Interview
インタビュー

あの人に聞きたいI am 的「好きなことを仕事にし続けるために必要な5つのこと」俳優・永山絢斗が「もう死んでもいい」と思った瞬間とは?

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12月30日にBSプレミアムで放送される時代劇「まんぞくまんぞく」に出演する俳優の永山絢斗さんに「好きを仕事にし続けるために必要な5つの理由」について聞きました。

俳優の永山絢斗さんが、12月30日にBSプレミアムで放送される時代劇「まんぞくまんぞく」に出演。2023年に生誕100年を迎える池波正太郎の同名小説を初めて映像化した作品は、男装をした女性剣士・堀真琴(石橋静河)が主人公。丁髷のかつらを新調し、京都で行った撮影や、来年1月から放送されるドラマ「リバーサルオーケストラ」について、さらに「好きを仕事にし続けるために必要な5つの理由」について聞きました。

永山絢斗さんに聞いた「周囲の声に振り回されずに自分を貫く5つの方法」

「もう死んでもいい」という出合い

僕にとって映画はとても大切な原動力。のめり込むように観るようになったきっかけ豊田利晃監督の「青い春」との出合いで、俳優業へと進むきっかけにもなりました。「おじいさん先生」で役者としてデビューをして、「I‘M FLASH!」(2012年)、「クローズEXPLODE」(14年)、「泣き虫しょったんの奇跡」(18年)などで豊田監督とご一緒させていただきました。初めて一緒にお仕事ができたときは、「もう、死んでもいい」と思えました。100人いて99人が首をひねったとしても、1人に「命を救われた」と感じてもらえるような作品に参加できるような役者であれたらと思います。

自分を貫く強さを持ちたい

インターネットが普及して、世界の色々な場所を覗ける時代になりました。選択の機会や知ることができるチャンスは広がったけれど、若いうちに感じる悩みやどの時代も一緒なんじゃないかなと思います。手を伸ばしやすいものにだけ触れている環境に身を置き続けていると、大勢の意見に巻き込まれてしまうことがありますよね。でも自分の答えは自分にしか出すことができない。そのときは逆説だったとしても、自分を貫く強さを持ちたいですね。

愛車の存在が自分を支えている

大の車好き。5年ほど前から修理と改造をお願いしている僕のかわい子ちゃん(車)は、まだ僕の下に戻ってきていないのですが、帰ってくるまで死ぬわけにいかないと思っています。京都での撮影中、仕事でアストンマーティンDBX707(英国製のスーパーカー)に乗る機会をいただいたのですが、夢のような車でした。大好きな車に触れているとき、車の話をしているときは、身体から喜びがあふれ出ています。車は僕のモチベーションです。

仕事で出合った将棋で気分転換

映画「泣き虫しょったんの奇跡」(2018年)で棋士の役を務めてから、将棋にはまりました。プロの棋士の方とも親しくさせていただいていて、食事をご一緒したときなどは、指していただくこともあるんです。将棋はいくつになってもできますよね。僕はゲームをやらないので、良い趣味ができたなと感謝しています。盤も持っているのですが、いまは一人でもできる将棋のアプリが気に入っています。便利な世の中になりましたよね。

とにかく好きになること

いまは来年1月から放送されるドラマ「リバーサルオーケストラ」で演じる天才バイオリニスト・三島彰一郎の役作りのため、所作などを勉強しています。これまでクラシック音楽を積極的に聴いて来なかったので、最初はリズムなどに慣れなかったのですが、聴き続けていると心が落ち着くし、良いものだと知りました。新しいことの連続で追い詰められることが多い日々ですが、好きになることが成長への近道と奮い立たせています。バイオリンは(左手をフリーにするために)顎で支えるのですが、楽器と身体の間にジャケットの襟をはさむ、スカーフを入れるなど、奏者によってクセが違うので、三島らしい形を研究しているところです。

「今はバイオリンに苦戦中」

<インタビュー>2022 年12月30日(金)放送・池波正太郎の小説が原作の時代劇「まんぞくまんぞく」で主人公の見合い相手を好演

「コロナ禍で、映画などの芸術は生きるために必要なものだと感じた」

――時代劇「まんぞくまんぞく」では、旗本の三男・織田平太郎を演じます。

永山:僕が時代劇に初挑戦したドラマ「一路」(2015年)でご一緒した井上昌典さんが監督を務めて下さっていたこともあり、役作りなど親身になって話ができるスタッフと作品作りをすることができてうれしかったです。作品は池波正太郎さんの同名小説が原作で、女性剣士が主役と言うめずらしいもの。主役の石橋静河さんとは初めての共演でしたが、芝居が好きだということが全身から伝わってきました。

――石橋さん演じる真琴と立ち合いをする場面は、見どころのひとつですね。

永山:子どもたちに剣を教えている平太郎は武士道を重んじる男。礼に始まり礼に終わるという、相手に対しての敬意や作法を心得ていない真琴に対して、「無礼者」という気持ちを持っています。でも実はこの立ち合い前に、真琴に一目ぼれをしてしまっているという背景もあって。平太郎の複雑な心境が伝われば良いなと思っています。

ドラマ「まんぞくまんぞく」の一場面。真琴(石橋静河・写真右)とのシーン

――男装をし、「私を剣で打ち負かすような男が現れない限り、結婚はしない」と言い放つヒロインですが、時おり見せる女性らしさに平太郎は惹かれて行きますね。

永山:真琴は心に秘めた思いがあり、強い面を表に出して生きている女性。僕自身も現場では石橋さんが男装をしていることが普通で、何の違和感もなかったのですが、ドラマの中で女性の恰好をした石橋さんが現れたときに、「普段は女性の気配を消していたのだな」と気付いて驚きました。

――京都での撮影中に印象的だった出来事はありましたか。

永山:真琴の養父の内蔵助を演じた國村準さんと食事をしながら対話するシーンがあるのですが、待ち時間には、お互いの愛車話で盛り上がりました。あとは「京都で時代劇を撮影するのは良いよね」って。共通の話題で交流を深めることが出来た素敵な時間でした。

ドラマ「まんぞくまんぞく」の1場面。内蔵助(國村準・写真右)とのシーン

――33年間の人生の中で「まんぞく!」と思えた時間はどのようなときでしたか。

永山:映画に心を奪われて役者を志し、この仕事ができていることがもう「大満足」。監督の意向をうかがった上で、自分が思うように表現できたときは、車の運転をしながら帰る道で、「良かった」と幸せをかみしめています。コロナ禍で撮影がストップしたときは、映画などの芸術は生きるために必要なものではないのかと感じたことがありました。海外では芸術活動をしている人の地位が確立されていますが、日本では浮き沈みが激しい水ものというイメージもありますよね。映画やドラマなどの撮影が再開したいま、時代を超えて残っていく、大人の映画づくりに関わることができるよう尽力したいです。

――最後に「まんぞくまんぞく」を楽しみにしている方に、メッセージをお願いします。

永山:時代劇の中に、恋愛の要素も盛り込まれていて、観終えた後に爽やかな気持ちになっていただくことができる作品だと思います。放送されるのは、2022年も押し迫った12月30日の夜。大掃除とか、予定がたくさんあると思うのですが、家族や大切な方と一緒に観てください。

取材・文・写真/翡翠
編集/MARU

ドラマ「まんぞくまんぞく」の1場面

放映情報

池波正太郎生誕 100 年 BS特集時代劇
『まんぞく まんぞく』
放送:2022 年12月30日(金) BSプレミアム よる8時~9時28分
原作:池波正太郎 『まんぞく まんぞく』
脚本:吉澤智子
音楽:兼松衆
出演:石橋静河
永山絢斗、畑芽育、渡辺大、津田寛治、池田鉄洋、堀部圭亮、石橋蓮司
真矢ミキ 原田泰造 / 國村隼 ほか
【公式サイト】https://www.nhk.jp/p/ts/PG27256Y75/


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