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人生を変えるI amな本組織に依存した働き方からの脱却に必要な「独立思考」のすすめ

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人生が変わる I am な本。今回は山本大平の共著『独立思考――組織や前例に縛られず、自分で考えて答えを出す』(朝日新聞出版)を紹介。

いまや、大企業に就職して、寄りかかるように勤めていけば「一生安泰」と考える人は、かなり減っているのではないでしょうか?


日本経済の現状と副業の流行が、これに拍車をかけてるように見受けられます。特に、副業を始めた人の中には、いずれは「独立」を考えている方もいらっしゃるでしょう。


そう考えている方にぴったりの書籍が、先日発売されました。タイトルは『独立思考――組織や前例に縛られず、自分で考えて答えを出す』(朝日新聞出版)。F6 Design(株)代表取締役の戦略コンサルタント/事業プロデューサーである山本大平さんの著作です。


山本さんによれば、「独立思考」とは、「組織に依存せず、前例や慣習にとらわれず、自分の頭で考えたアイデアを行動に移し、仲間と適切にコミュニケーションを取り、成果を最大化する働き方」を意味するそうです。それは、起業するとかフリーランスになるだけでなく、今いる会社に属しながら「精神的に独立」することも含まれます。


山本さんは、「独立思考」こそが「先が見えない時代」を生きるための必須のスキルであると説いています。それは、どのようなものでしょうか? 本書からかいつまんで紹介しましょう。

独立思考への第一歩は「疑え!」

山本さんは、起業前にトヨタ、TBS、アクセンチュアで働いた経験から、「独立思考の三原則」を身につけたそうです。


その三原則とは、「疑え!」「現場で!」「シンプルに!」の 3 つ。

最初の「疑え!」とは、「すべてをゼロベースで疑い、必ず情報の精度を確認する」こと。これが独立思考への第一歩となります。

山本さんは、TBS 時代にマーケティング戦略を担当した番組「SASUKE」の例を挙げます。このとき疑ったのは、視聴率の分析結果でした。局内では「50 歳以上が視聴する番組」という認識がほとんどだったのです。しかし、山本さんは海外では「子供に大人気」という情報を得ていました。そこで実際の反響を Twitter で調べます(2014 年当時の Twitter は、局内では軽視されていました)。海外の年少者たちのツイートを読んでいくと、間違いなく「SASUKE」への人気ぶりがわかります。手ごたえを感じた山本さんは、行動に移します。

すぐに Web や SNS でマーケティングを行うことをプロデューサーに提案し、局内でも初めてネットを本命にプロモーションを組むことになりました。正直、それでも反対意見は多かったのですが、一次情報による確信があったのでプロデューサーと私は粛々と進めました。

予想は的中。ネットの世界に SASUKE の楽しさや放送日などをシンプルに告知したことで視聴者層は若者中心に様変わり。視聴率も前回を上回る 2 桁を達成し、局内外の関係者にも非常に喜んでもらえました。(本書 45p より)

この事例のように、社内の「常識」を疑うことが、今のビジネスの現場では求められていると、山本さんは力説します。まずは、ここが独立思考のスタート点になるわけです。


2 つ目の「現場で!」とは、知りたい情報は、実際に現地に赴いて現物を見て把握することを意味します。インターネットの情報を拾ってくるのは簡単ですが、「嘘」が混じっていると、山本さんは指摘します。そのために、「情報の見極め力(リテラシー)」が大事。そして最終的には、「自分の目で確認したり、身をもって体験したりすることで納得した情報」こそが、適切な判断を下すために重要だとしています。


これについても山本さんは、自身の経験を記しています。トヨタで新車開発の内装周りを担当していた頃は、競合他社の本社で展示されている乗用車を見に行ったそうです。これによって、性能・乗り心地などのスペックを確認するだけでなく、競合他社がどの乗用車に力を入れているのかといった情報まで推測することができたそうです。情報過多の時代だからこそ、現地に足を運んで現物を確認するひと手間が必要というわけです。


そして、3 つ目の「シンプルに!」とは、情報過多の世の中において、情報をシンプルに読み込み、問題解決の切り口をシンプルに見つける力のことです。くわえて、情報の伝達もシンプルさが重要とのことで、例えばプレゼン資料は「紙一枚にまとめる勇気」を持つよう、山本さんはアドバイスします。まずは、これら「独立思考の三原則」の徹底に努めましょう。

常に「サードドア」から探す

山本さんが強調することの一つに、「自分だけの戦略を立てる」というものがあります。他者が真似できず、より大きな成果を生むために必要不可欠な戦略を立てるための第一の秘訣として「常にサードドアから探せ」とあります。


「サードドア」とは、誰も教えてくれない裏口あるいは抜け道となるようなアイデアやコンセプトを意味します。これをうまく活用すれば、「圧倒的な成果に直結」するそうです。

本書では、サードドア的な思考を養う練習問題が一つ出されています。それは紙の上の点 Aと点 B を結ぶ最短のコースを考えるというものです。普通に考えれば「点 A と点 B を直線で結ぶ」となるでしょう。ですが、これは正攻法(ファーストドア)の考え方です。サードドア的な回答は、「紙そのものを折り曲げ、点 A と点 B を合わせればよい」というもの。これこそがサードドア的思考です。これも独立思考には必須のスキルとなります。

人の話を 8 割聴き自分の主張は 2 割に

「独立」という言葉から、われわれはどうしても 1 人で何もかもすると考えがち。しかし、いくら独立思考を発展させても、ずっと 1 人のままでは限界があるのもまた事実です。


山本さんは、「あなたの独立思考は他者と協調することで、さらなる成果を生み出します」と記しています。そう、コミュニケーション力も磨いて、それを武器にする必要があるのです。


山本さんは手始めに、「口 2 耳 8」のバランスの徹底をアドバイスします。「口 2 耳 8」とは、「人の話を 8 割聴いて、自分の主張は 2 割に留める」というスタンスを意味します。その逆の「口 8 耳 2」では、人から有益なアイデアを得ることはできないとも。


その上で、良い質問ができる質問力を高めていきます。この力をつけるために、山本さんは「物事の真理を探究し、解き明かそうとする癖」を身につけることをすすめています。「真理」というと難しいイメージがありますが、「なぜ税金は上がっている?」といった身近な時事問題について、自分の見解を持つことで鍛えられるそうです。また、次のようなアドバイスも。

仮にあなたが分かっていることだったとしても、周囲で首をかしげている方がいたら、あなたがすかさず質問をしてください。
そして仮に全ての方が納得している空気があったとしても、周囲の脳を働かせるような一段掘り下げた質問はないか、と思考を張りめぐらせてください。(本書 195p より)

相手の意向を忖度して、「常に同意する」というスタンスは避けましょう。また、回答に含まれる本音と建前を見抜く力も養うことも忘れずに、と山本さんは述べます。



ここで紹介したのは、独立思考に必要や考え方やスキルの一端に過ぎません。もしあなたが、先行き不透明な今の時代を生き抜きたいと決心したのであれば、本書を読み通し実践されることをおすすめします。

書名独立思考――組織や前例に縛られず、自分で考えて答えを出す
著者山本太平
出版社朝日新聞出版社
出版年月日2022/09/20
ISBN9784023322615
判型・ページ四六・232ページ
定価1,650円(本体1,500円+税)



この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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