「頼る実力も経験もなかった」河合優実の、過去の自分に答えをもらう仕事論
女優の河合優実さんに聞いた、「好きを仕事にし続ける5つの理由」。
プロフィール
役者河合優実
女優の河合優実さんが初主演する映画「少女は卒業しない」が2月23日に公開。一つとして同じことがない現場で鍛えられ、変化していく自分を楽しんでいるように見える河合さんに「好きを仕事にし続ける5つの理由」を聞きました。
「楽しい」がずっと続いているからやめられない
小学3年生から始めたダンスで「表現すること」の楽しさに気がつき、ダンスは役者を目指すきっかけにもなりました。自分でいまの事務所(鈍牛倶楽部)に応募をしてデビューして。それからずっと「楽しい」が続いています。もちろんうまくいかない時もありますが、それは大きな壁にぶち当たってしまったというよりも、煮詰まってるなという感じ。反省もたくさんしますが、新しい現場を迎える度に、新しい自分になっていく感覚があるので、未知なる体験をたくさん積んでもっと力をつけていきたいです。
考え抜いて「見つけた言葉」が自分を励ましてくれる
デビュー前は勢いでやってしまおうと思っていたところがありました。それは頼る実力も経験もなかったから。いままで続けてみて大切になっているのは、自分がどんなことで心が揺れたのかということでしょうか。それは人からの言葉だったり、自分で考え抜いて見つけた言葉だったり、監督からいただいた手紙に書いてあったことなどさまざまで、それらを忘れないように、ノートに書き残す事が多いです。答えが出せないことを1人で考え過ぎてしまい、訳がわからなくなったとき1カ月前のわたしがノートに書いたことを見て、「あぁ、そうだ。こういう気持ちだったな」って励まされることがよくあります。
誠実であることはこの仕事の大前提
私が所属している事務所には、田中哲司さん、オダギリジョーさんなどがいらっしゃいます。色々な作品に出演して愛されている先輩方を見ていると、仕事に対してはもちろんですが、人としての誠実さも見えてきます。役としてだけではなく、そこに人柄が伴っていないと長くこの世界で活躍することは難しいのかなとも感じました。先輩方を見習って、役者としても人としても誠実でありたいです。
いまを楽しいと感じ続ける
2022年はアメリカや、スペイン各地と、さまざまな国に行く機会がありました。初めての土地で、知らない文化に触れて、すごく視野が広がりました。スペインのビーチでは、幸せそうな家族連れを見て「いまを楽しいと感じることを忘れたくない」としみじみ感じました。ここで撮影をした作品は、ほかの土地とは違う空気をまとうのだろうなと想像もして。ニューヨークでは、人種の多様さを居心地良く感じました。自分と違う隣人の事を、気にしていないんだけど困っていたらすぐ手を差し伸べる人々の距離感が新鮮でした。単純だけど「世界って広いんだ!」と感じ、もっと知らない世界を見てみたいという思いが生まれました。
「ダンスを見て感動した」の言葉に導かれて今がある
高校の卒業式の後に開いたお別れ会で、ダンスを披露したことがありました。RADWIMPSの曲に合わせて、ペアを組んだ子と一緒に振りつけを考えて。死別したカップルの設定で彼女は女の子、私は男の子役で、2人が幻の時間で再会を果たす、みたいなストーリーをベースにしたものでした。ダンスの後、同じクラスだったバスケットボール部の男の子から「オレ、ダンスを見て感動したの、きょうが初めてだよ」と言われたのですが、その言葉が今も心に残っていて。そういう経験が、いまの仕事へと気持ちが向いたきっかけでもありますし、表現したいという楽しさにもつながっています。
取材・文・写真/翡翠
編集/MARU
公開情報
「少女は卒業しない」
2023年2月23日(木・祝)より新宿シネマカリテ、渋谷シネクイントほか全国公開
監督・脚本:中川駿
原作:朝井リョウ『少女は卒業しない』(集英社文庫刊)
出演:河合優実、小野莉奈、小宮山莉渚、中井友望ら
配給:クロックワークス
公式HP:https://shoujo-sotsugyo.com/
公式Twitter/Instagram:@shoujo_sotsugyo
© 朝井リョウ/集英社・2023映画「少女は卒業しない」製作委員会
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この記事を書いた人
- 音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。