3つのデメリットを乗り越える5つのメリットを知る!クラウドファンディングはメリットだけでない! はじめる前に知っておきたいクラファン実施のデメリット
購入型のクラウドファンディングを実際に始めるにあたって、メリットもある一方で、注意すべき点やデメリットと呼べるものも多くあります。始める前に知っておくべきポイントとは?
目次
クラウドファンディングとは?
まずはじめにクラウドファンディングの仕組みや種類など基礎知識を解説します。
クラウドファンディングの仕組み
クラウドファンディング(Crowdfunding)とは、インターネットを通して自身の活動や夢を発信することで、思いに共感し応援したいと思った人から資金を募る仕組みです。
クラウドファンディングはまず、起案者がクラウドファンディング専用サイトに自身のプロジェクトを立てる、もしくは自身でサイトを作成してインターネット上に公開することから始まります。商品開発や途上国の支援、地域活性化、映画やアニメ、ゲーム、ファッション、スポーツといった幅広い分野において、地方自治体、企業、個人活動などによる様々なプロジェクトが取り扱われています。
それをインターネット上で見た支援者は、魅力を感じた、もしくは応援したいと思ったプロジェクトに対して支援金を送ります。
また、全てのクラウドファンディングには目標金額が設定されています。目標達成の場合のみ資金を獲得できるもの(All-or-Nothing方式)、達成・未達成に関わらず資金を獲得できるもの(All-in方式)があります。
さらに多くの場合、クラウドファンディングには起案者から「リターン」が用意されており、支援者は何かしらの返礼を得られることが多いです。
クラウドファンディングの種類
種類①購入型クラウドファンディング
購入型は名前の通り、支援者が商品・サービスを購入する感覚で参加することができるクラウドファンディングです。
起案者は、商品やグッズ・サービスなどをリターンとして設定し、その商品の魅力をプロジェクト内で支援者に伝えます。また、支援者の任意の名前をサイト上などでクレジット表記することもよくあるリターンのひとつです。支援者はその商品・サービスを利用したいと思えばプロジェクトに支援し、実際に購入する感覚で手に入れることができます。
〈代表的な例〉
種類②寄付型クラウドファンディング
実現したいプロジェクトに対して、支援者が「寄付」として支援金を提供します。社会貢献性の高いプロジェクトが多いことが特徴で、商品・サービスのリターンは基本的に発生せず、お礼の手紙やプロジェクトの活動報告、前述したようなサイト上での支援者名のクレジット表記などがあることが多いです。
〈代表的な例〉
種類③融資型クラウドファンディング
「貸与型クラウドファンディング」「ソーシャルレンディング」とも呼ばれます。融資型クラウドファンディング運営事業者が、複数の投資家から資金を集め、融資を必要とする企業や個人に貸付するしくみです。元本と出資金額に応じた利息がリターンとして支払われます。
〈代表的な例〉
種類④株式投資型クラウドファンディング
上場企業に投資を行う従来の株式投資と異なり、株式型クラウドファンディングでは未上場のベンチャーやスタートアップ企業が個人投資家から資金を募ることができます。
個人投資家は運営会社を通じて将来性が高い企業や、事業を支援したい企業に対し投資を行い、リターンとして未公開株を取得します。企業が成長し上場や企業売却した場合には値上がり率が期待できます。未上場株は簡単に売買できません。上場や企業売買に至るまでに倒産するなどのリスクは否めません。
〈代表的な例〉
クラウドファンディングのメリット
購入型クラウドファンディングのデメリットをご紹介する前に、メリットについてご紹介します。
メリット①やりたいことや実現したい事業の資金調達ができる
審査のハードルが高い金融機関からの融資、補助金や助成金などに頼ることなく、インターネットを介し不特定多数の人から資金を調達することができます。
メリット②リターンの種類を自由に選べる
購入型の場合、お金ではなくモノや体験、サービスをリターンとして用意します。寄付型なら基本的にリターンはありません。
メリット③マーケティングやニーズ調査に活用できる
新商品や新サービスを本格的に売り出す前に、購入型クラウドファンディングを活用して、ニーズ調査や反応、ターゲット層を確認することができます。
メリット④認知拡大に活用できる
プロジェクトと親和性の高いクラウドファンディングサイトを通じて公開することで、支援意欲の高い人に効果的にPRすることができます。
メリット⑤ファン作りができる
プロジェクトにかける想いや目的に共感してくれるコアなファンを増やすことで、人気を可視化できます。コメントなどでプロジェクトの魅力をしっかり伝えたり、ユーザー目線の意見をもらえたり、好意的な投稿をSNSで拡散してくれる機会も得やすくなります。
クラウドファンディングのデメリット
ここからは実際にクラウドファンディングを行う際に、考えられるデメリットについてお伝えしていきたいと思います。
デメリット①準備から実施まで多大な時間・労力を有する
クラウドファンディングでお金を集める、という方法は一見簡単にお金を集められそうな気がしますが、実際はそうではありません。通常の方法で商品やサービスを販売する場合と同様に、入念な現状分析、伝え方や広報手段の検討の他、クラウドファンディングページの作成など、多くの時間や労力を必要とします。
自分がやろうとしているクラウドファンディングと似ているプロジェクトはどのくらいあるのか、その中で自分のプロジェクトに目を留めてもらうにはどうすればよいのか、伝え方は何から誰に伝えていくのが効果的なのか、どんなページを作ればうまく伝わるのか、などなど・・・。そして、最も大事なこととして「なぜ自分はクラウドファンディングをするのか?」「何を叶えるためにこれをやっているのか」という根本の「目的」があります。
クラウドファンディングをやるからには、何かしら叶えたいことがあるかと思います。それを整理して形にできていないと、クラウドファンディングの途中で、その目標がぶれてしまうかもしれません。
支援者からの「共感」を伴う「支援したい」という気持ちを得るためにも、「なぜやるのか?」をよく考えて、「何を・誰に・どのように」を作り出すことも、多くの時間を必要とします。
子育てや、本業の仕事をしながらであれば、想像以上の時間をクラウドファンディングにかけることになってしまい、始めてみてから焦ってしまうかもしれません。
準備からプロジェクトの公開に至るまでに、想像するよりも多くの時間・労力が必要となることを想定しておきましょう。
デメリット②告知やPR、お金が必要となる
クラウドファンディングのプロジェクトを成功させるためには、そのプロジェクトを多くの人に知って貰うことが必須となります。
クラウドファンディングが浸透してきた現在、クラウドファンディングのサイトには非常に多くのプロジェクトが掲載されており、ただ自身のプロジェクトページを公開して待つだけでは、数多くあるプロジェクトの中から見つけてもらうことは困難です。
スタート前には、周りの人への積極的な告知やPRに時間を使う必要があります。知人・友人、職場の同僚、家族など、誰にクラウドファンディングの案内や支援をお願いできるのか、具体的にリストアップし、事前に告知しておくことが、スタートと同時に支援金を集めていく上で重要になります。
SNSを活用するのであれば、投稿内容を事前に考え、必要なときにすぐ動けるようにストックしておく必要があります。チラシなどを用意するのであれば、印刷に必要な時間なども考慮して準備する必要があります。
最近はよりクオリティの高いものを目指して、クラウドファンディングのコンサルタントやデザイナー、ライターなどプロの助けを借りるケースも増えてきました。その場合は費用が発生します。必ずしも外注する必要はありませんが、いずれにしろ人に知ってもらうということには、労力やお金が必要となることに十分注意しておきましょう。
デメリット③手数料など諸経費が必要となる
また、見落としてはいけないこととして、手数料や諸経費が挙げられます。クラウドファンディングのプロジェクトを通して得た金額が、そのまま手元に入金されるわけではありません。基本的にクラウドファンディングの運営会社を通して集めたお金には、運営会社へ支払うための手数料が発生します。
代表的な例ですと、CAMPFIREでは、通常プロジェクトが成功すると、集まった支援金額の17%+消費税を、CAMPFIREへ支払う必要があります。Makuakeの場合は20%(決済手数料5%、消費税含む)、READYFORはシンプルプランで12%+消費税です。
〈手数料の参考〉
決して無視できない金額ですので、手数料が引かれることは始めから計算に入れておく必要があります。その上でリターンを用意するための費用や、目標金額の設定を行うようにしましょう。
手数料を考えずに設定してしまうと、最悪赤字になってしまう場合もありますので十分注意しましょう。
デメリット④支援者とのトラブルも
クラウドファンディングも通常の仕事と同様に、お金が関わる人対人の取引ですので、支援者とのトラブルが起きる可能性ももちろんあります。
トラブルが起きる可能性があるのは、お互いの認識が食い違っている場合です。思っていたようなリターンではなかった、書いていたプロジェクト内容と違うのでは、といった認識の違いがトラブルの元になります。
また、リターンを発送する場合は、いつ頃手元に届くのかも明記し、都度状況を支援者へ共有することも大切です。
認識の違いをなくすために、リターンの説明や、クラウドファンディング終了後のスケジュールなどは、特に気をつけて詳細を書くようにしましょう。こうした細やかな努力を惜しまないことが、結果的にトラブルを回避することに繋がります。
デメリット⑤資金調達ができない可能性がある
「All or Nothing 方式」を選ぶ場合の注意点です。
クラウドファンディングの資金調達方法として、大きく「All or Nothing 方式」と「All in 方式」が存在します。「All or Nothing 方式」の場合は、目標金額を達成した場合のみ支援金の受け取りが可能で、目標達成まであと一歩のところであっても、プロジェクトが未達の場合は一切受け取ることができません。
ただ、達成しないとそもそもプロジェクトを遂行できない場合や、そうした「背水の陣」を敷くことで支援者に本気度が伝わりやすいことは、メリットと呼べる部分でもあります。いずれにしろ、「All or Nothing方式」を選択する場合、その性質をよく理解して行うようにしましょう。
デメリット⑥プロジェクトを途中でやめることができない
「All in 方式」を選ぶ場合の注意点です。
目標金額の達成・未達成に関わらず、終了時点の支援金を受け取ることができます。たとえ支援額や支援者の数が、目標に大きく届かなかった場合も受け取ることが可能です。
しかし、逆を言えばどんなに支援者が少なく赤字だったとしても、最後までプロジェクトを行い、リターンを提供、目標にしていたプロジェクト内容も実施しなければなりません。All or Nothing方式のように0か100かではないため気持ちの面では楽になりますが、支援額が仮に少なく赤字になったとしても、目標プロジェクトをやり切る必要があることを覚えておきましょう。
クラウドファンディングのデメリットに負けないための注意ポイント
注意ポイント①無理ない目標設定を
個人でクラウドファンディングを行う際には無理のない金額設定が必要です。せっかくプロジェクトを行うのであればなるべく多くのお金を集めたい、高い目標に挑戦しているところをみんなに見てもらいたい、という気持ちがでてくるかもしれません。
しかし、やみくもに金額設定を高くすることで自身の首を締めることにもなりかねません。目標金額になかなか到達できなければ、途中で意気消沈してしまうこともあるでしょう。
また、明確な根拠なく高い目標金額を設定してしまうと、「なぜその金額にしたのか?」を説明できず共感や納得を得ることができません。クラウドファンディングを行う上では、支援してくれる人に「共感」や「納得」をしてもらうことが非常に重要になります。実際に行うプロジェクトにかかる費用、手数料、リターンの準備費用などを考えた上で、根拠があり、且つ無理のない金額を設定するようにしましょう。
注意ポイント②労力も考慮する
注意ポイント①では費用面のみをお話しました。しかし、見逃してはいけないのが労力面です。
個人でクラウドファンディングを行う場合、多くの場合は仕事の傍らや、子育てを行いながらといった状況で準備・実施を行うことになります。強い思いから行うクラウドファンディングであればあるほど、労力については軽視しがちです。ただ、前述のようにクラウドファンディングには多大な労力・時間が必要です。どのくらいの労力や時間が必要になるかを考え、自身の限度を超えるようであれば、協力者を見つけたり、目標金額を見直すなどして、無理なく進めるように心がけましょう。
〈クラファン実践者に聞く〉クラファンのデメリット・失敗談
ここからは実際にクラウドファンディングを行った方のお話をお伝えしたいと思います。これからクラウドファンディングを始めようと検討されている方は是非参考にしてください。
支援が集まらない、情報発信できないー心が折れそうになる時
まずご紹介するのは、NPO法人earth tree代表の加藤大地さんです。加藤さんは現在、カンボジア支援活動として学校建設・就労支援活動を行っています。過去にクラウドファンディングに挑戦し、600万以上の支援金を集めました。筆者の私自身も、このNPO法人でデザイナーとしてプロボノ活動を行っています。
代表の加藤さんに、クラウドファンディングで苦労した点についてあげてもらったところ、「苦労はすぐ忘れちゃうんだよなぁ(笑)」と話しながら、以下をあげていただきました。
・強いて言えば「精神的な部分」をいかに保つか、という点
個別メッセージは送らず、とにかく発信してメッセージを伝えていく方法で実施していたため、『金額や支援者数が増えない=みんなから自分達のことを支持してもらえてない』という気持ちになり、落ち込むことも。投稿内容がネガティブになったり、投稿できなくなったりするときに、いかに気持ちを切り替えて進めるか、が大変だった。
気持ちをどのように切り替えるのか、については2つの方法をお話いただきました。
- 1日か2日だけ「今日はやらない日!」と決めて強制的に休んで回復させる
- 家族や友達、支援先の現地の村人たちと話して気分転換する
「不安でずっとクラウドファンディングのことを考えてしまいがちだけど、そういうときこそ思い切って気分転換するようにしているよ!」
との言葉に、私自身も忙しくなったり不安になると、ついつい休むことをおろそかにしてしまうため、なるほどと感じる部分がありました。
体験者しか語れない! 5人の苦労話
もう1つはI amの特集記事のご紹介です。I amでは「I am的クラウドファンディング大作戦」というテーマで、過去に5名のクラウドファンディング経験者の方に実際の体験談をお聞きしています。
最後まで諦めずに施策を続けたことで、大逆転を果たしたもなか屋さんのお話。過去2回の失敗経験から、事前のクリエイティブ準備を綿密に行い大成功させた会社のお話など、参考になる経験談を多数見ることが出来ます。ご自身の境遇に近い方もいらっしゃると思いますので、是非参考にしていただければと思います。
自身で新しくプロジェクトをはじめるために、クラウドファンディングを始めたいがやり方がわからない人はこちらの記事も参考にしてください。
〈まとめ〉クラウドファンディングはメリットだけでない!はじめる前に知っておきたいクラファン実施のデメリット
今回はクラウドファンディングを始める上での注意点やデメリットについてお伝えしました。クラウドファンディングを初めて行う場合、何から初めて良いのか分からず戸惑うことも多いかと思います。
そんな中で今回、デメリットに着目してお伝えしたのは、クラウドファンディングにマイナスの印象を持ってほしいからではありません。クラウドファンディングを活用することで、叶えたかった夢や目標に到達したり、それを本気で応援してくれるファンと出会うことができます。そういったクラウドファンディングの良さや可能性を最大限に活かしていくためにも、何に気を付ける必要があるのかを予め抑えておくことは非常に重要なのです。
今回の記事の内容をこれからクラウドファンディングを実施する際の参考にしていただけると幸いです。
文/福井克彦
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この記事を書いた人
- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。
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