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いつの時代も「うまい・安い・早い」は愛される。男性料理家の「史上最低の料理本」が実は爆イケの理由。

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なぜ男性料理家の作るレシピは簡単なのに美味しいのか?忙しい現代人のための超高速レシピ。

目的達成のためのレシピ

誰もが聞いたことのあるキャッチフレーズ「うまい・安い・早い」。しかし、牛丼の話ではない。レシピの話である。仮に20〜80歳まで、朝晩自炊すると4万3800食の計算になる。さらに20〜80歳は労働年齢にほぼ丸かぶりなので、働いた上に、家事育児さらには親の介護というライフステージの間、ずっと料理をし続けなければならない。

ゆえに時短レシピはゆとりのあるライフスタイルにとっては欠かせないアイテムといえる。加えて物価高に歯止めがかからない今、コスパは必須条件。だからといって「味はそこそこ」では満足できないのが令和、平成、昭和世代の共通課題なのだ。

この「うまい・早い・安い」と相性がいいのは男性だろう。もちろん食べるほうもワンコインランチ(今となっては懐かしい)に並ぶのも男性だが、作るほうも男性にやや軍配が上がるのではないかと思う。

今、若手男性料理家として定評のある今井亮氏は、中華出身の料理家。中華料理で基本を鍛えられた本格派である。書籍はもちろん名だたる料理雑誌、料理番組でも活躍中だ。

今井亮氏は本格派でありながら、男性ならではの「目的達成のための破壊力」を兼ね備えている。それが『狭すぎキッチンでもさくさく作れる 超高速レシピ』という料理本だ。

タイトル通りすべての料理が5分以内で作れて、混ぜるか、乗せるか、チンするか、トーストするか、煮るだけという料理とは言えないようなレシピ本である。事実、表紙には「史上最低の料理本」と人気料理家が絶賛(?)している。

例えばこの「焼き鳥アボカド丼」なるものは、

焼き鳥の缶詰と切ったアボカドをご飯の上に乗せる。

レシピも1行で紙面を割く必要がない。

「キムチスープごはん」

一口大にちぎったサラダチキンとキムチ、水、塩を煮て、ごはんにかける。

である。

「カレーうどん」

耐熱ボウルに冷凍うどん、レトルトカレー、めんつゆ、水を入れてチン5分。

いくら超高速レシピといっては「やる気はあるのか?」と言いたくなる。

確かに「史上最低の料理本」の名にふさわしい手抜きっぷりである。今井氏に「カレーうどんだったら鍋で煮てもいいのではないか?」と聞いたところ「レンチンは火加減が不要です。食材の分量で加熱時間の正解が決まっているので、再現性が高く失敗しません」と、めっちゃ雑なレシピを作っているわりには、驚くほどロジカルな回答をされてしまった。

気づいたことは「雑なレシピに見えて、実はとても計算されたレシピだった」ということだ。

この本のテーマは、

狭いキッチン:調理工程がシンプル、調理器具を使わなくてもいい

超高速:5分以内

という明確な目的に向かって組み立てられた男性的なレシピと言える。

史上最低なのにヘルシー

しかし、このレシピの優れた点は実はヘルシーさにある。レシピを見ればわかるが、無駄な調味料がほとんど使われていない。

最近は糖質と脂質を食べることで脳がドーパミンを放出する「味覚の報酬システム」を利用したレシピが人気だ。例えば、カレーに砂糖を入れたりするのもその一例といえる。糖分と脂質を当時に食べると、単純にぶっ飛ぶほど美味しく感じるということだ。

しかし今井亮氏のレシピに砂糖と油はほとんど登場しない。このヘルシーさと無駄のなさも魅力の一つといえる。

『狭すぎキッチンでもサクサク作れる 超高速レシピ』

今井亮著/大和書房刊

超高速で作れるレシピ82品を掲載。最低だけど美味しくてヘルシーなレシピ集。

この記事を書いた人

長谷川恵子
長谷川恵子編集長
猫と食べることが大好き。将来は猫カフェを作りたい(本気)。書籍編集者歴が長い。強み:思い付きで行動できる。勝手に人のプロデュースをしたり、コンサルティングをする癖がある。弱み:数字に弱い。おおざっぱなので細かい作業が苦手。

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