マイノリティだから「自分らしく生きる」「自分らしく働く」ことで活躍できる〈ゆるスポーツ協会・澤田智洋/第1話〉

「できない理由」を探すのではなく、「できないからできる」を生み出す。スポーツが苦手な人のために生まれたゆるスポーツに見る、弱みを強みに変える術とは。

プロフィール
世界ゆるスポーツ協会代表/コピーライター澤田智洋
2004 年、広告代理店入社。映画『ダークナイト・ライジング』などのコピーを手がける。
2015 年、誰もが楽しめる新しいスポーツを開発し「世界ゆるスポーツ協会」を設立。著書に『マイノリティデザイン』(ライツ社)などがある。
「やりたいことを仕事にしたい」と思うとき、多くの人は自分の「好き」や「得意」に目を向け、マジョリティ(多数派)をターゲットにしがちですが、この反対「不得意」や「マイノリティ(少数派)」に目を向けることで、自分だけにできる仕事を手にすることができる。
障がいのあるを持つ人たちや運動が苦手な人たちが主役になれる「ゆるスポーツ」を生み出し、メジャーに押し上げた澤田智洋さんに「自分だけの仕事を見つけ出す」方法を伺いました。
目次
マイノリティが最強の強みになる


大手広告代理店のコピーライターで活躍していた澤田さんが、障がい者やスポーツが苦手な人でも活躍できる「ゆるスポーツ」を始めたきっかけはなんですか?

32 歳のときに、息子が生まれたことです。視覚障がい(全盲)と知的障がいがありました。障がいがわかったとき、僕も妻も「なぜ自分の息子が」「どうやって育てよう」と思いました。

息子さんの障害がきっかけになったんですね。

僕は、何か課題にぶつかったらその対象や解決策を教えてくれそうな 200 人に会いにいくようにしています。だから、さまざまな障がいのある人 200 人に会いに行ったんです。


一つを解決するために 200 人もの人に会うんですか?

はい。自分的には GOOGLE の検索ワードを入力するように、その方々から自分が必要としている情報を得るような感じです。


1 テーマで 200 人に話を聞くって?

当然ながら 200 人に 200 通りの人生があるということ。
そして、障がいがあるのは確かに不便なことはあるけれど、不幸なのかというとそうではないという当たり前のことに気づきました。

不便はあっても不幸ではない。

障がいはその人の1面でしかないということです。
ただ、障がいのある人は、健常者の生きる世界に合わせていろんな我慢をしていることも知りました。

どのような我慢ですか?

たとえば片腕の人は消しゴムが使いづらいし、定規で線も引きにくい。それを、「自分たちはマイノリティ(少数)だから我慢すべきだ」と言っている方がいました。


世界はマジョリティのためにできていますもんね

それって我慢しなくてはならないのか、というとそうではなくて。彼らの生きづらさや困りごとを解消するためにクリエイティブが活用できると思いました。
「生きずらさ」はクリエイティブで解決できる


さすが広告マン。マイノリティの生きづらさをクリエイティブで解消する。

僕自身のマイノリティな面にも気づいたんです。劇的に運動が苦手で、大人になってから身体を動かすことはほとんどなかった。

息子さんの誕生と自身の苦手を掛け合わせた?

息子の誕生をきっかけにして出合った福祉と、自分には無理だと思っていたスポーツを掛け合わせてスポーツ弱者がいなくなることをミッションにゆるスポーツを作り、「世界ゆるスポーツ協会」を設立しました。
自分の中のマイノリティを見つけると、世界が変わる


ところで「ゆるスポーツ」ってどんなスポーツなんですか?

たとえばずっと体育を見学している心臓に病気がある子でもできるように考えた「500 歩サッカー」は、その名の通り試合中に 500 歩しか動けないルールです。

500 歩!すごい、サッカーの概念が変わりますね。

歩数計測計がついていて動く度に歩数が減っていきます。でも、休んでいたら4秒目から1秒に1歩回復するんです。だから止まっている人に「ナイス回復!」と声をかける。


プレー中に休憩したら「ナイス回復!」いいですね。

はい。体育を見学している彼が悪いのではなくて、走り続けなくてはならないスポーツが悪い、っていう前向きな逆ギレからはじまっています。そして、人をスポーツに合わせるのではなく、スポーツを人に合わせる方法を考えました。


スポーツのほうを変えてしまおうと。

それによって心疾患がある人にとってのアウェーだったスポーツがホームになるんです。

居場所がなかった人たちに、居場所を作る試みですね。

「ゆるスポーツ」に限らず、マイノリティと呼ばれる方たちに寄り添った企画や開発って、マジョリティにとっても便利でメジャーになっていくものが多いんです。

たとえばどういうものですか?

諸説あるのですが、火をつけるライターは片腕の人にもつけやすくするために開発されましたし、タイプライターは全盲の方にもラブレターが書けるように開発されました。それが今パソコンのキーボードになっているわけです。

そっか、便利なものって使いづらい人たちに向けて作られたものが多いんですね。

すでにある社会のルールに合わせようとするから、生きづらい。でも、「ゆるスポーツ」は、スポーツのほうを変えてみた。そしたら、僕と息子はふたりともスポーツで活躍できたんです。

「弱みを強みに」が、これからの世界に必要とされるわけですね。ダイバーシティ&インクルージョンにもつながっていますね。

そもそも、すべての人は、何かのマイノリティなんですよ。たとえば、僕は健常者で、男性で……となると確かにマジョリティ。でも、劇的に運動が苦手でできない。
そうなると僕は、スポーツの世界ではマイノリティ。誰もが、居場所や見方によってマイノリティになるんです。
一人の人間は見る側面を変えると、マジョリティだったりマイノリティだったりする。確かにそうですよね。
▼第2話はこちら▼
▼第3話はこちら▼
取材/I am 編集部
文/MARU
写真/YUKO CHIBA
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この記事を書いた人

- 編集・ライティング
- 猫を愛する物書き。独立して20年。文章で大事にしているのはリズム感。人生の選択の基準は、楽しいか、面白いかどうか。強み:ノンジャンルで媒体を問わずに書けること、編集もできること。弱み:大雑把で細かい作業が苦手。
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