課題解決を仕事「安達太良地域の美しい田園風景を未来に繋げたい」という一念を軸に、実現できる仕事を考えて起業(ソフトクリーム職人/千葉清美さん)
多様な働き方のリアルを聞きました!どうやって自分の仕事を確立したのか。「東日本大震災を機に失われていく地元の美しい風景を未来に繋げたい」との一念で、経験も知識もつながりもまったくない異業種で起業。若い世代が農畜産業に興味を持ち、可能性を感じる仕事を創出しようと、地元産の生乳を使用したソフトクリーム「きよミルク」を製造・販売する「あだたらのちち株式会社」の千葉清美さんにお話をうかがいました。
プロフィール
ソフトクリーム職人千葉清美
仕事内容と自分らしいビジネスアイデアの見つけ方
どんな仕事をしていますか?
福島県安達太良地域産の生乳を使用したソフトクリームの製造と販売をしています。地元産の生乳と無添加にこだわり、生乳本来の美味しさを味わっていだたきたいので、自社工場で独自の製造方法を用いて手作りしています。
今の仕事のキャリアは?
6年目です。
なぜ、今の仕事を「自分の仕事」にしたのですか?
きっかけは「東日本大震災」で私が住んでいる安達太良地域の美しい田園風景が急速に失われていったことでした。地元産の生乳で美味しいソフトクリームをつくって地域を盛り上げたい、安達太良地域の美しい田園風景を未来に繋げたい、という想いからソフトクリームをつくろう!! と思いました。なぜソフトクリームかというと、昔からソフトクリームが大好きなのと、地元産の生乳で美味しいソフトクリームをつくれば、若い人が農畜産業に興味をもち可能性を感じ、後継者や新規就農者が増えるきっかけになるのではないか、という理由から選びました。
今の仕事は好きや得意なことですか?
それまでは事務とお花の仕事しか経験がなかったので飲食業は初めてで、ソフトクリームは食べるのは好きでしたが、どうやって作るかは知りませんでした。
なぜ、今の仕事がビジネスとして成り立つと思ったのですか?
高校生の時に友人に連れて行ってもらった牧場でソフトクリームを目当てに行列ができていて、県外ナンバーの車とバイクが駐車場を埋め尽くしていました。ソフトクリームはどこにもない感動的な美味しさで、遠方から食べに来るのも納得でした。地元産の生乳でここでしか食べられない美味しいソフトクリームを作れば地域が賑わい、たくさんの人が福島県にきてくださるのではないか、そうすれば地域貢献とビジネスの両方が成り立つと考えました。
「自分の仕事」としてやっていくと決めてから、やったことはなんですか?
何のためにやるのか、を考えて「企業理念」を定めました。
あなたの「強み」「弱み」は?
強み : 諦めない、直感で判断する
弱み : 考えることが苦手、すぐ感情的になる
自分の強みをどう仕事に活かしていますか?
様々な困難を諦めずに乗り越えて、直感で判断したことが実績に表れているので、「強み」を活かせていると思います。ソフトクリームをつくろう!と決めたのも、会社名、商品名、取引先の選択や、販売方法、商品のデザイン等は考え込まずに直感で決断してよかったと感じています。
自分の弱みをどう克服していますか?
考えることが苦手なので、必要だと思う経営セミナー等に積極的に通い考えるくせをつけています。わからないことは、一人で考えずに人に相談するようにしています。
ビジネスを立ち上げる時の最大の壁は?
原材料である生乳の購入ルート「酪農業協同組合」との契約が難航しました。粘り強く交渉し、すべての条件をのんで契約にこぎつけました。
ビジネスを立ち上げる前に何を準備しましたか?
起業に必要なことは下記の4つと考えて取り組みました。
①人脈:起業セミナーに通った。
②資金:片っ端から補助金に応募し、自己資金で足りない分は銀行融資で賄った。
③知識:書物と通信教育で食について学び資格を取得し、アイスクリームに関連するセミナーに通った。
④経験:ほとんど飲食の経験がなかったので、飲食業経験者の友人と一緒に進めた。
ビジネスを立ち上げてぶつかった壁は?
起業はどうしたらできるのか? 右も左もわからず、まずは起業セミナーに通い必要なスキル(事業計画書を書けるようになる等)を学びました。
1人社長ですか? それともチームですか?
ほぼ一人で運営しています(家族の手伝い、アルバイト1人あり)。
仕事に求める優先順位は?
人間関係、製造、販売、場所
法人化していますか?
法人化しています。原材料である生乳を仕入れるために法人格が求められたからです。
会社員を辞めてから今の仕事をはじめましたか?
前職と1か月だけ被って起業しました。
はじめての仕事はどのように獲得しましたか?
地産地消を目指していたので、地元の産直に営業に行き5年かけて口説きました。
最初に自分の力で稼いだお金を得た時の感想は? また、その額はいくら?
そのときは必死だったので、気持ちと金額は覚えていません。
価格はどのように決めましたか? 価格設定で悩んだことは?
原価、手間、光熱費、商品価値を計算して決めました。周りの人たちから「高い」と言われましたが、悩みませんでした。
ビジネスが軌道に乗るまでの期間とその間のやりくりは?
軌道に乗ったと感じたのは創業から2年半でした。それまでは、直面するすべてのことに最善を尽くしながら、理念に則って製造して販売することをひたすら繰り返しました。