国の子どもたちに一定の金額のお金を仕送りする支援活動にも参加するようになりました。

――2009年から意識が強くなった難民支援も続けていらっしゃいますね。

SUGIZO:国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などのイベントに参加して学び、2016年3月にはヨルダンにある2つのシリア難民キャンプを訪問し、演奏することができました。また、再生可能エネルギー、持続可能な社会構築のために長年活動してきたことの流れで、LUNA SEAとして再生可能エネルギー由来のグリーン水素による燃料電池車で発電し、ステージ上の全ての楽器に給電する水素コンサートを続けてきました。11月29日に東京都内で行った25周年記念ソロライブ「SUGIZO 四半世紀祭 25th ANNIVERSARY GIG」でもこのエネルギーを活用しています。

2022年11月29日にZepp Hanedaにて開催された「SUGIZO 四半世紀祭 25th ANNIVERSARY GIG」(写真:Yusuke Okada)

――2022年2月には、環境に負荷をかけないエシカル・ファッションを標榜する新たなアパレル・ブランド「THE ONENESS」を立ち上げました。3月には、ウクライナ難民を支援するための、Tシャツの発売を開始。制作費などを除く売り上げをUNHCR が実施する「ウクライナ緊急支援」に寄付しています。

SUGIZO:ウクライナとロシア、どちらが正義でどちらが悪ではないと思っています。が、今回の愚行で国を追われたウクライナの方々を支援したいと思い、自分のブランドでチャリティーTシャツを始めました。罪のない避難民をサポートしたいという思いは、シリアの難民を支援したいという気持ちと同じものです。

「THE ONENESS」で販売したウクライナ難民を支援するためのTシャツ

――LUNA SEA、X JAPANの活動に加え、YOSHIKIさんらと新バンド・THE LAST ROCKSTARSを結成しました。

SUGIZO:53年間生きてきた中で、いまが一番忙しいですね。それらはもちろん、すべて決まっていたことですが、「無」を感じたい。静寂を求めています。温泉に行くか、ハワイでイルカと泳ぎたい……。走り切ることができるのは、「無」の時間があるから。「あと3日でリゾートだ!」と思えば倒れそうになっても頑張れますよね。

11月11日に4人揃って記者会見を行い、新バンド「THE LAST ROCKSTARS」を結成することを発表した
(左から)ギタリストのMIYAVI、X JAPANのYOSHIKI、L’Arc~en~Ciel/VAMPS のHYDE、SUGIZO

――25年間の活動を振り返って思うことは。

SUGIZO:全ての瞬間。全ての時期を全力でやり続けてきました。全ての自分によくやったと言いたい。25年前の自分に対しては……。いまの自分が最も嫌うタイプの破滅的な人間なので、一発引っぱたいて、そして抱きしめたいです。

――SUGIZOさんにとって「夢」とは。

SUGIZO:若いときは「ミリオンアーティストになる」「東京ドームでライブを開く」などの思いがありました。全て叶ったけれど満足感、達成感を得られませんでした。それらは自分が求めていた本質ではなかったと気付いたんです。いまは何もしないで、愛する人や家族と一緒に静かに過ごすことが幸せだと感じます。いまは物質よりも、心の豊かさを求めています。

取材・文/翡翠
写真/工藤朋子
編集/MARU

リリース情報

『THE COMPLETE SINGLE COLLECTION<初回限定盤>』
発売日:2022年11月23日
価格:7,700円
詳細はこちら

収録内容:
【DISC1】
01. LUCIFER
02. A PRAYER
03. Rest in Peace & Fly Away feat. bice
04. SUPER LOVE
05. Dear LIFE
06. NO MORE MACHINE GUNS PLAY THE GUITAR
07. MESSIAH
08. TELL ME WHY YOU HIDE THE TRUTH?
09. FATIMA
10. DO-FUNK DANCE

【DISC2】
01. PRANA
02. Dear SPIRITUAL LIFE
03. NO MORE NUKES PLAY THE GUITAR
04. The EDGE
05. MIRANDA feat.MaZDA
06. NEO COSMOSCAPE Remix by SYSTEM 7
07. ENOLA GAY
08. PRAY FOR MOTHER EARTH feat. TOSHINORI KONDO
09. FINAL OF THE MESSIAH Remix by SYSTEM 7
10. SUPER LOVE 2012 feat. COLDFEET

【DISC3】
01. LIFE ON MARS?
02. Lux Aeterna
03. Raummusik
04. めぐりあい feat. GLIM SPANKY
05. 水の星へ愛をこめて feat. コムアイ
06. A Red Ray feat. miwa
07. 光の涯 feat.アイナ・ジ・エンド
08. ENDLESS ~時を超えて~ feat.大黒摩季
09. ENDLESS ~闇を超えて~ feat.大黒摩季
10. 昨日見た夢~平和の誓い~2020

「ウクライナ難民支援Tシャツ」
2022年にスタートしたエシカルファッション・ブランド「THE ONENESS」から、「ウクライナ難民支援チャリティーTシャツ」を発売した。※現在は完売
「THE ONENESS」公式サイト
「THE ONENESS」インスタグラム

この記事を書いた人

翡翠
翡翠執筆・写真
音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。

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