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カフェを始めて分かった 「繁盛」することよりも大切なこと

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映画「かもめ食堂」に突き動かされ未経験でわずか半年でカフェをオープン 映画「かもめ食堂」に魅了され、こんな空間を作りたい。その思いで、わずか半年でカフェをオープン。店舗経営はおろか飲食業も未経験だったにもかかわらず、20 […]

平野未佳

プロフィール

予約制お弁当屋平野未佳

3人の子育てをしながら義実家の家業の事務を勤め、月の半分を予約制お弁当屋“佳ジツ”を営む。千葉の名産品と色使いにこだわったお弁当が口コミで広がり、予約はいつも完売。現在は女性誌の撮影のケータリングとしても予約が絶えないお弁当屋になっている。

映画「かもめ食堂」に突き動かされ未経験でわずか半年でカフェをオープン

映画「かもめ食堂」に魅了され、こんな空間を作りたい。その思いで、わずか半年でカフェをオープン。店舗経営はおろか飲食業も未経験だったにもかかわらず、20代半ばでカフェをオープンさせた平野未佳さん。

自分の憧れを形にする、その思いだけで付き進めたから「カフェをオープンすること自体はそんなに大変ではなかった」といいます。開店後に直面したのは客入り以上にお店を安定的に運営するということでした。

お客さんが入っても入らなくても、時間になったら店を開けてメニューにあるものをきちんと提供する。この当たり前を着実に実行するということがむしろ一番難しい。

つまり続けることがいかに大変か、夢を叶えた先にあった現実に直面しました。

夢だった憧れが自分を苦しめた日々

客足も伸び、アルバイトさんも雇って順調な滑り出しでした。

しかし常に頭の中はカフェの事でいっぱい。プライベートでは結婚し、子宝に恵まれたが常に気が休まることがなかったといいます。

休日もメニューのことや運営のことが頭から離れない。客入りが多いのは繁盛して普通は喜ぶべきところだが、常に良いサービスを提供できるか不安に駆られました。

長女出産後、育休はおろかすぐに仕事復帰。お店にベビーベッドを置いて子守りをしながら働いた。そんな状況が続き、憧れて叶えた夢がいつの間にか自分を苦しめる要因になっていることに気付いてしまいます。

「わたしは何がしたいのだろう…」家族を犠牲にしてまでやりたい事だったのだろうかと悩み、わずか2年で閉店を決断します。

やりたいことをするには自分のペースを知ることも大事

現在、三児の母となった平野さんは“佳ジツ”という予約制のお弁当屋を自分のペースで営んでいます。

地元野菜をふんだんに使ったおかずが特徴
色合いにこだわって作られている

半月は義実家の事業の事務仕事、残りの半月でお弁当屋を営む。

お弁当の予約、食材の仕入れ、仕込み、盛り付け、配達までを全て1人でこなしている。従業員は雇わず、自分ひとりで対応できる注文しか受けていません。

スタッフに迷惑を掛けてはいけないプレッシャーもない。その気持ちに余裕が出た分、注文を頂いたお客様に喜んで頂けるお弁当を作ることに全力投球出来ているといいます。

食材は地元千葉県産にこだわり、特に注力しているの野菜の色。お弁当を開けた時、野菜のキレイな色合いが飛び込んでくる。注文するお客様はリピーターも多く、口コミで広がり、今では予約はすぐに完売します。

口コミがきっかけで、某有名女性誌の撮影時のお弁当にもリピートされ、感度の高いお客様にも支持されています。

1人で全てをこなすのは大変だけど、カフェ経営をする中での失敗があったからこそ自分のちょうどいい「サイズ感」を知ることができ、本当にやりたいことが出来ていると語ってくれました。

一番重要なのは「繫盛」することより続けること

もしこれからカフェを始めるという人にアドバイスするとしたら「こっそり開店」を勧めるといいます。お店はいきなり繁盛するとその状態を維持するために並々ならぬ体力を使う。それがあらぬ方向へいってしまわないためにも、まずは「こっそり開店」して自分のペースでお客様を増やしていきながら余裕を持ちつつ自分を成長させていくのがいいのではないかと語る。

あの当時、たった2年で閉店という苦渋の決断は間違っていなかったと振り返る。今はゆとりを持ちながらやりたいことを続けることができる。結局は続けられるかどうかが一番重要で難しいことだと改めて感じたといいます。

取材・写真・文/I am編集部

この記事を書いた人

I am 編集部
I am 編集部
「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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