ファッションアドバイザー MB フォロワー数を追うな! 一人ひとりを大切にブログ、Twitter、YouTube、Instagram……メディア戦略は目的設定から始めよう!MBインタビュー第1話
自分のビジネスをネットで情報発信したい! でもツールが多くて、どれから始めれば良いのかわかりません。ブログ、メルマガ、SNS、オンラインサロン、音声配信など、メディア選びの心構えをお伝えします。
プロフィール
ファッションアドバイザーMB
自分のビジネスをネットで情報発信したい! でもツールが多すぎて、どれから始めれば良いのかわかりません。
会社をやめて独立したり、個人でビジネスを立ち上げたりする際、今や情報発信は避けては通れなくなってきました。そんな中、ブログ、メルマガ、Twitter、YouTube、Instagram、オンラインサロン、音声配信など、どれを選べばいいのでしょうか?
有料メルマガ個人配信者として会員数日本一、ベストセラー本多数、テレビや雑誌など数々のメディアに出演など、大人気のMBさんにメディア戦略についてお伺いしました。
全3話。まず第1話では、メディア選びの心構えについてお伝えします!
*第2話はこちら
*第3話は5月12日配信
目次
メンズファッションブロガーMBのメディア戦略!
MBさんはこれまで、どんなメディアやSNSを使って情報発信されてきたのですか?
順を追って話すと、スタートが2012年に開設したブログ「最も早くオシャレになる方法KnowerMag」です。その次に、有料メルマガを始めて、書籍を出して、マンガを出して、同時にTwitterやInstagramも始めて。それからオンラインサロン。最近では、2019年からYouTube、2021年から音声配信のVoicyですね。あとは、テレビだったり、ラジオだったり。
すごいボリュームですね! あと、雑誌の連載もありますよね。
雑誌の連載は「SPA!」が一番早くて、ウェブ版の「日刊SPA!」が最初ですね。その後、紙面の「週刊SPA!」(扶桑社)での連載が始まりました。今、雑誌では「週刊SPA!」と「MONOQLO」(晋遊舎)の2誌ですね。
「SPA!」は、最初は紙面ではなかったのですね。
書籍「最速でおしゃれに見せる方法」を出す際(初版2015年9月)、知名度がないのでWebで連載をして本の販売につながれば……という流れで始まりました。
MBさんに知名度が無いなんで信じられませんが、最初はそうだったのですね。ブログは最初から上手く行っていたのですか?
「KnowerMag」の前に、ブログは5〜6個つぶしましたよ。
それはファッションとは別のジャンルですか?
いや、だいたいファッションです。書き方、表現、記事の出し方など、いろいろと試行錯誤していた時期があって今に至ります。
失敗された分だけ知見がたまってブラッシュアップされていった結果、今があると。そして「Knowermag」は、今年10周年ですね
はい、10年ですね。
検索「MB」で、完全にメガバイトを制圧しましたね。今日、こちらにお伺いする前にGoogleで「MB」と検索したら、1位から18位まで全部MBさんでした。
そうですね、完全に制圧しました。
その秘訣を、ぜひ詳しく教えて頂きたいです!
目的と手段。「どのSNSを使う?」ではなく、「何をしたいのか?」から始めよう
さて、今回はメディア戦略についてご指南をいただきにきました。会社をやめて独立したり、個人でビジネスを立ち上げたりする際、今や情報発信は避けては通れないと思います。そんな中、「ブログ、メルマガ、SNS、オンラインサロン、音声配信など、どう使い分ければいいのか?」についてお聞きしたいです。まず、どこから始めると良いでしょうか。
こういう話になると、媒体選びとか、媒体の運用方法みたいな話から始まっちゃうことがほとんどだと思うんですけど、それって目的と手段がまるで逆だなと思っていて。
目的と手段……ですか?
はい、手段の話から目的にしようとしていますよね。InstagramもYouTubeも全部ツールなのに、「何がしたいか」が不在で、「何ができるのか」から考えちゃっているから、それだと多分上手くいきっこないな……って。
各種ツールの使い方って、僕が別に喋るまでもなく検索すればいっぱい出てくる。コモディティ化していて、感度の高い人にとっては常識以下ぐらいの話になっていると思うから。
たしかに、「今は何のツールを使えばいいの?」って考えてしまいがちですね。
だからツールからじゃなくて、「何がやりたいのか」「何を伝えたいのか」「自分に何ができるのか」という核があって、それに適した媒体を選んでいくことが大事なんです。
なるほど。先に目的があって、それを実現させるための媒体を選ぶ、と。
そう。媒体選びから始めると、「今はこれが流行っているから」という理由で、InstagramやTikTokなどに食いついてしまう。そのやり方だと大概の人が数字を増やすっていうことに終始するんですよね。
フォロワー数ですか? でも、それは多い方が良いですよね。
ツール先行型SNS運用のゴールって、数字の最大化になってしまうと思うんですよ。フォロワー数が、10万人より50万人が良くて、50万人より100万人が良いっていう数のゲームになってしまう。それで上手くいく人も、レアですが確かにいるんですよね。「このSNSでお金儲けができそうだ」ということで一斉に人が入ってきて、アルゴリズムを読もうとしたり、反応率を徹底的に分析したり。ただ、そこで勝つのって相当足が速くないと勝てないマラソンのようなものです。
数字を追うと、たしかに百戦錬磨の猛者を相手に勝ち抜いていかないといけなくなりますね。
でも目的があると、ゴールは変わるんです。対象者がセグメントされるので。たとえば僕だったら「洋服をあまり知らない人に、もっともっと伝えたい」という前提で、Twitterなどを使うってことになるから数の論理じゃなくなるんですよね。
「洋服っていうものを、洋服嫌いだったり苦手だったりする方に伝える」って言うことが目的だから、別にフォロワーが50万人とか100万人とか1,000万人とか必要ないんですよ。伝えられて、文化として広まればそれでいいから。
そうすると、たとえば「Twitterのフォロワー数は1万人で良いよね」「Instagramは1,000人くらいかな」「YouTubeはこれくらいの再生回数が欲しいね」みたいな、目的に応じた考えが出てくると思うのです。
Instagramのフォロワー数100人で、大学生が月5万円稼ぐ方法
フォロワー数を目標にすると、果てしなくなってしまいますね。
数字の論理になると「増やさなきゃいけない」っていう強迫観念に駆られて、結局増やせなくて途中で挫折するっていうのがすごく多いと思うんです。
あぁ、それありそうです……。数を追えば成功すると思い込んでしまう。
こういうリテラシーは、若い子の方がすごく高くて。Instagramでフォロワー数が100人とか200人とかしかいないのに、月に数万円稼いでる子もいるんですよ。
えっ、そんな少ないフォロワー数でどうやって稼ぐのですか?
企業から案件なんか絶対回ってこないはずなのにね。そこで、どうやって稼いでいるのだろうって話を聞いてみたら、自分の古着なんかを売っているんですよね。
数の理屈でいけば、「フォロワーを大量に集めて、その1%が買ってくれて……」って電卓を弾いてしまう。そうではなく、その大学生はフォロワーさんのアカウントをしっかり把握しているんです。毎日その日のコーディネートなどを投稿していて、「すごくおしゃれですね。かっこいいですね」なんてコメントをくれた方に「ありがとうございます。実はこういう風に考えていて」なんて返信をしながら、DMもするんですよ。DMで直接やりとりをしたら当然ものすごく距離が近くなるから、仲良くなって、より好きになってくれる。
そうすると、100人とか200人のフォロワー数でも高い割合で買ってもらえる。たとえば、単価が5,000円で10着売れると、月5万円ぐらいの副収入が得られる。大学生からしたら全然充分じゃないですか。
なるほど、数を追わないというのはそういうことなのですね。
もちろん、10万円、100万円、1,000万円稼げた方が良いって思うかもしれないけど、それを考えていくとキリがなくなっちゃうので、「この目的を達成するためのフォロワーってどんなフォロワーが必要で、どのくらいの数が必要なのか?」を考える。目的レスになると、『とにかく多い方がいいだろう論理』になっちゃって、「100人、200人じゃダメだ。5,000人集めなきゃ!」と、考えが数だけになってしまう。でも、その大学生は数ではなく質で選んでいるから、100人としっかりやり取りをしていれば、100人の中でかなりの人数が買ってくれて目的が達成できる。
有名になりたいのか、収入をとりたいのか、それとも好きなことをやりたいのか? まあどんな目的でもいいんだけど、目的に応じたものって必ず存在するので。
なるほど。たしかにフォロワー集めに終始しがちなのはすごくあるし、そもそも売るものが10個なのか1万個なのかで違ってきますよね。たとえば、DMで直接やりとりするほどの濃いファンが欲しいのなら、1万人も相手にできないですもんね。
そうなんですよ! なぜか不思議なことに、みんなフォロワーを集めようとするんですよね。10個しか売れないんだったら、10個の単価を高くして、単価が高くても買ってくれる10人を集めればいいだけなのに。なぜかみんな、5万人とか10万人とかを目指そうとするんですよね。それって人を見ずに数だけ見ているから、売れなくて悩むことになるんですよね。
個人や中小企業はフォロワー数を追わず、ディープなファンをつくろう
人を見ずに数だけを見ている。それってSEO対策でアルゴリズム解析ばかり見ているウェブサイト運営者と似ている気がします。
一時期のブロガーみたいなもんですよ。ユーザーのことを見ていなくて、Googleしか見ていない。もちろん、Googleだけを見て成り立つものもありますよ。まとめサイトみたいな。「アルゴリズムを徹底的に追っかけて、死ぬ気になってやり続ける!」というなら全然いいけど、かなり体育会系の仕事だと思うんですよね。相当難しいと思います。
それこそ、企業が大量に人を集めたいのであればアルゴリズムを攻略するのもありだけど、個人がやるならそこを目指さない方が良さそうですね。
おっしゃるとおり。ほんと根性の問題になってきちゃうので、資本と根性から逃れるためには、やっぱりパーソナリティだと思いますね。目的設定とパーソナリティ。
確かにそうだと思います。MBさんは最初、大勢を集めようとは思っていなかったのですか?
僕、初めから人を集められるって自分では思ってなかったんで。何千人、何万人が僕の情報に触れるなんてことは夢物語だって最初から諦めていました。だから濃いファンを集めていこうとしか思っていなかったんですよ。
えぇーっ、始めはそんな感じだったのですね。
最初から数の理屈に巻き込まれなくて済んだので、それはラッキーだったなと思いますね。
今でこそ、すごく大勢の人が……
そう、今でこそたまたまいっぱい人が見てくれているのもあるかもしれないですけど。でも、やっぱり上を見ればキリがないじゃないですか。「YouTubeのチャンネル登録者、37万人ってすごいですね」とかって言われるけど、ちょっと探せば100万人とか200万とかいるわけで。「すごいって、何がすごいんだろう。別にすごくないじゃん」って思っちゃうんですよね。
大勢の人を相手にするような人柄じゃないし、そんなにいい人格を持っていないと思うから、そしたら自分が相手にできる人だけを幸せに出来ればいいと思うので。今、自分の想定よりはみ出して広くなったけど。中小企業とか個人の場合は、深く接した方がいいんじゃないかなと思いますね。
なるほど。あくまで人を相手にして、その人をいかに幸せにするかっていうのを考えて、続けていく。
そうだと思いますね。ただ、中小企業や個人でも、だんだんと規模が膨らんできて資本がもっと増えるようになってきたら、アルゴリズム攻略や人海戦術など、もっともっと拡大っていう戦略が取れるかもしれない。でも、タームが切り替わるまではやっぱりディープなファンをどれだけつくれるかっていうところなのかなとは思いますけどね。
自分のビジネスに貢献してくれない人を増やしても、何の変化も生まない
余談ですが、数が重要だと思い込んでいると「フォロワーが増やせます」といった詐欺に引っかかるリスクがありますよね。
僕、その話に乗ったことがないですから。
きっと、そうですよね。
僕、昔やっていたゲーム「信長の野望」を思い出すんですよ。TwitterやInstagramのフォロワーを増やすことが。たとえば、「内政が100から1000になりました」みたいな。「これって結局、数字が上がっているだけじゃん」みたいに思えて、途中で辞めちゃったんです。今はゲーム機の性能が上がってグラフィックやストーリーが派手になっているけど、昔は数字が変わるだけで……。SNSの数追いはこれと一緒だなって。
何にも役に立たないといった非常に失礼だけど、自分のビジネスに貢献してくれない、自分のことに興味を持ってくれない人を無理やり増やすのって、何の意味もないし、何の変化も生まない。だから無駄なことだなと思うんです。
数字を追ってもってことですよね。
ゲームだったら楽しめるけど、SNSだったら時間の無駄づかいになっちゃいますよね。
全3話、第2話は5月10日配信。
取材/I am 編集部、北野啓太郎
文/北野啓太郎
写真/田尻陽子
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この記事を書いた人
- 文章、写真、動画を駆使したWebコンテンツ制作が得意なフリーランサー。会社員時代に始めたブログがきっかけでヘッドハンティング。レゲエ専門メディアの編集長を経て、独立しました。強み:初対面の方と何時間でも話せる。インタビューも好き。弱み:打たれ弱い。